2024年8月10日土曜日

生活学・新原論:ネウチ観を考える!

生活学・新原論の4番めのテーマとして、生活民を取り巻くモノやコトのネウチを考えます。

主体である「生活民」については、【生活主体を考える➔生活民!】や【「生活民」とはどんな人?】などで述べていますが、市場社会を前提にした「消費者」や営利主義の対象を抑制するだけの「生活者」を大きく超えて、市場社会とは柔軟につきあう自律的な人間を意味しています。

このような生活民が、現代の市場社会とつきあっていくには、前回述べた生活願望の横軸の3つの願望、つまり〔世欲・実欲・私欲〕によって、これらの対象となるモノやコトなどへの満足感、つまり「ネウチ」を仕分けていかなければなりません。

3つの願望によって、生活民はどのようなネウチを求めるのでしょうか。

このテーマについても、【生活民の求めるネウチとは何か・・・】以下で延々と述べていますが、とりわけ関連の深いのは【「効用」とは何か・・・3つの定義】や【「限界効用」の限界!】です。

つまり、現代社会の市場機構を前提にすると、生活民は一方では、経済学でいう「価値」や「効用」というネウチを認めていますが、それだけでは終わらず、もう一方で独自のネウチ、「効能」を求めています。

それゆえ、生活民の視点に立つと、モノやコトのネウチは、【生活世界構造を言語機能で考える!】で述べた3つの生活世界、つまり〔社会界・間人界・個人界〕を前提に、それぞれの世界で求める、3つの生活願望、つまり〔世欲・実欲・私欲〕によって、次のように生まれてきます。

つまり、社会界の世欲の対象となるのが「価値:Value」であり、間人界の実欲の対象として「効用:Utility」が生まれてきます。そして、個人界の私欲の対象となるのが「効能:Effect」として位置づけられます。

整理すれば、【生活民は「価値」よりも「私効」を重視!】で示したように、次のようになります。

●価値(Value)とは、社会界において、社会集団が共同主観として認めている「共効(共同的有用性:social Utility)」です。

●効用(Utility)とは、間人界において、生活民が個人使用を行う時に、一人の個人として、社会的効用を受け入れた「個効(個人的有用性:Individual Utility)」です。

●効能(Effect)とは、私人界において、生活民が私的使用を行う時、一人の私人が独自に創り出した「私効(私的有用性:Private Utility)」です。

このように生活民にとってのネウチを位置付けると、これを研究対象とする生活学の位置づけが、下図のように浮上してきます。

これを見ると、経済学とは価値と効用を、また家政学とは効用を中心に価値と効能を、それぞれ研究対象にする学問ですが、生活学は効能を中心にしつつ効用や価値を考えていく学問、と言えるでしょう。

2024年7月26日金曜日

生活願望・3つの軸から生まれる

生活学・新原論の3番めのテーマとして、「言語」をベースとする生活世界構造を、3つの軸から考えてきました。

今回からは、4番めのテーマとして、生活民が心に抱く、さまざまな願望、つまり「生活願望」の構造を、やはり3つの軸から考えてみます。

すでに前回までの生活世界構造論で、横軸、前後軸については触れていますので、それらを要約したうえ、縦軸を加えて、生活願望の全体図を描いてみましょう。

 

横軸・・・【生活心理を横軸で考える!】で示したように、3つの願望が生まれてきます。

言語構造の横軸は【ラング⇔パロール1⇔パロール2】で構成され、【社会界⇔間人界⇔個人界】の3つの世界を創り出しています。この3世界から生まれる生活願望が【世欲⇔実欲⇔私欲】の3つです(横軸が作る3つの生活願望・・・世欲・実欲・私欲)。

●世欲・・・社会的な地位や経済的な成功など、世間的な評価を手に入れたいと思う生活願望

●実欲・・・家事、就業、勉強など日常的な生活の中で、実効的な効果や成果を得たいと思う生活願望

●私欲・・・自省や内省など自分自身との交信の中で、他人に何といわれようとも、純私的に満足したいと思う生活願望

 

前後軸・・・【生活心理・前後軸から考える!】で述べたように、3つの願望が生まれてきます。

言語構造の前後軸は【言葉は真実⇔言葉は曖昧⇔言葉は虚構】で構成され、【真実界⇔日常界⇔虚構界】の3つの世界を創り出しています。この3世界から生まれる生活願望が【真欲⇔常欲⇔虚欲】の3つです。

●真欲・・・言葉の示すものを目標に、自らの行動を厳しく律していこうとする生活願望。

●常欲・・・真実と虚構が揺らめく日常界で、両者を振り分けつつ、日々の暮らしを実現しようとする生活願望。

●虚欲・・・言葉の示す目標を緩め、自らも弛緩させて、遊びや解放を味わおうとする生活願望。


縦軸・・・【生活心理を考える・・・意識としての生活世界構造】で示したように、3つの願望が潜んでいます。

言語構造の縦軸は【身分け⇔識分け⇔言分け】で構成され、【モノ界⇔モノコト界⇔コト界】の3つの世界を創り出しています。この3世界から生まれる生活願望が【欲動⇔欲求⇔欲望】の3つです。

●欲動(drive)・・・意識の下の無意識的な次元で、生死の区別や善悪の分割など日常的な評価基準をはるかに超えた、動物的、衝動的な生活願望。

●欲求(want)・・・のどが乾いたから水が欲しい、空腹を覚えたから食べ物が欲しい、寒くなったから衣類が欲しいなど、生理的、生物学的な不足状態を意識がとらえた生活願望。

●欲望(desire)・・・雑誌で見た車が欲しい、テレビで見たファッションが着たいなど、人間が言葉を持ったが故に、「記号」の刺激を受けて、誘導的に生まれてくる生活願望。

 

3つの軸に現れた生活願望を纏めてみると、【生活世界の言語構造】の図が、下図のような【生活願望の7球】として描くことができます。

中央の球、つまり日常的な世界では、欲求、実欲、常欲の3つが重なっていますので、これらを纏めて、「日欲(日常欲)」と名づけました。

日欲とは、欲求をベースに実効性や虚実を共に求める願望、ともいえるでしょう。

以上のように整理すると、私たちの生活願望は、図に示したような、7つの球で表現できます。



なお、生活願望の全体図については【七つの生活願望とは何か?】でも、詳述しています。

2024年4月30日火曜日

生活世界構造を言語機能で考える!

生活意識や生活願望の発生源を、生活世界構造の3つの軸から考えてきました。

3つの軸によって、私たちの生活空間の全体が浮かび上がってきますので、これをうけて、生活学・新原論の3番めは、「生活世界構造」そのものについて考えていきます。

新原論の最も基本的な立場は、生活民の生きている空間が「言葉」によって作られているという視点です。

人間という生物は、言葉を持ったことにより、周りの環境世界を理解し、さまざまな形で対処していくことが可能になった、という立場からです。

言葉の持つ、基本的な特性を幾つかの機能に分けると、2番めの生活意識論で紹介したように、縦軸、横軸、前後軸の3つが浮かんできます。

①縦軸:感覚⇔観念の軸

【生活心理を考える・・・意識としての生活世界構造】で述べたように、人間が言葉を使うようになったことで、意識の中に【身分け・識分け・言分け・網分け】の4分けが生まれ、それによって心の中には【ソト界(未知界)~モノ界(認知界)~モノコト界(識知界)~コト界(言知界)~アミ界(理知界)】の5つの心理的世界が生まれてきます。

それぞれの世界で使われる言葉もまた【言語6階層説】で述べたように、【深層言語・象徴言語・自然言語・交信言語・思考言語・観念言語】に分かれてきます。

大きな階層としてまとめると、【象徴言語・交信言語・観念言語】の3階層です。

②横軸:個人⇔社会の軸

【横軸の構造】で述べたとおり、言葉という人工物が持っている、本質的な構造によって、【ラング界・パロール1界・パロール2界】の3つが生まれ、それによって生活空間には【社会界・間人界・個人界】が生まれてきます。

それぞれの世界で使われる言葉もまた【ラング・パロール1・パロール2】に分かれますので、言語階層としては【独考言語・日常言語・交流言語】の3つが浮かんできます。

③前後軸:真実⇔虚構の軸

【前後軸が作る3つの生活願望】で述べましたが、言葉に潜んでいる【メタ・メッセージ】機能によって、言葉の示す空間は【真実界・曖昧界・虚構界】の3つに分かれてきます。

これに伴って、3つの世界で使われる言葉も【真言・常言・虚言】の3階層に分かれてきます。

言葉が創り出す、以上のような3つの軸によって、私たちの生活世界は図に示したような立体構造となっています。


この構造こそ、私たちの心理、願望、行動などが生まれてくる基盤だといえるでしょう。

2024年4月18日木曜日

生活心理・前後軸から考える!

生活心理が生まれる生活世界には、これまで述べた横軸と縦軸に加え、前後軸が創り出す世界があります。

この世界から生まれる生活心理とは、どのようなものでしょうか。

前後軸については【コンデンシング・ライフ】で述べていますが、私たちの言語空間は、日常を超える超越的な「メタ・メッセージ」により、言葉の示すことを全く疑わないですべて真実とみなす「真実界」、逆に言葉の示すことはすべて虚構とみなす「虚構界」、2つの狭間にあって真偽が曖昧なままの「日常界」、の3つに大別できます。

❶真実界(儀礼界)・・・言葉の示すことを全く疑わないで、すべてを真実とみなすメタ・メッセージの場。キーワードは真実、儀礼、儀式、緊張、勤勉、学習、訓練、節約、貯蓄など。

❷日常界・・・真実と虚構の二つの空間の狭間にあって、虚実の入り混じった場。日常の空間。キーワードは普段、平常、平生、常日頃、日々など。

❸虚構界(遊戯界)・・・言葉の示すことはすべて虚構とみなしたうえで、その嘘を楽しむメタ・メッセージの場。キーワードは虚構、遊戯、弛緩、怠惰、遊興、放蕩、浪費、蕩尽など。

これら3つの生活世界では、それぞれキーワードに示したような生活行動が営まれています。

それゆえ、3つの世界の行動を促す生活願望としては、真欲(真実欲)、常欲(日常欲)、虚欲(虚構欲)の、3つを想定することができます。

❶真欲(真実願望)・・・真実界から生まれる願望であり、真実、儀礼、緊張、勤勉、学習、訓練、節約、貯蓄などを求めるもの。虚実をともに示す言葉の機能のうち、個々の言葉の意味とその対象の厳密な一致をめざそうとする願望であり、言葉の示すものを目標にして、自らの行動を厳しく律していこうとする。

社会的行動では儀式や儀礼、私的な生活行動では勤勉や学習、経済的行動では節約や貯蓄などがこれに該当する。

❷常欲(日常願望)・・・真実と虚構、儀礼と遊戯、緊張と弛緩の間で、絶えず揺らめきつつ、営まれている日常界の中から生まれてくる願望。毎日の暮らしを実現していく、最も基本的な動機となって、現実的、具体的な性格を帯びている。

❸虚欲(虚構願望)・・・虚構界から生まれる願望であり、虚構、遊戯、弛緩、怠惰、遊興、放蕩、浪費、蕩尽などを求めるもの。個々の言葉の意味とその対象の関係を積極的にずらしていこうとする願望であり、言葉の示す目標を意識的に緩めて、自らの行動をあえて弛緩させ、遊びや解放を味わおうとする。

社会的行動では遊戯や遊興、個人的な生活行動では弛緩や怠惰、経済的行動では浪費や蕩尽などが該当する。

以上のように、生活世界の前後軸には真実界、日常界、虚構界が潜み、それぞれの内部から、真欲、常欲、虚欲の3つの生活願望が生まれてきます。

2024年3月29日金曜日

生活心理を横軸で考える!

生活意識の構造を掴むため、前回の縦軸に続いて、今回は横軸を考えます。

横軸は、言葉という人工物が持っている、本質的な構造によって、新たに生み出されてくる、個人・社会の軸です。

このテーマについても、当ブログでは「個人・社会」構造として、さまざまな角度から思考してきましたので、主な論点を整理しておきましょう。

横軸の基本的な構造については、【横軸の構造・・・ラングとパロール】で述べています。

●言葉の機能には、民族や国家が共有している「ラング」の次元と、それを使って個人が会話を交わしたり、思考するという「パロール」の次元がある。

●ラングとは、文法や単語、音声や意味など、社会集団が共有している言語体系であり、パロールとは、それらを前提にして話したり考えたりする、個人的な言語行動である。

●パロールという行為には、他人との交流のために行う「パロールⅠ」と、自らと会話する「パロール2」がある。

●言葉によって作られる生活世界は、ラング界、パロール1界、パロール2界の、3つに分かれる。

●ラング界は外側の世界と交流する「社会界」、パロール1界は日常的な暮らしにおいて交流を行なう「間人界」、パロール2界は自己の内側と交流する「個人界」と言い換えることができる。

社会界、間人界、個人界の、それぞれの特徴は【横軸が作る3つの世界・・・社会界・間人界・個人界】で述べています。

●社会界・・・ 私たちがラング(言語、文化、伝統、歴史、慣習、規範、法律など集団的な価値観や制度)を受け入れつつ、同時にラングそのものへ働きかけている集団的な世界。

●間人界・・・ ラングを前提に、私たちが会話、実践、交換などを〈交流〉している日常的な世界。

●個人界・・・ 私たちがラングに従いながらも、純個人として自らの内部に語りかけたり、ラングを自分なりに変換して新たな表現を作りだしている私的な世界。

●これら3つの言語的世界は、私たちの日常生活はもとより、一般的な社会活動から経済活動にまで、大きく広がっている。

●横軸は、社会学的な「社会⇔個人」、経済学的な「集団的な価値⇔純個人的なネウチ」、心理学的な「集団への同調⇔純個人的な愛着」など、空間的な対応を示唆している。

3つの世界から生まれてくる生活願望については【横軸が作る3つの生活願望・・・世欲・実欲・私欲】で述べています。

●世欲・・・社会的な地位や経済的な成功など、世間的な評価を手に入れたいと思う生活願望

●実欲・・・家事、就業、勉強など日常的な生活の中で、実効的な効果や成果を得たいと思う生活願望

●私欲・・・自省や内省など自分自身との交信の中で、他人に何といわれようとも、純私的に満足したいと思う生活願望

 

以上のように、生活構造の横軸には、社会界、間人界、個人界が潜み、それぞれの内部から、世欲、実欲、私欲の3つの生活願望が生まれてきます。

2024年3月7日木曜日

生活心理を考える・・・意識としての生活世界構造

生活学・新原論の2番めは、生活民の意識構造、つまり生活主体の意識がどのような世界から生まれてくるのか、という課題です。

意識構造を捉えるには、縦軸、横軸、前後軸の3つの視点があります。

今回は縦軸から入りますが、このテーマについては、当ブログにおいて幾度か修正を加えながら、「生活世界構造」と題して詳しく展開してきました。主な論点を整理しておきましょう。

①【生活構造の縦と横】では、私たちのさまざまな生活意識が生まれてくる〝場〟、現象学的社会学が「生活世界」と名づけた生活空間を提案しています。この空間を、縦軸としての心の階層と、横軸としての行動の空間の、相互にクロスする次元として把握しています。2つの軸のうち、縦軸が生活意識の生まれてくる次元です。

②【身分け・言分けが6つの世界を作る!】では、縦軸を構成する、最も基本的な要素として「身分け」と「言分け」の2つを挙げています。「身分け(みわけ)」とは、哲学者の市川浩が「身によって世界が分節化されると同時に、世界によって身自身が分節化されるという両義的・共起的な事態」と定義したもの、また「言分け(ことわけ)」とは、言語学者の丸山圭三郎が「シンボル化能力とその活動」、つまり広い意味でのコトバを操る能力とそれによって生まれる世界を意味しています。

③【言語3階層説の基盤を考える!】では、「身分け」「言分け」に加えて、「識分け(しわけ)」の導入を、筆者が提案しています。「識分け」とは、仏教の唯識論や言語学者・井筒俊彦の言語アラヤ識論にも因んで、「身分け=感覚把握」と「言分け=言語把握」の間に、もう一つ「識分け=意識把握」の次元がある、ということです。

④【「ことしり」から「ことわり」へ!】では、「身分け」「識分け」「言分け」に加え、さらにもう一つ「網分け(あみわけ)」を、筆者が提案しました。「網分け」とは日常的な言語の上に、もう一つ思考・観念的な言葉の次元を配慮したものです。「言分け」の分節化で生み出された言葉や記号の上に、さらに特定の意図による「網」をかけて、抽象化された言葉や記号を創り出すことを意味しています。「網分け」によって、日常的かつ広義的な言語が推理・整頓され、極めて狭義的かつ正確的な思考・観念言語が生み出されるのです。

以上のような4つのプロセスを設定すると、生活民の生活心理、つまり生活意識は下図のような「生活世界構造」として把握できます。



身分け・識分け・言分け・網分けの4分けによって、生活意識は次のように作動することになります。

❶生活民の意識行動は【おぼえず­~おぼえる~しる~はなす~かんがえる】に分かれてきます。

❷意識行動の変化によって、生活民の心の中には、ソト界(未知界)~モノ界(認知界)~モノコト界(識知界)~コト界(言知界)~アミ界(理知界)の、5つの心理的世界が生まれてきます。

❸5つの世界では、無感覚~無意識~意識~知識~学識という、 5つの認識行動が動き出します。 

生活学の新たな原論では、生活民が営む、さまざまな生活行動の背景に、以上のような意識構造と手順が潜んでいる、と考えています。


2024年2月29日木曜日

生活主体を考える➔生活民!

生活学・新原論の最初は、生活を行っている主体、つまり「生活主体」をどうとらえるか、という課題です。

生活主体とは何かについては、消費者、生活者、生活人など、これまでさまざまな定義や議論が行われてきました。

当ブログでも、【消費者とは誰のことか?】【大熊信行の提起した「生活者」とは・・・】【今和次郎は「生活人」を提唱!】などですでに紹介してきました。

また日本生活学会編『生活学事典』(TBSブリタニカ、1999)の中で、筆者は「消費者とは市場社会の内にとどまる人であり、生活者とは市場社会を超えた人なのである」とも述べています。

そのうえで、【「生活民」とはどんな人?】において、新たに「生活民」という主体を提言しています。

これらを整理すると、「生活民」という定義こそ、今回の生活学新原論にふさわしい生活主体ではないか、と思われます。


新たな生活学における生活主体、生活民とはどのような人間をいうのでしょうか。これまでの言説を整理してみると、次のような人間像が浮かび上がってきます。

①経済学等でいう「消費者」は「生産者の提供するモノやサービスを、市場を通じて購入し、消費する人」であり、主体的な生活を行う人とは言えませんから、抑制していきます。

②今和次郎の提案した「生活人」からは、「美学や哲学などの次元にまで幅を広げた、より総合的な人間像」を継承しています。

③大熊信行の提案した「生活者」からは、「営利主義の対象である“消費者”を抑制する」ことや「自己生産を基本にする」ことを継承しています。

④その一方で、「生活人」が否定した「伝統や慣習、あるいは流行を追い求める生活行動」や、「生活者」が排除した「気晴らしや見せびらかしなどを求める願望次元」なども積極的に肯定し、両方とも含めた人間像をめざします。

⑤以上を統合して、生活の主体を、市場社会のユーザーの立場を超えて、市場の成立以前から存在した、自立的な人間におきます。

⑥こうした視点から、庶民、市民、人民、公民、国民などに共通する「民」の視点を再評価し、「生活民」と名付けます。

上記のように生活主体を定義すれば、「生活民」の意味するところは「自給自立人」ですから、英訳すれば「Self-helper」ということになるでしょう。