2023年6月30日金曜日

デジタルツインは人生の相棒になるのか?

ハイテクツールの7番めは、デジタルツイン(Digital twinを取り上げます。

デジタルツインとは、リアルな空間から収集したデータを基に、デジタルな空間の中へ、ほとんど同じ状況を、まるで双子(Twinのように再現する技術を意味しています。

データはリアルタイムで更新されますので、ユーザーはデジタル空間の中で、シミュレーション、機械学習、思考実験などを行い、さまざまな意思決定を試みることができます。

このため、デジタルツインの活用は、幅広い分野や対象で進んでいます。

とりわけ、都市計画や建築設計製品企画や用途設計など、物質的な計画や設計、新商品の製造・運用・アフターフォローといった分野で、シミュレーション用具として活用されています。

最近ではさらに発想を広げ、一人暮らしの高齢者のために、パートナー用のデジタルツイン機器も検討されています。

高齢化の急進で増加する高齢単身者が、無類の相棒として自由に付き合っていけるうえ、

認知機能が低下したり、意思表明が難しくなった時には、その人の代理人として、それまで何を考え、何を希望していたかを関係者に伝えることもできるようです。


このようなデジタルツインの可能性を、私たち生活民の生活構造(「生活体」の3つの軸)の立場から展望しておきましょう。

 

①感覚・言語軸(縦軸)


❶生活民であるユーザーは、自らが識分け・言分け・識分けした、さまざまなデータをデジタル・アバターの元へ、リアルタイムで送り込んでいる。

❷ユーザーは、デジタル・アバターとなっているユーザー自身と、必要に応じて語り合うことができる。

❸ユーザーは、仮想空間内のデジタル・アバターに蓄積された、さまざまなデータを、リアルデータとして利用できる。


②個人・社会軸(横軸)


❶デジタルツインの作り出す言語空間は、ラングからパロール1を経てパロール2に及ぶ。

❷ユーザーは、デジタル・アバターと自由に会話できる。

❸ユーザーは、デジタル・アバターの差し出す情報をリアルデータとして活用できる。

❹ユーザーは、デジタル・アバターとの間で、パロール2としてて会話できる。


③真実・虚構軸(前後軸)


❶デジタルツインの提供する仮想空間は、あくまでも虚構空間である。

❷虚構空間を前提に、ユーザーはデジタル・アバターの言動を、あくまでも虚実曖昧事象として対応することができる。

❸ユーザーは、虚実曖昧の中から真実事象を拾い出し、リアルデータ化することもできる。


以上のような特性から考えると、デジタルツインというハイテクツールは、土木・建築や商品開発・機能設計などの次元を大きく超えて、生活民の人生そのものを多角・多面化していく可能性も秘めている、といえるでしょう。

他方では、長寿化でますます情報過多となる人生を、いっそう複雑していく、という危惧も浮上してきます。

2023年6月9日金曜日

メタバースはウェブバースだ!

ハイテクツールの6番めは、メタバース(Metaverse を取り上げます。

メタバースという言葉は「超(meta」と「宇宙(universe」を組み合わせた造語です。コンピューターの中に構築された3次元の仮想空間の中を、アバター(Avatar:分身)となったユーザーが、ゴーグルや対応パソコンなどを使って、自由に活動できる仮想空間サービスを意味しています。

技術的な基礎は、これまで述べてきたXRCross Reality、つまりVRVirtual Reality:仮想現実)、ARAugmented Reality:拡張現実)、MRMixed Reality:複合現実)、SRSubstitutional Reality:代替現実)などが担っていますが、それらを超える特性については、幾つかの指摘があります。

①メタバースは「仮想空間」そのものであり、さまざまなXRは仮想空間内での体験を実現する「手段・技術」にすぎない。

②メタバースはアバターによる「複数」ユーザーの参加を前提にしているが、XR では「一人」のユーザーが中心である。

③メタバースは仮想空間内に世界全体を構築し、継続的な運用をめざしているが、XR 特定の仮想世界の実現だけに限られている。

以上のように、メタバースは単なる仮想空間を超えて、仮想と現実との連携を強化するものであり、それによってビジネス、学習、遊戯などの仮実連携行動を実現していくメディアともいえるでしょう。

このような特性を持つメタバースは、私たち生活民にどのような効果をもたらすのでしょうか。生活構造(「生活体」の3つの軸)の中に位置付けてみましょう。

①感覚・言語軸(縦軸)


❶ユーザーはメタバースが作り出す仮想空間を識分け・言分け・識分けできる。

❷ユーザーはアバターとして仮想空間に働きかけることができる。

❸アバターは理知界で行った思考に基づき、メタバース内の言知界では会話し、識知界(モノコト界)では対物処理もできる。


②個人・社会軸(横軸)



 

❶メタバースの作り出す言語空間は、ラングからパロール1を経てパロール2に及ぶ。

❷メタバースの中で、アバターⅠ複数のアバターⅡと会話できる。

❸メタバースの中で、アバターⅠ自分自身(アバターⅠ)と会話できる。


③真実・虚構軸(前後軸)



❶メタバースの提供する仮想空間は、あくまでも虚構空間である。

❷虚構空間を前提に、アバターは虚実曖昧事象として対応していく。

❸アバターは虚実曖昧の中から真実事象を判断することもできる。

 

以上のような特性を持っているとすれば、メタバースとは高度な仮想空間を設定し、アバターによる仮想行動仮想生活、さらには仮想人生までも模擬体験させられるWeb装置ということになるでしょう。

メタバース「Meta-verse)」というより、「ウェブバース(Web-verse」というほどのものかもしれません。