2026年5月28日木曜日

Life Creators Marketing19:差真化行動をどう進めるか?:作法・儀式

差真化行動の2つめは「作法・儀式」です。

作法・儀式」行動では、望ましい集団生活を作りだそうという目標(言語規範)をめざして、わがままやエゴを抑制しようとする「自行・独行」行動をベースに、季節儀礼や通過儀礼などを守ろうとする「祈祷・祈願」行動や、心の安定や精神力を高めようとする「自省・私考」行動が生まれてきます。

そこで、生活民はこれらを実現するため、自行・独行行動(自己強化、自律訓練など)、祈祷・祈願行動(願掛け、祈念など)、自省・私考行動(内省、黙考など)を行おうとします。供給側には何を求めたたらいいのでしょうか。

自行・独行行動

人生100年時代を乗り切っていくための社会的能力、つまり気力、思考力、精神力などの強化・訓練を求める願望はますます拡大しています。

これに対応するため、供給側にもそれなりの生き方をコーチする心理的サービスや宗教的サービス、あるいは心と身体の一体化を促す東洋的訓練法など、新たな情報、教育、心理的サービスを求めていくでしょう。

祈祷・祈願行動

衣食住から移動や情報に関わる、さまざまな日常的商品やサービスも、たまたま作法やマナーなどに関わって使われると、その途端に「作法」の対象に変わります。

とすれば、日常的・遊戯的を問わず、あらゆる商品やサービスには、作法を促したり、強化する方向に使えないものか、それぞれの用途を見直すことが求められます。

例えば参詣・謹聴(参拝、講演会など)、祝典・祭典(社会的式典・行事など)、季節儀礼(季節行事・慣習など)などを今一度見直し、新たな差真化サービスに置き換えていきます。

自省・私考行動

過去およそ100年にわたる成長・拡大型社会では、日本社会の中に蓄積されてきた社会的儀式や儀礼はほとんど弛緩されてきました。しかし、人口減少の進む飽和・濃縮型社会を心豊かに生きていくためには、もう一度、儀式や儀礼を見直すべきでしょう。

そこで、バレンタインデーやホワイトデーなどの見直し、形骸化した成人式にかわる新元服式や、75歳の新老人を祝う新還暦式などの通過儀礼はもとより、四季を彩る季節儀礼や毎日の挨拶儀礼なども、新たな機能が求められるでしょう。

これらの「作法・儀式」行動に対しては、急進するハイテクツールを応用して、メタバースデジタルツインなどの活用したトレーニングや、ヒューマノイドとともに学ぶ身体訓練なども期待されます。


以上に挙げた「自学・自習行動」に対しては、供給側からもすでにさまざまな対応が進められています。具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』の「8章〝きまじめ〟需要への差真化戦略」で詳細に紹介しています。


こうしてみると、生活民は自らの求める「作法・儀式行動」を広げるためにも、供給側に対して、伝統的な支援サービスを改良しつつ、最先端のハイテクを駆使した、新たな対応を求めていきます。

2026年5月19日火曜日

Life Creators Marketing18:差真化行動をどう進めるか?:自学・自習

生活民自身は供給主導型の消費市場をどのように利用していくべきか、【LCマーケティングのポイント】の⑦に沿って、今回は「差真化」を検討します。

差真化とは【差真化とは何か?】で述べたように、真実界から生まれてくる、学習や訓練、行儀や作法、自制や自律などを求める真欲に応え、勉学やトレーニング、儀式や儀礼、自省法や内観法などを実行する生活行動です。

生活願望の縦軸でいえば、自学欲望、作法欲求、自強欲動の3つであり、これらを対象にして、「自学・自習」、「作法・儀式」、「修行・訓練」といった行動が考えられます。 


最初の「自学・自習」では、将来の知的能力を築こうと自ら勉学を強める「自習」行動をベースに、家庭や職場などでも勉学の機会を増やす「勉学」行動、さらには新たな勉強法や知的関心などを高める「自学・自習」行動が強まってきます。 

そこで、生活民はこれらを実現するため、リスキリング行動、趣味自習行動、雑学自習行動などを行おうとします。


リスキリング行動

超年齢化の進行に伴って、生活民の間では、リスキリング、つまり生産能力の再開発や再教育への願望が高まってきます。

供給市場に対しては、さまざまな成人教育サービスを求めます。とりわけ近年では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に対応できるスキルや知識の再習得を求める行動が増えていますから、クロス・リアリティー、メタバース、デジタルツインなどを活用した、新たな教育サービスを求めます。

趣味自習行動

長い人生をできるだけ豊かに多面化するため、生活民は趣味や教養でも自らの行動を増やす自習願望が高まってきます。

供給市場に対しても、実用的な教育サービスを超えて、さまざまな趣味や嗜好などに応えるサービスを求めます。例えばワインエキスパート、野菜ソムリエ、オタクアート、手芸工芸技能、精神安定サービスなどの研修サービスです。

雑学自習行動

さまざまな知的願望を充たすため、生活民が雑学などでも教養を高めようとする行動も、徐々に増えてきます。

供給市場に対しても、人生そのものを豊かにする雑学やドリル、「哲学カフェ」やスマートフォンで楽しむ脳トレアプリなど知性や感性をアップさせる生涯教育、あるいは芸術、宗教、歴史、文学などの関連イベントや旅行サービス、これらの提供を求めます。

以上に挙げた「自学・自習行動」に対しては、供給側からもすでにさまざまな対応が進められています。具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』の「8章〝きまじめ〟需要への差真化戦略」で詳細に紹介しています。


こうしてみると、生活民は自らの求める自学・自習行動を広げるために、供給側に対しても、伝統的な支援サービスを改良しつつ、最先端のハイテクを駆使した、新たな対応を求めていくでしょう。 

2026年5月4日月曜日

Life Creators Marketing17:差異化行動をどう進めるか?

生活民自身は供給主導型の消費市場をどのように利用していくべきか、「差延化」「差汎化」「差元化」が終りましたので、今回から「差異化」を検討します。

差異化とは【差異化とは何か?】で述べたように、モノやサービスの機能・効率・利便性よりも、言語、記号、意識、理性、観念、物語など、記号やイメージなどを求める欲望」です。具体的に言えば、使い易さや高機能などよりも、カラー、デザイン、ネーミング、ストーリー、ブランドなどを求める生活願望といってもいいでしょう。

しかし、【Life Creators Marketing】で指摘したように、生活民は「欲望」に捉われることなく、むしろ「欲動」や「欲求」への願望に関心を払い、消費市場を提供する供給者に対しても、過剰な記号や機能の供給を超えて、「欲動」や「欲求」を充たせるような素材の提供を強く求めていきます。

差異化手法の問題点については、差異化手法を批判する!】【「差異=排除」を指摘する】【ボードリヤールも批判する】などで、詳しく述べています。

となると、生活民の差異化行動としては、「反差異化:anti-differing」が求められることになります。

従来の供給版マーケティングでは、カラー、デザイン、ネーミング、ストーリー、ブランドなど、「欲望」への対応戦略が最重要課題のように喧伝されています。だが、生活民マーケティングの視点に立てば、これらに決して惑わされることなく、自分自身の内側から生まれる「欲動」や「欲求」に素直に応えていくことの方が優先されるべきです。

具体的な対応を考えてみましょう。

➀形態的記号への対応

使い心地や機能などを無視し、カラーやデザインで奇抜さ、新奇さ、高級さ、エキセントリックなどを誇張する諸道具やサービス、例えば住宅・家具、自動車、ファッション、アクセサリー、ホテル、レストランなどを全て拒否します。

その一方で、差延化差元化に対応する商品やサービス、例えば自由に選べるカラー、加工可能なデザイン、私的感性を充たすようなカラーやデザインなどを求めていきます。

➁言語的記号の拒否

機能や使い心地などとは無関係なネーミングやストーリーなどを、マスメディアやソーシャルメディアで宣伝する商品やサービスを全て拒否します。

その一方で、差延化や差元化に対応する商品やサービス、例えば使い手が自由に選べるネーミング、生活民が独自に付加できるストーリー、私的感性を充たすようなネーミングやストーリーなどを求めていきます。

➂権威的記号の拒否

機能や使い心地など生活民の満足度とは、ほとんど無関係なブランドやマークなど、権威性や階級性などを表象する“記号”を悉く拒否します。

その一方で、差延化や差元化に対応する商品やサービス、例えば生活民が独自に意味づけられるブランド、加工を促すマーキング、私的感性を充たすようなマークなどを求めていきます。


以上に挙げた「反差異化行動」については、供給側からはほとんど対応がされていません。拙著『人口減少逆張りビジネス』でも基本的な姿勢にしか触れておりません。


要約すると、生活“民”マーケティングにおいては、「差異化」行動というより、「反差異化」行動こそが、生活行動の基本姿勢となります。