生活民自身は供給主導型の消費市場をどのように利用していくべきか、「差延化」「差汎化」「差元化」が終りましたので、今回から「差異化」を検討します。
差異化とは【差異化とは何か?】で述べたように、モノやサービスの機能・効率・利便性よりも、言語、記号、意識、理性、観念、物語など、記号やイメージなどを求める「欲望」です。具体的に言えば、使い易さや高機能などよりも、カラー、デザイン、ネーミング、ストーリー、ブランドなどを求める生活願望といってもいいでしょう。
しかし、【Life Creators Marketing5】で指摘したように、生活民は「欲望」に捉われることなく、むしろ「欲動」や「欲求」への願望に関心を払い、消費市場を提供する供給者に対しても、過剰な記号や機能の供給を超えて、「欲動」や「欲求」を充たせるような素材の提供を強く求めていきます。
| 差異化手法の問題点については、【差異化手法を批判する!】【「差異=排除」を指摘する】【ボードリヤールも批判する!】などで、詳しく述べています。 |
となると、生活民の差異化行動としては、「反差異化:anti-differing」が求められることになります。
従来の供給版マーケティングでは、カラー、デザイン、ネーミング、ストーリー、ブランドなど、「欲望」への対応戦略が最重要課題のように喧伝されています。だが、生活民マーケティングの視点に立てば、これらに決して惑わされることなく、自分自身の内側から生まれる「欲動」や「欲求」に素直に応えていくことの方が優先されるべきです。
具体的な対応を考えてみましょう。
➀形態的記号への対応
使い心地や機能などを無視し、カラーやデザインで奇抜さ、新奇さ、高級さ、エキセントリックなどを誇張する諸道具やサービス、例えば住宅・家具、自動車、ファッション、アクセサリー、ホテル、レストランなどを全て拒否します。 その一方で、差延化や差元化に対応する商品やサービス、例えば自由に選べるカラー、加工可能なデザイン、私的感性を充たすようなカラーやデザインなどを求めていきます。 |
➁言語的記号の拒否
機能や使い心地などとは無関係なネーミングやストーリーなどを、マスメディアやソーシャルメディアで宣伝する商品やサービスを全て拒否します。 その一方で、差延化や差元化に対応する商品やサービス、例えば使い手が自由に選べるネーミング、生活民が独自に負荷できるストーリー、私的感性を充たすようなネーミングやストーリーなどを求めていきます。 |
➂権威的記号の拒否
機能や使い心地など生活民の満足度とは、ほとんど無関係なブランドやマークなど、権威性や階級性などを表象する“記号”を悉く拒否します。 その一方で、差延化や差元化に対応する商品やサービス、例えば生活民が独自に意味づけられるブランド、加工を促すマーキング、私的感性を充たすようなマークなどを求めていきます。 |
以上に挙げた「差異化行動」については、供給側からはほとんど対応がされていません。拙著『人口減少逆張りビジネス』でも基本的な姿勢にしか触れておりません。
要約すると、生活“民”マーケティングにおいては、「差異化」行動というより、「反差異化」行動こそが、生活行動の基本姿勢となります。

