2016年3月5日土曜日

ボードリヤールも批判する!

スティグレールやヤングが激しく批判しているのは、「差異化」という手法が権力や優越感などを生み出す「差汎化」の思想と結びつき、不平等や差別といった、さまざまな社会的罪悪を生み出している、という実態です。
 
実をいえば、こうした指摘は、差異化手法の思想的根拠ともなったJ.ボードリヤールの著作の中にも、しばしば登場しています。


例えば初期の代表作『記号の経済学批判』(原題:Pour une critique de l'économie du signe,1972年)の中では、過激な言葉を使って、次のように表現されています。

  • (差異化を生み出す)意味作用は、積極性と価値との支配下における意味を管理する、機能的・テロリスト的な機構として、何らかの物象化に繋がっている。
  • 意味作用とは、記号の増幅された体系を通して、意味の枠付けという社会的・政治的テロリズムまでも反映した、基本的な客観化の場なのである。
  • 権力の体系のあらゆる抑圧的・還元的戦略は、交換価値と政治経済学との内的論理の中にあるのと同じように、すでに記号の内的論理の中にもあるものだ。
  • すべての命名の起源である意味作用は、価値についてしか語ることができない。象徴的なものは価値ではないからである。象徴的なものとは、記号の価値・積極性の喪失・溶解そのものなのである
  • 私は、象徴〈象徴的なもの・象徴交換〉という言葉を、記号・意味作用の概念に対立し、むしろそれらに徹底的に代わるものとして使いたい思う。 
  • 記号と価値を抑制して、象徴的なものを回復させなくてはならない。それは、理論的・実践的なすべての革命において行うべきだ。
     
このように述べて、ボードリヤールは「差異化=記号化」の彼方に、「象徴化」を展望しています。象徴化とは一体いかなる手法なのでしょうか。

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