2026年3月18日水曜日

Life Creators Marketing12:差延化「私仕様」行動をどう進めるか?

生活民自身は、供給主導型の消費市場をどのように利用していくべきか、「差延化」の5つの行動を検討しています。

5番めは「私(わたくし)仕様」行動です。私仕様(customizeとは、消費市場が提供する商品やサービスの〝最大共通素〟的な「共効」だけでは満足せず、オーダーやセミオーダーなどで、自分自身の「私効」を実現しようとする行為です。

具体的な事例は【私仕様・・・生活民はいかに付き合うか?】で触れていますが、生活民という立場からから見れば、次のように展開すべきでしょう。

食生活

加工食品市場では、用途が定められた食品の他に、自分なりの好みを実現するため、生活民は提供者に様々な注文を付けて、純個人的な商品を求めます。

こうした動きは、オーダーメイドハム、オーダーメイド醤油、オーダー味噌などで始まっていますが、今後は品種を広げるとともに、適切な費用設定を求めるべきでしょう。

衣生活

紳士服では一般的だったオーダーパターンオーダーが、最近では婦人服や子ども服にも広がっています。

また紳士服ではインターネットを利用したネットオーダーが始まり、婦人服では店頭での簡易なオーダーを積極的に利用する生活民も増えています。

カジュアル衣料でも、店頭で生地から縫製までをオーダーし、約1ヶ月後に届くオリジナルTシャツ、カスタムオーダー水着、デザインやカラーを選べる矯正用下着などが先行しています。

シューズでは、色やデザインを自由に選べるスポーツシューズや、特注で作る紳士靴や婦人靴なども、店頭やネットで既に始まっています。

住生活 

衣料と共に古くから特注行動が多かった家具分野では、居室にぴったり合った作り付けの家具や、こだわりの強いユーザーが材質やデザインの家具を、店頭で特注する行動が増えています。

最近では、インターネットを利用したオンデマンド・サービスが始まり、今後は大きく伸びていくでしょう。

●移動生活

自動車では、既製の乗用車を自分の好みに改造するカスタムカーサービスや、ユニークなデザインカーを小規模メーカーにオーダーする生活民が増えています。

またバイクや自転車でも、独自の機能やデザインをオーダーする生活民が増えています。

その他の分野

生活民の私仕様願望が増加するにつれて、供給者側でもインターネットユーザーの意見を拾い集め、新たな商品の開発に活かす「ネット商品開発」が広がっています。

家電、腕時計、照明器具といった機能的商品から、バッグ、下着、エプロンなどファッション関連商品にまで、急速に拡大しています。


以上に挙げた「私仕様」行為に対しては、供給側からもすでにさまざまな対応が進められています。具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』で詳しく紹介しています。



こうしてみると、供給主導の消費市場において、生活民が「私仕様」行動を広げていくには、インターネットや生成AIなどを積極的に応用して「カスタマイズ」市場を拡大するとともに、適正な費用設定を創り上げていくことが求められるでしょう。

2026年3月6日金曜日

Life Creators Marketing11:差延化の「参加」行動をどう進めるか?

生活民自身は、供給主導型の消費市場をどのように利用していくべきか、「差延化」の5つの行動を検討しています。

4番めは「参加」行動です。参加とは、生活民自身が、供給側の提供する商品を7~8割程度の素材とみなし、残りの2~3割を自らの参加によって完成品へと変換する行動です。

具体的な事例は【「参加」・・・生活民はこのように付き合え!】で触れていますが、生活民という立場からから見れば、次のようになります。

衣生活

生活民が「こんなふうに作ってほしい」というデザインを、アパレルショップやデパートなどに準備されたコンピューター・グラフィックスで確認し、そのうえでオーダーします。デザイン参加型のファッションともいえるでしょう。

食生活

生活民がウヰスキー蒸溜所の体験教室に参加し、1~2日の醸造作業で自分の好みにあったマイウィスキーを作りあげます。

日本酒でも、生活民が醸造会社の主催するマイ日本酒教室に参加し、原料となる稲の田植えから刈り取りから、酒の仕込みや試飲などにも数回出席して、できあがった酒をマイボトルに入れて持ち帰ります。

住生活

DIY(ドゥー・イット・ユアセルフ)志向が強い生活民が、ホームセンターなどで関連商品を買ってきて、組み合わせ家具や、好みの植栽を自ら創るガーデニングなどを実現させます。

また温水洗浄便座やエアコンなどで、メーカー予め製造したカラー部品を、生活民自身がいろいろ考えて組み合わせ、多様なカラーバリエーションを楽しみます。

ハイテクツール

生活民自身が家電店やネット通販などでさまざまな部品を購入し、ネット上のマニュアルなどに習って、自らパソコンを組み立てます。

その延長上で、今後はさらに自分好みのロボット製作への参加も予想されます。電子工作専門店やオンライン小売店で部品を購入し、マニュアルなどに従って、専用ソフトで動かすロボットにも挑戦するでしょう。


以上に挙げた「参加」行為に対しては、供給側からもすでにさまざまな対応が進められています。具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』で詳しく紹介しています。


このような行動によって、供給者主導型の消費市場も、生活民マーケティングとの折り合いを少しずつ深めていくことになるでしょう。

2026年2月26日木曜日

Life Creators Marketing10:差延化の「編集」行動をどう進めるか?

生活民自身は、供給主導型の消費市場をどのように利用していくべきか、「差延化」の5つの行動を検討しています。

3番めは「編集」行動です。編集とは、さまざまな商品が溢れている消費市場の中から、幾つかの既成品を購入し、自らの手は加えないものの、自由自在に「編集」を加え、自分なりの生活財を創り上げる行為です。

具体的な事例は【編集・・・問われるのはコトとモノの調整力!で触れていますが、生活民という立場からから見れば、次のようになります。


●ホテルのバイキングで朝食を編集する

朝食会場にズラリと並べられた惣菜の中から、好みの料理を選び出し、その日に見合った、独自のモーニングプレートを構成します。

供給者がリードする消費市場で、生活民側が主体となる、典型的な生活行動といえるでしょう。

惣菜バイキングで自前弁当を編集する

惣菜店の店頭に並べられた、5060種の惣菜の中から、好みのものをさまざまに取り上げ、別売りのごはんと合わせて、体調や好みに見合った弁当を作り出します。

マイブレンド酒を編集する

バーのカウンターにズラリと並べられたウィスキーのモルト(原酒)の中から、好みのものを選びだし、量的に編集しながら、自分だけの「マイウィスキー」を作り出します。

自由編集アクセサリーを編集する

アクセサリー市場から購入してきたフリースタイルの素材へ、自らのアイデアでさまざまな編集を加え、1つの素材をブローチにしたり、ペンダントにしたり、いろいろなデザインを楽しみます。

生活民はその時の気分に沿って、いろいろな工夫を加え、自らの満足度を高めていきます。

高級コンポステレオを編集する

ちょっとマニアックな生活民は、A社・B社・C社の発売した、さまざまなステレオ部品の中から好みの素材を買ってきて、独自の組み合わせで再生機を編集し、自分好みの音感を作り出します。


以上に挙げた「編集」行為に対しては、供給側からもすでにさまざまな対応が進められています。具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』で詳しく紹介しています。


これらの事例を見ると、「編集」行動とは、モノには直接手を加えないものの、コト次元の組み合わせや変換によって、モノ次元の「共効」や「個効」を「私効」に変えてしまう生活行動ということになります。

「編集」行動は、供給主導型の消費社会の中で、生活民が主体性を何とか維持している、最も基本的な生活行動ともいえるでしょう。

2026年2月17日火曜日

Life Creators Marketing9:差延化の「変換」行動をどう進めるか?

生活民自身は供給側主導の消費市場をどのように利用していくべきか、「差延化」の5つの行動を検討しています。

2番めは「変換(convert」行動です。変換とは、消費市場から提供される商品のネウチ共効)を、生活民独自の全く別のネウチ私効)に変えてしまう行動です。


「変換」・・・生活民マーケティングの神髄!】でも紹介していますが、代表的な事例は次のようなものです。

風呂敷を変換する

伝統的な梱包用具には、さまざまな使用法が生み出されています。
壁掛けテーブルクロスなどはもとより、ネッカチーフにも変換できます。

100均商品を変換する

100円ショップで買ってきた商品は、全く別の道具に変えられます。
例えば、
コーヒーフィルターをフラワーリース(花飾り)やランプシェード(電灯笠)に、ザルを壁掛け時計に、ステンドグラスオーナメント(装飾ガラス用部品)を窓枠風インテリアに、焼き網をウォールシェルフ(壁棚)に、100円手ぬぐいを子ども服に・・・などなど、生活民はすでにさまざまな変換を実現しています。

マスキングテープを変換する

工業・工作用のマスキングテープは、さまざまな商品を独自の道具に変換できます。
例えば、壁紙、写真フレーム、窓飾りなどのインテリア化はもとより、メガネフレーム、ブローチ、折り紙ネックレスなどのアクセサリー化、ギフトラッピング、グリーティングカードなどの交際グッズ化というように、多様な変換が可能です。

冷蔵庫を変換する

食品保存用の冷蔵庫は、さまざまな用途に変換できます。
実際の使用例を写真で確かめてみると、食品以外に化粧水、薬品ビニール袋に入れた通帳や現金、さらには救急医療情報キット「
命のバトン」などが入っており、総合保管庫として使われています。
 


以上に挙げた「変換」行為に対応する、供給側からの具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』で詳しく紹介しています。


このように振り返ると、「変換」行動は供給側の主導する消費社会においても、それなりの復活を果たしているようです。

これもまた、需給逆転時代の生活民マーケティング、その先端行為ともいえるでしょう。

2026年2月9日月曜日

Life Creators Marketing8:差延化行動をどう進めるか?

LCLife CreatorsMarketing8大ポイントを、前回のブログで提案しました。

このような生活行動を、生活民自身が供給側主導の生活市場に向けて、実際に応用していくには、どのようにすればいいのでしょうか。自律・自給回復型の暮らしをめざすには、供給側の差し出す商品やサービスをいかに利用していくべきか、という課題が浮上してきます。

まずは最も基本となる差延化行動。【差延化行動とは何か?】で述べたように、供給者の差し出す「ききめ」、つまり「共効」を素材として、生活民一人ひとりが独自の「ねうち」、つまり「私効」を積極的に創りだす生活行動、を意味しています。

この行動には、【差延化5行動の関係を考える!】で示したように、私仕様、参加、手作り、編集、変換など、主に5つがあります。これらの行動を生活市場に向けて、どのように実行していくべきでしょうか。

中核となる「手作り」は「自分の手で作る」ことであり、まさに自給自足の典型です。とはいえ、私たちが生きている、現在の市場社会ではほとんど不可能です。

自ら水田へ行って田植えをし、収穫した籾を脱穀・精米してご飯を炊く、という単純な行為でさえ、今では容易なことではありません。スーパーでお米を買ってきて、炊飯器で手ずから炊き上げるのが精一杯の「手作り」です。

それゆえ、イマドキの「手作り」とは、購入してきた素材に何らかのカタチで自らの手を加え、最終的な生活財に作り上げる、という程度でしょう。言い換えれば、5割の素材に5割の手作りを加えて、目的のモノを作りだす、ということになります。

●食生活分野

食生活分野でいえば、私有農園や家庭菜園などで、自ら米麦や野菜を栽培するのが基本ですが、それには種や苗、あるいは肥料や農具などを購入してきたうえで、育成ノウハウを養わなければなりません。

食品や飲料などを手作りする場合でも、素材や器具などを備えたうえで、調理ノウハウを訓練することが必要です。

もっともこの分野では、供給側からもさまざまな対応が始まっているようです。一例を挙げれば、手作りのパン、味噌、豆腐、燻製、ビール、ワイン、日本酒、焙煎コーヒー、ハーブ、ヨーグルトなどでは、適切な素材やノウハウを供給側が提供して、生活民の差延化行動を支援しています。

●衣料分野

衣料分野では、裁縫や編み物などで、自作の衣料を作り出すことが基本ですが、現代の高度な消費社会では、ほとんど行われていません。

とはいえ、個性にこだわる生活民の中には、自らの手で作る自作ファッションを始める人も生まれています。変わった布地で好みのデザインの服を自作したり、古着を加工して全く新しい衣装を作り出すもので、裏原宿あたりの若者の間で流行しています。このためか、一時は不振だったミシンが、再び売れ始めているようです。

●住生活分野

住生活分野では、住宅や家具などを自前で作る行動が該当します。

実例としては、ログハウスに代表されるセルフビルド住宅が代表的な事例であり、建設を指導する学校や、素材キットを販売するメーカーなどが既に登場しています。

また古家具にペインティングして再生するトールペインティング、多様な素材を再活用して立体的な額縁を作るデコパージュ、型紙を切り抜いて古着や古道具などに印刷するステンシルなどのニュー手芸など、手作り家具の分野でも製作指導教室が全国的に増えています。

◆共有側からの対応事例


以上に挙げた、供給側からの具体的な事例については、拙著『人口減少逆張りビジネス』で詳しく紹介しています。

このように振り返ると、手作り行動は供給側の主導する消費社会においても、それなりの復活を果たしているようです。これこそ、需給逆転時代の生活民マーケティング、その先端といえるでしょう。

2026年1月27日火曜日

Life Creators Marketing7:LCマーケティングの8大ポイント

生活民(Life Creators) の消費市場(Market)への対応方法について述べてきました。

供給者(Supplier)側からの市場(market)対応ではなく、需要者(Consumer)からの対応、さらにはより自律的な生活民(Life Creators)からの対応を考えてきました。 


生活民の生活行動を、基本行動、意識行動、虚実行動の3面から眺めてきましたが、それらを統合すると、やはり当ブログで何度も述べてきた「8大ポイント」に行き着きます。

そこで、需要者サイドからの【USUser-side)マーケティングから、自給者サイドからの【SHSelf-helper Marketing)マーケティング】へと進展してきたマーケティング手法をさらに整理・統合し、新たに生活民サイドのから「LCLife Creators)マーケティング)」として提案したいと思います。



以上のような生活行動によって、生活民(Life Creators)自身は供給側主導の生活市場に対し、一定の距離を図りつつ、自律・自給回復型のライフスタイルを構築することになります。

2026年1月20日火曜日

Life Creators Marketing6:生活民の虚実行動とは?

生活“民”マーケティング(Life Creators Marketing)の視点から、基本行動意識行動に続き、今回はMarket(市場)に対応する、生活民の虚実行動を取り上げます。

この行動も生活世界構造の上では、横軸・縦軸から前後軸へ広がっています。

前後軸とは、生活民の虚実行動を並立的に捉えたものです。

生活心理・前後軸から考える!】で述べていますが、人間は「言葉」によって生活空間を創っています。その言葉に潜んでいる【メタ・メッセージ】機能によって、言語空間は【真実界・日常界・虚構】の3つに分かれてきます。

真実界(儀礼界)・・・言葉の示すことを全く疑わないで、すべてを真実とみなす空間で、儀礼や儀式の場に代表される。

日常界・・・真実と虚構の二つの空間の狭間にあって、虚実の入り混じった空間で、私たちが毎日暮らしている日常の場。

虚構界(遊戯界)・・・言葉の示すことはすべて虚構とみなし、その嘘を楽しむ空間で、遊戯やスポーツの場に代表される。

3つの空間の中で生きる生活民は、消費市場からそれぞれの世界へ差し出される誘いに対し、どのように対応していくべきなのでしょうか。

生活行動の基本的な立場は、私効の充実化(差延化)、欲動の重視化(差元化)の視点に立って、3つの世界をより濃密にしていくことだと思います。いたずらに拡大していくよりも、それぞれの世界の密度をいっそう濃くしていくのです。

◆真実市場(儀礼・学習・訓練など)に対しては、目新しさや見栄えなどより、独自性や体感性を求めます。

◆虚構市場(遊戯・怠慢・弛緩など)に対しても、新奇さや誇示性などよりも、個性化や五感性を求めます。

真ん中の日常的な世界に対しては、真実・虚構両市場への密度を高めることで、日々刷新していくことになります。

以上のように、前後軸の虚軸行動では、3つの市場への対応が求められます。

横軸では、「共効」や「個効」を独自の「私効」に変換する能力や方法を高めていき、縦軸では、「欲望」だけに捉われることなく、「欲動」や「欲求」への願望に関心を払うことでした。

だが、前後軸では一方向ではなく、両方向へと関心を払いつつ、その中心部を充実化させ、生活全体を濃密にしていくのです。

こうした行動によって、生活民はそれぞれの暮らしを、いっそう自律化し、濃密にしていくことができるでしょう。