ワケワケセオリーの全体構造を述べてきました。
この構造を基に、筆者は人口波動の中核基盤を「時代識知(共同幻想)」と考えています。
【ワケワケで5つの時代識知が生まれる!】で述べたように、マナイズム、アニミズム、ミソロジー、リリジョン、サイエンスの5つです。
これらの時代識知によって、下図のような5つの波動が生まれてきました。詳細は別のブログで展開していますが、それぞれの時代識知が生み出した文明によって、5つの人口波動が生み出されました。
つまり、マナイズム➔旧石器文明➔石器前波、アニミズム➔新石器文明➔石器後波、ミソロジー➔粗放農業文明➔農業前波、リリジョン➔集約農業文明➔農業後波、サイエンス➔工業文明➔工業現波という次第です。
その一方で、このグラフからは、人類の環境認識の重層的な構造も読み取れます。
現代に生きている私たちは、サイエンスという時代識知に基づき、環境世界を理解しているようですが、同時に認識の深層では、歴史的な時代識知もまた応用しています。
どのような識知でしょうか。
●マナイズムでは、深層言語によって「人間、事物、動植物、諸現象の作用や活動とは、活力、威力、生命力、呪力、超自然力である」(R.R.マレット)と理解しました。 つまり、BC4~BC1万年頃の人類は、太陽や月、風や波、獣や魚などの動きを、活力や生命力と感じ、環境世界はマナ(mana:超自然力、呪力)で動いている、と識知していたのです【マナイズムは深層言語が創った!】。 ●アニミズムでは、象徴言語によって、有機物・無機物を問わず、あらゆるモノの中に霊魂あるいは霊が宿っている、と理解しました。 つまり、BC10000~BC3500年頃の人類は、人間の霊魂に類似する観念を、動植物や自然物など人間以外の諸存在にも類推的に押し広げ、世界は霊魂で形成されている、と理解していました【象徴言語とアニミズムが新石器文明を創った!】。 ●ミソロジーでは、自然言語によって、アニミズムが捉えていた「動いているもの全ては、意志や感情を持つ主体である」という現象を「神格」という観念で受け止め、「神々」という言葉で理解するようになりました。 つまり、BC3500~AD400年頃の人類は、自然言語による擬人化と文章化によって、環境世界と人類の関係性を、神々と人間の対応として統合的に現しました【ミソロジーとは何だろうか?】。 ●リリジョンでは、思考言語によって、ミソロジー(神話)が捉えていた神々の中心には至上神が存在し、あらゆる事象を統御している、という識知を人類に広めました。 つまり、AD400~1400年頃の人類は、4大宗教(仏教、キリスト教、ヒンズー教、イスラム教)を生み出し、物的環境から社会環境までを統御する共同幻想を共有しました【農業後波はリリジョンが作った?】。 ●サイエンスでは、理知言語(観念言語)によって、「さまざまな記号の結びつきで、あらゆる事象が把握できる」という識知を人類間に広めました。 つまり、AD1400~現在の人類は、要素還元主義や数字・記号的思考などに主導される形式科学(論理学・数学など)から始めた発想で、自然科学(物理学・化学・生物学など)を急激に成長させると、さらに行動科学(経済学・心理学・社会学など)にも広め、この世のほとんどの現象を人類に理解させるようになりました【観念言語とサイエンスが工業現波を創った!】。 |
以上のように、人類はこの世、つまり私たちを取り巻く環境世界の把握法を、時の流れとともに更新しつつ、現代に至っています。
とはいえ、5つの時代識知は時代と共に消え去るのではなく、私たちの頭の中で重層的に潜んでいます。具体例をあげれば、次のようになるでしょう。
明日の朝、嵐の海に出航しようとしている漁民たちは、予めスマホで気象状況を確認した(サイエンス)うえで、お寺で安全を祈り(リリジョン)、神社に首を垂れて(ミソロジー)、迫りくる大波をなだめつつ(アニミズム)、水平線下の太陽に希望を託している(マナイズム)のです。 |
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