生活民自身が自律・自給回復型の暮らしをめざして、供給側主導の生活市場の商品やサービスをいかに利用していくべきか、という課題を検討してきました。
差延化、差汎化、差元化、差異化、差真化、差戯化と眺めてきましたので、最後はこれらの真ん中に位置する「差識化」を取り上げます。
差識化とは、【差識化行動とは何か?】で述べたように、「欲求」「実欲」「常欲」が“認識”する、さまざまな有用性の中から、個人的に必要な「ききめ」を判断し、それらを求める生活行動です。
生活世界の真ん中に位置する、あらゆる生活願望の中核から現れる行動で、例えば、欲求レベルの「渇きを潤すため水を飲む」行動、実欲レベルの「衣食住など日常生活の基本となる」行動、常欲レベルの「日常的な生活習慣で暮らす」行動などを意味しています(生活願望・3つの軸から生まれる)。
これらの願望を実現するため、生活民は供給側に何を求めていくべきでしょうか。
●「欲求」行動
無意識次元の動物的、衝動的な「欲動」と、さまざまな「記号」の刺激から生まれる「欲望」の間で、生理的、生物学的な不足状態を解消しようとする生活行動です。 例えば、咽喉が乾くから水を飲む、腹が空いたからパンを食う、寒いからコートを着るなど、一人ひとりの身体の中で「欠如」してくるものを補おうとする行動です。 生活世界の縦軸に対しても、生活民の基本行動は「差延化」ですから、供給側には差延化支援が求められます。飲料水の選択多様化、パン素材の拡大、コート選択肢の拡大といってところでしょう。 |
●「実欲」行動
世間的な評価を手に入れたいと思う「世欲」と、他人にどういわれようと純私的に満足したいと思う「私欲」の間で、家事、就業、寝食など日常的な生活の中に、実効的な効果や成果を得ようとする生活行動です。 例えば、炊事、洗濯、掃除、作業、業務活動など、社会的名望や純私的な満足を遠ざけた、極めて日常的な生活行動です。 生活世界の横軸に対する、生活民の基本行動は「差元化」ですから、供給側には差元化支援が求められます。味覚をより深める炊事用具、肌触りを深める洗濯機器、臭いを緩和する掃除用具といったところでしょう。 |
●「常欲」行動
言葉の示す目標へ自らを律する「真欲」と、目標を緩めて遊びや解放を味わう「虚欲」の間に合って、虚実を振り分けつつ日々の暮らしを実現しようとする生活行動です。 例えば、日常的な生活習慣で暮らすこと、曖昧な言葉遣いを気にせず会話することなど、厳しさも面白さもスルーする生活行動です。 生活世界の前後軸に対する、生活民の基本行動は「差延化×差元化」ですから、供給側にも差延・差元化支援が求められます。自律的・感覚的な暮らしを支援するサービス、生活民を戸惑わせないような会話サービスなどでしょう。 |
以上に挙げた3願望、つまり「欲求」「実欲」「常欲」を求める、さまざまな行動が多様にミックスした次元、これこそが私たちの日常生活の実態である以上、供給側にはますますフレキシブルな対応が求められます。













