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2025年7月19日土曜日

生活学・新原論Ⅷ-1:生活コスト論が始まる!

「生活時間論」がひとまず終わりましたので、生活学・新原論は「時間から費用へ」と視点を移し、今回から「生活コスト論」を考えていきます。

生活コストの代表的な指標としては、総務省統計局の「家計調査」があります。1946年に始まった「社会生活基本調査」を継承し、1953年からは「家計調査」として5年ごとに実施されています。

家計調査の用途別支出項目を、当ブログの【生活世界構造】に対応させるため、まずは世界構造の7つの生活行動を確認しておきましょう。

差識化・・・さまざまな有用性の中から、日常的に必要な「ききめ」を求める生活行動。

差元化・・・身体性や直感性、原始性や動物性など「身分け」力を求める生活行動。

差異化・・・言語やイメージなど、さまざまな「記号」を求める生活行動。

差汎化・・・社会的なネウチや共同体的な「ねうち」つまり「共効」を求める生活行動。

差延化・・・生活民が個人的な「ねうち」、つまり「私効」を求める生活行動。

差真化・・・儀式、勉学、トレーニングなど「真面目」を求める生活行動。

差戯化・・・虚脱、浪費、戯び、ゲームなど「遊び」を求める生活行動。

以上のような7つの生活行動へ、家計調査の用途別支出項目を当てはめると、下表のようになります。


用途別支出項目を生活世界要素に振り分けてみましょう。

食料費では、穀類、魚介類、肉類、乳卵類、野菜・海藻、果物、油脂・調味料、調理食品、飲料が「差元化」に、また菓子類、酒類、外食が「差戯化」に該当します。

住居費では、家賃地代、設備修繕・維持  が「差識化」に当たります。

光熱・水道費では、電気代、ガス代、上下水道料が「差識化」に当たります。

家具・家事用品費では、家庭用耐久財が「差識化」、室内装備・装飾品が「差異化」、寝具類が「差元化」、家事雑貨・消耗品・家事サービスが「差識化」に、それぞれ該当します。

被服及び履物費では、和服や洋服が「差異化」、シャツ・セーター類  ・下着類が「差元化」、履物類や被服類が「差識化」に当たります。

保健医療費では、医薬品や器具類、保健医療サービスが「差元化」に当たります。

交通・通信費では、交通や自動車等関係費  が「差汎化」に、通信が「差異化」に該当します。

教育費では、授業料等や教科書・学習参考教材が「差真化」に相当します。

教養娯楽費では、教養娯楽用品や  教養娯楽サービスなどで真面目と遊びが混在しているため、「差真化」と「差戯化」の2つに分けることになります。

諸雑費では、理美容サービスや理美容用品、身の回り用品が「差延化」、たばこが「差戯化」、他の諸雑費が「差識化」に相当します。

こづかいや使途不明金は、「差延化」に当たります。         

交際費は「差汎化」に相当します。

仕送り金は「差汎化」に相当します。

以上のような対応を前提にすると、私たちの生活構造が「貨幣価値」として浮かび上がってきます、これにより、生活経済学家政学本質的な分析が期待できるでしょう。             

2025年9月17日水曜日

生活学・新原論Ⅷ-6:生活コスト論を振り返る!

生活学・新原論では、8番目の検討項目として「生活コスト論」を考えてきました。

総務省統計局の「家計調査年報・家計収支編」をベースに、当ブログの「生活世界構造」の視点に基づき、➀10年間の変化、➁複合世帯と単身者、➂単身者の男性と女性、➃単身者の年齢別消費について、7差化の動向を分析しました。

10年間の変化では、差元化と差戯化で自宅内・家庭内での生活コストが増える一方、差異化、差延化、差汎化では、外部や外見などへの支出を減らす傾向が見られました。

複合世帯と単身者を比較すると、前者では差元化と差真化が、後者では差識化、差延化、差戯化がそれぞれ高く、背景には世帯人数、育児・教育費、嗜好消費などの違いが読み取れました。

単身者の性別を比べると、男性では差戯化や差汎化など、外向きの消費傾向が強く、女性では理美容消費の差延化や、差識化や差元化など、内向き消費が多いようです。

単身者の年齢別では、「~34歳」の若い世代は居住や遊びなどに、「35~59歳」の中年世代は交通費や交際費などに、「60歳~」の高齢世代は医療費や交際費などに、それぞれが生活行動の重点を置いている、などがわかりました。

以上のような傾向を「生活世界構造」として判読すると、次のような生活態様が浮かんできます。

❶コスト構成の基本的傾向としては、差元化、差識化、差汎化の3が高い順に並び、続いて差戯化、差真化、差異化、差延化の順となっています。

上位の3つ、差元化(食料、寝具、下着、医療など)、差識化(家賃、光熱費、消耗品、雑費など)、差汎化(交通、通信、交際など)は、活の基本的な消費を示しており、身体維持を基本としつつ、外部的な交流が求められているようです。

下位の4つ、差戯化(菓子、酒類、外食など)、差真化(教育、教養など)、差異化(装飾品、ファッション、通信など)、差延化(理美容、身のまわりなど)は、個人的な嗜好性に基づく生活志向を示しています。

下位前半の差戯化と差真化は、心理的、あるいは精神的な消費の比重を示しており、遊びなどの方が勉学よりも多少多く求められるようです。しかし、差戯化と差真化に相当する消費データは、「家計調査年報」では「教養娯楽用品・サービス等」として一括集計されていますので、両者の強弱を正確に把握することはできません

下位後半の差異化と差延化は、純個人的な趣味や独創性の比重を示しており、生活世界の主体である生活基盤の強弱を表わしているようです。

このように整理してみると、「生活世界構造」による「生活コスト」分析によって、私たちの暮らしの深層的な構造が、朧げながらも浮かび上がってきます。

2025年4月23日水曜日

生活学・新原論Ⅶ-1:生活時間論が始まる!

生活空間論」がひとまず終わりましたので、生活学・新原論は「空間から時間へ」と視点を移し、今回から「生活時間論」を考えていきます。

生活時間の構成や統計については、総務省統計局1976(昭和51)年から5年ごとに実施している「社会生活基本調査」が、先例として参考になります。

この調査は、統計法に基づく基幹統計『社会生活基本統計』の資料として、生活時間の配分や自由時間の活動状況など、国民生活のデータを集めるもので、生活時間の構成については、次のように設定されています。

1次活動・・・睡眠、身の回りの用事、食事

2次活動・・・通勤・通学、仕事、学業、家事、介護・看護、育児、買い物

3次活動・・・移動(通勤・通学を除く)、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・くつろぎ、学習・自己啓発・訓練(学業以外)、趣味・娯楽、スポーツ、ボランティア活動・社会参加活動、交際・付き合い、受診・療養、その他

このような生活区分に対し、当ブログ「生活学・新原論」の生活行動体系では、次のように7つに設定しています(7差化)

❶差延化(個人的・純私的行動)⇔ ❷差汎化(社会的・集団的行動)

❸差異化(記号的・意識的動)⇔ ❹差元化(感覚的・無意識的行動

❺差戯化(遊戯的・虚構的行動)⇔ ❻差真化(真摯的・目標的行動)

❼差識化(生活世界の中心としての日常的行動)

両者を対比させると、下図のようになります。

 の意味するところを、一通り説明しておきましょう。

➀1次活動

●睡眠・・・典型的な感覚的・無意識的行動であり、差元化です。

●身の回りの用事・・・最も日常的な行動であり、差識化です。

●食事・・・これまた典型的な日常的な行動であり、差識化です。

➁2次活動

●通勤・通学・・・社会活動への参加という意味で、差汎化です。

●仕事・・・最も社会的な活動という意味で、差汎化です。

●学業・・・真理を求める行動として、差真化です。

●家事・・・典型的な日常行動として、差識化です。

●介護・看護・・・個人的な支援活動として行われており、差延化です。

●育児、買い物・・・介護・介護と同じく、個人的な生活行動であり、差延化です。

➂3次活動

●移動(通勤・通学を除く) ・・・社会的な目標に向かうという意味で、差汎化です。

●テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・・・典型的な記号訴求行動であり、差異化です。

●休養・くつろぎ・・・虚脱行動そのものであり、差元化です。

●学習・自己啓発・訓練(学業以外) ・・・典型的な真理的・真摯的行動であり、差真化です。

●趣味・娯楽・・・典型的な遊戯行動であり、差戯化です。

●スポーツ・・・これまた広義の遊戯行動であり、差戯化です。

●ボランティア活動・社会参加活動・・・社会へ向かう意識の点で、典型的な差汎化です。

●交際・付き合い・・・社会への関与を求める点で、差汎化です。

●受診・療養・・・身体という感覚器官に関わる点で、差元化です。

●その他・・・上記以外のさまざまな生活行動は、生活世界の中心において、日常的な差識化として行われています。 

このような対比を前提にしつつ、「社会生活基本調査」の統計的データを「生活学:新原論」の生活構造素材として、多面的に活用していきます。

2025年11月26日水曜日

生活学・新原論を応用する・・・生活行動

生活学・新原論の論考を整理し、応用分野を展開しています。

今回は「生活願望」と「ネウチ」を応用した「生活行動」論です。

前回述べたように、「生活世界構造」から生まれてくる「生活願望」と「ネウチ」を前提にすると、私たちの生活行動は大きく分けて、差異化、差元化、差延化、差汎化、差真化、差戯化、差識化の7つに分かれてきます。



縦軸・・・上方の「欲望」からは差異化」行動が、下方の「欲動」からは「差元化」行動が生まれます。

横軸・・・左下の「私欲」からは「差延化」行動が、右上の「世欲」からは「差汎化」行動が生まれます。

➂前後軸・・・右下の「真欲」からは「差真化」行動が、左上の「虚欲」からは「差戯化」行動が生まれます。

➃中央・・・「欲求」「実欲」「常欲」から生まれてくる「日欲」からは「差識化」行動が生まれます。


7つの生活行動の要点を整理しておきましょう。

差異化とは、【差異化行動とは何か?】で述べたように、生活願望の「欲望」に対応して、モノやサービスのうえに言語やイメージなど、さまざまな「記号」を求める生活行動です。

事例:常欲レベルでは、作文や日記などの記述。虚欲レベルでは、お気に入りファッションの着用。真欲レベルでは、哲学書の講読など。

差元化とは、【差元化行動とは何か?】で述べたように、生活願望の「欲動」に対応して、記号や機能をあえて外し、身体性や直感性、原始性や動物性などの「身分け」力を回復させる生活行動です。

事例:常欲レベルでは、温浴行動。虚欲レベルでは、夢や幻想などに戯れる行動。真欲レベルでは、自然現象を神や仏として信仰する行動など。 

差延化とは、【差延化行動とは何か?】で述べたように、供給者の差し出す「ききめ」、つまり「共効」を素材として用い、生活民一人ひとりが独自の「ねうち」、つまり「私効」を積極的に創りだす生活行動です。

事例:欲求レベルでは、生活民が自ら行う装飾・塗装行動。欲望レベルでは、メモ帳に自分の論理や理屈を書く行動。欲動レベルでは、自然現象を自ら信仰する行動など。

差汎化とは、【差汎化行動とは何か?】で述べたように、社会、価値、同調などを求める「世欲」に応えて、社会的なネウチや共同体的な価値を創りだす生活行動です。

事例:欲求レベルでは、生活基盤を求めて就業する行動。欲望レベルでは、大学の講義を聴講する行動。欲動レベルでは、夢や幻想を宗教化する行動など。

差真化とは、【差真化行動とは何か?】で述べたように、真実界から生まれてくる、儀礼や儀式、学習や訓練、自制や自律などを求める真欲に応えて、儀式や儀礼、勉学やトレーニング、自省法や内観法などを実行する生活行動です。

事例:欲求レベルでは、生活作法を学ぶ行動。欲望レベルでは、大学などで講義を学ぶ行動。欲動レベルでは、木像信仰を宗教化する行動など。

差戯化とは、【差戯化行動とは何か?】で述べたように、虚構界から生まれてくる弛緩、解放、遊興などを求める虚欲に応えて、虚脱・混乱、浪費・蕩尽、戯化・模擬、ゲーム・競争などを実行する生活行動です。

事例:欲求レベルでは、自作のスマホゲームを発信する行動。欲望レベルでは、黒板やディスプレィに戯画や漫画を描く行動。欲動レベルでは、頭の中で夢や幻想と戯れる行動など。

差識化とは、【差識化行動とは何か?】で述べたように、「欲求」「実欲」「常欲」が“認識”する、さまざまな有用性の中から、個人的に必要な「ききめ」を判断し、それらを求める生活行動です。

事例:欲求レベルでは、渇きを潤すため水を飲む行動。実欲レベルでは、衣食住など日常生活の基本となる行動。常欲レベルでは、日常的な生活習慣で暮らす行動など。

以上のように、生活学・新原論の新視点を応用すると、私たちの生活行動のさまざまな特性が、7つの角度から次々に浮かび上がってきます。

2025年8月12日火曜日

生活学・新原論Ⅷ-3:家族世帯と単身者を比較する!

当ブログの提案する「生活世界構造」によって、生活コストの実態を分析しています。

総務省統計局の「家計調査年報・家計収支編:2024年」のデータに基づき、今回は複合世帯(2人以上世帯)単身世帯月間消費動向を比較してみましょう。

日本の家族構成2024年で推計すると、複合世帯は3,431世帯(60)単身世帯は2,296世帯(40%)となっています(国立社会保障・人口問題研究所・日本の世帯数の将来推計:2025)。

両方の世帯において1ヵ月当たりの消費支出額を比較すると、複合世帯(2024年人員:2.99人)300,243、単身世帯では169,547となっています。

それぞれの中味を当ブログの7差化で比較してみましょう。


消費金額比較

●上の図の上方金額別に見ると、両世帯の消費金額はほぼ同じ傾向を示しています。

前回と同じく、教養娯楽データは差真化と差戯化に等分しています。)

●出費傾向では、複合世帯のトップが差元化(食料、寝具など)であるのに対し、単身世帯のトップは差識化(住居、光熱費など)となっています。

●なぜ単身世帯で差識化が高いのでしょうか。食料や寝具などへの基本的な出費(差元化)は、世帯人数に比例していますが、ベーシックな差識化への負担は、単身世帯でも複合世帯とほぼ同様にかかり、人数配分の少ない分だけ多くなるからだ、と思います。

消費構成比較

●図の下方構成比(%)に比較すると、複合世帯は差元化と差真化で、単身世帯は差識化、差延化、差戯化でそれぞれ高く、差異化と差汎化ではほぼ同じです。

●複合世帯で差元化が高いのは、上記のように世帯人数に比例しているからであり、差真化が高いのは、授業料や教科書代など子どもたちへの費用がかかるからです。

●単身世帯で差識化が高いのは、家賃や設備など住宅関連の費用が高いためであり、差延化が高いのは理美容品やサービスへの消費が多いからです。差戯化が高いのは、外食の消費機会が多いからだ、と思われます。


以上のように、複合世帯と単身世帯の消費傾向を比較してみると、基本的な消費構成はほぼ同じではありますが、世帯人数、育児・教育費、嗜好消費などの点では当然のように差異が浮上してきます。

2025年7月26日土曜日

生活学・新原論Ⅷ-2:10年で生活コストが変わった!

当ブログの提案する「生活世界構造」によって、生活コストの実態を分析しています。

総務省統計局の「家計調査」のデータ(2人以上の世帯・1世帯当たり1か月間の用途別支出金額)を素材に、今回は10年間の変化を考えてみます。

20142024を、前回述べた生活行動7項目【生活世界構造】によって仕分けし、デフレーターを考慮して、で表してみると、下図のようになります。

(教養娯楽データは、前回指摘したように差真化と差戯化に等分しています。)

2014年と2024年を比べてみると、全体では次のような変化が浮上してきます。

➀7項目別では、差識化(約25%)、差元化(約23%)、差汎化(約12%)の比重が高く、この3つで60に達しています。

2014年より2024年が高かったのは差元化(+3.42%)と差戯化(+1.26%であり、ほとんど変わらなかったのは差真化(+0.02%、低かったのは差識化(−0.25%)、差異化(−0.86%)、差延化(−1.32%)、差汎化(−2.27%です。

生活行動別に眺めると、次のような変化が見られます。

❶差元化では、調理食品、肉類、穀類などの食品保険医療費が増えています。

❷差戯化では、菓子類外食などが増えています。

❸差真化では、教育、教養費がともに伸びています。

❹差識化では、家事用消耗品家庭用耐久財などへの支出が増えましたが、光熱・水道費が減っています。

❺差異化では、洋服通信費が減っています。

❻差延化では、理美容品やサービスが増えましたが、小遣い使途不明金が減っています。

❼差汎化では、交際費が大幅に減っています。

全体的に見れば、差元化、差戯化などで自宅内・家庭内での生活コストが増えていますが、差異化、差延化、差汎化などでは、外部や外見などへの支出を減らす傾向が現れています。

この背景には、コロナ禍の残滓による在宅中心生活の継続や、濃密社会の浸透に伴う欲望志向の低下などが推定されるでしょう。

2025年8月22日金曜日

生活学・新原論Ⅷ-4:単身者・男性×女性を比較する!

今回の生活コスト分析では、前回の「複合世帯当×単身世帯」に続き、単身世帯の「男性×女性」を検討してみます。

●基本データ

➀日本の単身世帯は2,296万世帯(総世帯数の40%)で、男性が1,176万世帯(21%)女性が1,121万世帯(19%)です(国立社会保障・人口問題研究所・日本の世帯数の将来推計:2025)。

➁生活コストのデータは、総務省統計局の「家計調査年報・家計収支編:2024年」の「男女・年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(単身世帯)」です。

➂集計対象となったサンプル数は649平均年齢は58.7(男性53.5歳、女性63.4歳)、有業者比率は57(男性67%、女性47%)、持家率は60.1(男性52.4%、女性66.8%)です。

➃1ヵ月当たりの消費支出額は、男性世帯が164,372女性世帯が174,112であり、女性の方が10,000ほど多くなっています。理美容商品・サービスや交際費などが多少多いから、と思われます。


●消費傾向比較

以上のようなデータを基に、男女別の消費傾向を当ブログの「7差化」で比較してみましょう(前回と同じく、教養娯楽データは「差真化」と「差戯化」に等分しています)。


❶7差化別の消費構成は、男性、女性ともほぼ同じ傾向を示しています。

❷7差化で比較すると、男性が高いのは差戯化と差汎化女性が高いのは差延化、差元化、差識化、差異化で、差真化はほぼ同じです。

男性差戯化6%ほど高いのは、外食、酒、たばこなどが、差汎化が1%高いのは自動車関係費などが、それぞれ比重が重いからです。

女性差延化4%ほど高いのは理美容用品・サービスなどが、差元化2%ほど高いのは野菜・海藻類が、差識化0.7%ほど高いのは光熱水道費や生活雑費などが、差異化で0.6%ほど高いのは洋服代や通信費などが、それぞれ重いからです。

以上のように見てくると、男性では差戯化や差汎化など、どちらかといえば外向きの消費傾向が強いのに対し、女性では差延化で理美容消費とともに、差識化や差元化など、生活の基本に関わる内向き消費が多いことが浮かんできます。 

2026年7月14日火曜日

Life Creators Marketing24:差識化行動をどう進めるか?

生活民自身が自律・自給回復型の暮らしをめざして、供給側主導の生活市場の商品やサービスをいかに利用していくべきか、という課題を検討してきました。

差延化、差汎化、差元化、差異化、差真化、差戯化と眺めてきましたので、最後はこれらの真ん中に位置する「差識化」を取り上げます。

差識化とは、【差識化行動とは何か?】で述べたように、「欲求」「実欲」「常欲」が認識する、さまざまな有用性の中から、個人的に必要な「ききめ」を判断し、それらを求める生活行動です。

生活世界の真ん中に位置する、あらゆる生活願望の中核から現れる行動で、例えば、欲求レベルの「渇きを潤すため水を飲む」行動、実欲レベルの「衣食住など日常生活の基本となる」行動、常欲レベルの「日常的な生活習慣で暮らす」行動などを意味しています(生活願望・3つの軸から生まれる)。

これらの願望を実現するため、生活民は供給側に何を求めていくべきでしょうか。

●「欲求」行動

無意識次元の動物的、衝動的な「欲動」と、さまざまな「記号」の刺激から生まれる「欲望」の間で、生理的、生物学的な不足状態を解消しようとする生活行動です。

例えば、咽喉が乾くから水を飲む、腹が空いたからパンを食う、寒いからコートを着るなど、一人ひとりの身体の中で「欠如」してくるものを補おうとする行動です。

生活世界の縦軸に対しても、生活民の基本行動は「差延化」ですから、供給側には差延化支援が求められます。飲料水の選択多様化、パン素材の拡大、コート選択肢の拡大といってところでしょう。

●「実欲」行動

世間的な評価を手に入れたいと思う「世欲」と、他人にどういわれようと純私的に満足したいと思う「私欲」の間で、家事、就業、寝食など日常的な生活の中に、実効的な効果や成果を得ようとする生活行動です。

例えば、炊事、洗濯、掃除、作業、業務活動など、社会的名望や純私的な満足を遠ざけた、極めて日常的な生活行動です。

生活世界の横軸に対する、生活民の基本行動は「差元化」ですから、供給側には差元化支援が求められます。味覚をより深める炊事用具、肌触りを深める洗濯機器、臭いを緩和する掃除用具といったところでしょう。

●「常欲」行動

言葉の示す目標へ自らを律する「真欲」と、目標を緩めて遊びや解放を味わう「虚欲」の間に合って、虚実を振り分けつつ日々の暮らしを実現しようとする生活行動です。

例えば、日常的な生活習慣で暮らすこと、曖昧な言葉遣いを気にせず会話することなど、厳しさも面白さもスルーする生活行動です。

生活世界の前後軸に対する、生活民の基本行動は「差延化×差元化」ですから、供給側にも差延・差元化支援が求められます。自律的・感覚的な暮らしを支援するサービス、生活民を戸惑わせないような会話サービスなどでしょう。

以上に挙げた3願望、つまり「欲求」「実欲」「常欲」を求める、さまざまな行動が多様にミックスした次元、これこそが私たちの日常生活の実態である以上、供給側にはますますフレキシブルな対応が求められます。

2025年9月27日土曜日

生活学・新原論・ひとまずまとめ!

ほぼ1年半にわたり「生活学・新原論」を展開してきましたので、ここでひとまず、基本的な方向を整理しておきましょう。

新原論Ⅰ・生活主体・・・「生活民」を提案しました。

生活民とは、市場社会のユーザーを超えて、市場の成立以前から存在した、自立的な人間像を意味しています。「自給自立人」という発想ですから、英訳すれば「Self-helper」になるでしょう。

新原論Ⅱ・生活意識・・縦軸、横軸、前後軸の3視点で意識構造を捉えます。

縦軸では未知界~認知界~識知界~言知界~理知界の5つの認識行動、横軸では社会界~間人界~個人界の3つの対応行動、前後軸では真実界~日常界~虚構界の3つの世界が浮上し、3軸をクロスさせた立方体を生活民の意識構造と考えます。

新原論Ⅲ・生活世界構造・・・3軸をクロスした立方体を、生活民の意識構造から拡大し、最も基本的な生活世界へと展開していきます。

言葉が創り出す、3つの軸で構成される生活世界構造。これこそが、生活民の心理、願望、行動などが生まれてくる基盤となります。

新原論Ⅳ・生活願望論・・・生活世界構造から7つの願望が浮上してきます。

私たちの生活願望は、欲望~欲求~欲動、世欲~実欲~私欲、真欲~常欲~虚欲の9つに分けられ、欲求・実欲・常欲を「日欲」とまとめると、7つに整理できます。

新原論Ⅴ・生活行動論・・・生活願望を基盤にすると、生活民の生活行動は7つの行動として展開されることになります。

生活願望の構造からは、差識化、差異化、差元化、差延化、差汎化、差真化、差戯化の、7つの生活行動が生まれてきます。

新原論Ⅵ・生活空間論・・・生活民の居住空間もまた、7つの生活願望に基づいて、7つの要素に分かれてきます。

差識化では最も基本的な居住「住み家」、差異化では家屋のデザインや屋内の家具意匠、差元化では家屋への直感や雰囲気、差延化では自室や寝室への自作行動、差汎化では改造可能性の高い居室やDIY先導型の家具、差真化では学びや信仰のための住居や家具、差戯化では遊びや休養のための別荘や家具などが、それぞれ求められます。

新原論Ⅶ・生活時間論・・・生活民の生活時間についても、7つの生活願望に基づいて、7つの要素に分かれてきます。

生活世界構造で生活時間統計を読み解くと、【感覚⇔観念】の比重、つまり上下活動(感覚的・無意識的行動⇔記号的・意識的行動)が中心であり、この軸に生活時間消費の核心が潜んでいることがわかります。

新原論Ⅷ・生活コスト論・・・生活世界構造で家計調査を分析すると、私たちの暮らしの重層的な構造が浮かび上がってきます。

コスト構成の基本的傾向としては、差元化(食料、寝具、下着、医療など)、差識化(家賃、光熱費、消耗品、雑費など)、差汎化(交通、通信、交際など)の3つが高い順に並び、続いて差戯化(菓子、酒類、外食など)、差真化(教育、教養など)、差異化(装飾品、ファッション、通信など)、差延化(理美容、身のまわりなど)の順となっています。

以上のように、新原論の原点では、新たな生活主体としての「生活民」の立場から、衣食住などへの生活願望、生活時間、生活コストなどの基本要素を見直すことができました。

この延長線上では、どのような展開が可能なのでしょうか。

2024年12月24日火曜日

生活学・新原論Ⅴ-7:差識化行動とは何か?

生活行動論の7番めは「差識化」行動です。

差識化とは、【生活学・新原論Ⅴ:生活行動…7つを考える!】で述べたように、生活世界の中央の「日欲」を構成する3つの生活願望、つまり「欲求」「実欲」「常欲」が“認識”する、さまざまな有用性の中から、個人的に必要な「ききめ」を判断し、それらを求める生活行動です。

これまで6つの生活行動を、【生活体マンダラ・立方界を提案する!】で述べた、3つの願望の軸、つまり【欲望・欲求・欲動】【私欲・実欲・世欲】【真欲・常欲・虚欲】をクロスさせた、3×3×3の立方体で説明してきました。

このうち、差異化行動は上部の、差元化行動は下部の、差延化行動は左側の、差汎化行動は右側の、差真化行動は奥側の、差戯化行動は前側の、それぞれ9つの行動を26の行動にまとめて考察してきました。

となると、9×3=27からマイナス1、丁度ど真ん中に当たる立方体の部分だけが残っています。


この空間こそ、私たち人間が日常的な生活を営んでいる中心領域であり、【
生活学・新原論Ⅴ:生活行動…7つを考える!】で述べたように、「日欲」という生活願望に基づいて、さまざまな行動が生まれている次元です。

これらの行動を「差識化」行動と名づけますが、差識化とは上記で述べたように、「欲求」「実欲」「常欲」が“認識”する、さまざまな有用性の中から、個人的に必要な「ききめ」を判断し、それらを求める生活行動といえるでしょう。

それゆえ、差識化行動は【生活願望・3つの軸から生まれる】で解説した【欲求・実欲・常欲】の3つの願望の内容を前提にすると、次のように説明できます。

➀欲求行動・・・無意識的な次元の動物的、衝動的な「欲動」と、さまざまな「記号」の刺激から生まれる「欲望」の間に合って、生理的、生物学的な不足状態を解消しようとする生活行動です。

例えば、咽喉が乾いたから水を飲む、腹が空いたからパンを食う、寒くなったからコートを着るなど、一人ひとりの身体の中で「欠如」してくるものを補おうとする生活行動です。

➁実欲行動・・・・世間的な評価を手に入れたいと思う「世欲」と、他人にどういわれようと純私的に満足したいと思う「私欲」の間で、家事、就業、寝食など日常的な生活の中に、実効的な効果や成果を得ようとする生活行動です。

例えば、炊事、洗濯、掃除、作業、業務活動など、社会的名望や純私的な満足を遠ざけた生活行動をさします。

➂常欲行動・・・言葉の示す目標へ自らを律する「真欲」と、目標を緩めて遊びや解放を味わう「虚欲」の間に合って、虚実を振り分けつつ日々の暮らしを実現しようとする生活行動です。

例えば、日常的な生活習慣で暮らすこと、曖昧な言葉遣いを気にせず会話することなど、厳しさも面白さもスルーする生活行動です。

以上に挙げた3行動、つまり「欲求」「実欲」「常欲」を求める、さまざまな行動が多様にミックスした次元、これこそ、私たちが日常的に営んでいる生活行動の実態といえるでしょう。

2025年9月5日金曜日

生活学・新原論Ⅷ-5:単身者・年齢別消費を比較する!

新原論の生活コスト分析では、前回の「単身者・男性×女性」に続いて、今回は「単身世帯の年齢階層」を検討してみます。

●基本データ

日本の単身世帯は2,296万世帯(総世帯数の40%)で、「~34歳」が627万世帯(27%)、「35~59歳」が702万世帯(31%)、「60歳~」が967万世帯(42%)です(国立社会保障・人口問題研究所・日本の世帯数の将来推計:2025)。

➁生活コストのデータは、総務省統計局の「家計調査年報・家計収支編:2024年」の「男女・年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(単身世帯)」です。

➂集計対象となったサンプル数649人で、「~34歳」が68世帯(平均年齢:27.7)、「35~59歳」が121世帯(同:50.6)、「60歳~」が460世帯(同:75.1)です。

有業者比率は、「~34歳」が99、「35~59歳」が90、「60歳~」が23です。

➄1ヵ月当たりの消費支出額は、「~34歳」が176,160、「35~59歳」が184,750、「60歳~」が159,249、平均が169,547です。

以上のようなデータを基に、年齢階層別の消費傾向を当ブログの「7差化」で比較してみましょう(前回と同じく、教養娯楽データは「差真化」と「差戯化」に等分しています)。

●消費傾向比較

➀生活行動で見ると、差識化では「~34歳」(主に居住関係費が高い)、差元化では「60歳~」(主に医療費が高い)、差異化では年齢差なし、差汎化では「35~59歳」(主に自動車等関係費が高い)、差延化では「~34歳」(主に理美容関係費が高い)、差真化差戯化では「~34歳」(主に教育費と娯楽費が高い)と、それぞれの階層の比重が高いようです。

➁年齢階層で見ると、「差元化」「差汎化」「差戯化」でバラつきが大きく、それ以外ではほぼ同様の比率を示しています。

➂「~34歳」では「差識化」「差延化」「差真化」「差戯化」が平均値より高く、「差元化」と「差汎化」が下回っています。

➃「35~59歳」では「差汎化」と「差戯化」が平均値より高く、それ以外はほとんど低い状況です。

➄「60歳~」では「差元化」が平均値より高いのですが、それ以外はすべて低い状態で、とりわけ「差戯化」は最低です。

こうして生活コストのデータを見てくると、「~34歳」の若い世代は居住や遊びなどに、「35~59歳」の中年世代は交通費や交際費などに、「60歳~」の高齢世代は医療費や交際費などに、それぞれの世代の生活行動の重点が浮かび上がってきます。