「生活空間論」がひとまず終わりましたので、生活学・新原論は「空間から時間へ」と視点を移し、今回から「生活時間論」を考えていきます。
生活時間の構成や統計については、総務省統計局が1976(昭和51)年から5年ごとに実施している「社会生活基本調査」が、先例として参考になります。
この調査は、統計法に基づく基幹統計『社会生活基本統計』の資料として、生活時間の配分や自由時間の活動状況など、国民生活のデータを集めるもので、生活時間の構成については、次のように設定されています。
●1次活動・・・睡眠、身の回りの用事、食事 ●2次活動・・・通勤・通学、仕事、学業、家事、介護・看護、育児、買い物 ●3次活動・・・移動(通勤・通学を除く)、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・くつろぎ、学習・自己啓発・訓練(学業以外)、趣味・娯楽、スポーツ、ボランティア活動・社会参加活動、交際・付き合い、受診・療養、その他 |
このような生活区分に対し、当ブログ「生活学・新原論」の生活行動体系では、次のように7つに設定しています(7差化)。
❶差延化(個人的・純私的行動)⇔ ❷差汎化(社会的・集団的行動) ❸差異化(記号的・意識的行動)⇔ ❹差元化(感覚的・無意識的行動) ❺差戯化(遊戯的・虚構的行動)⇔ ❻差真化(真摯的・目標的行動) ❼差識化(生活世界の中心としての日常的行動) |
両者を対比させると、下図のようになります。
→ の意味するところを、一通り説明しておきましょう。
➀1次活動 ●睡眠・・・典型的な感覚的・無意識的行動であり、差元化です。 ●身の回りの用事・・・最も日常的な行動であり、差識化です。 ●食事・・・これまた典型的な日常的な行動であり、差識化です。 ➁2次活動 ●通勤・通学・・・社会活動への参加という意味で、差汎化です。 ●仕事・・・最も社会的な活動という意味で、差汎化です。 ●学業・・・真理を求める行動として、差真化です。 ●家事・・・典型的な日常行動として、差識化です。 ●介護・看護・・・個人的な支援活動として行われており、差延化です。 ●育児、買い物・・・介護・介護と同じく、個人的な生活行動であり、差延化です。 ➂3次活動 ●移動(通勤・通学を除く) ・・・社会的な目標に向かうという意味で、差汎化です。 ●テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・・・典型的な記号訴求行動であり、差異化です。 ●休養・くつろぎ・・・虚脱行動そのものであり、差元化です。 ●学習・自己啓発・訓練(学業以外) ・・・典型的な真理的・真摯的行動であり、差真化です。 ●趣味・娯楽・・・典型的な遊戯行動であり、差戯化です。 ●スポーツ・・・これまた広義の遊戯行動であり、差戯化です。 ●ボランティア活動・社会参加活動・・・社会へ向かう意識の点で、典型的な差汎化です。 ●交際・付き合い・・・社会への関与を求める点で、差汎化です。 ●受診・療養・・・身体という感覚器官に関わる点で、差元化です。 ●その他・・・上記以外のさまざまな生活行動は、生活世界の中心において、日常的な差識化として行われています。 |
このような対比を前提にしつつ、「社会生活基本調査」の統計的データを「生活学:新原論」の生活構造素材として、多面的に活用していきます。
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