生活学・新原論の論考を整理し、応用分野を展開しています。
今回は「生活願望」と「ネウチ」を応用した「生活行動」論です。
前回述べたように、「生活世界構造」から生まれてくる「生活願望」と「ネウチ」を前提にすると、私たちの生活行動は大きく分けて、差異化、差元化、差延化、差汎化、差真化、差戯化、差識化の7つに分かれてきます。
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➀縦軸・・・上方の「欲望」からは「差異化」行動が、下方の「欲動」からは「差元化」行動が生まれます。 ➁横軸・・・左下の「私欲」からは「差延化」行動が、右上の「世欲」からは「差汎化」行動が生まれます。 ➂前後軸・・・右下の「真欲」からは「差真化」行動が、左上の「虚欲」からは「差戯化」行動が生まれます。 ➃中央・・・「欲求」「実欲」「常欲」から生まれてくる「日欲」からは「差識化」行動が生まれます。 |
7つの生活行動の要点を整理しておきましょう。
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❶差異化とは、【差異化行動とは何か?】で述べたように、生活願望の「欲望」に対応して、モノやサービスのうえに言語やイメージなど、さまざまな「記号」を求める生活行動です。 事例:常欲レベルでは、作文や日記などの記述。虚欲レベルでは、お気に入りファッションの着用。真欲レベルでは、哲学書の講読など。 ❷差元化とは、【差元化行動とは何か?】で述べたように、生活願望の「欲動」に対応して、記号や機能をあえて外し、身体性や直感性、原始性や動物性などの「身分け」力を回復させる生活行動です。 事例:常欲レベルでは、温浴行動。虚欲レベルでは、夢や幻想などに戯れる行動。真欲レベルでは、自然現象を神や仏として信仰する行動など。 ❸差延化とは、【差延化行動とは何か?】で述べたように、供給者の差し出す「ききめ」、つまり「共効」を素材として用い、生活民一人ひとりが独自の「ねうち」、つまり「私効」を積極的に創りだす生活行動です。 事例:欲求レベルでは、生活民が自ら行う装飾・塗装行動。欲望レベルでは、メモ帳に自分の論理や理屈を書く行動。欲動レベルでは、自然現象を自ら信仰する行動など。 ❹差汎化とは、【差汎化行動とは何か?】で述べたように、社会、価値、同調などを求める「世欲」に応えて、社会的なネウチや共同体的な価値を創りだす生活行動です。 事例:欲求レベルでは、生活基盤を求めて就業する行動。欲望レベルでは、大学の講義を聴講する行動。欲動レベルでは、夢や幻想を宗教化する行動など。 ❺差真化とは、【差真化行動とは何か?】で述べたように、真実界から生まれてくる、儀礼や儀式、学習や訓練、自制や自律などを求める真欲に応えて、儀式や儀礼、勉学やトレーニング、自省法や内観法などを実行する生活行動です。 事例:欲求レベルでは、生活作法を学ぶ行動。欲望レベルでは、大学などで講義を学ぶ行動。欲動レベルでは、木像信仰を宗教化する行動など。 ❻差戯化とは、【差戯化行動とは何か?】で述べたように、虚構界から生まれてくる弛緩、解放、遊興などを求める虚欲に応えて、虚脱・混乱、浪費・蕩尽、戯化・模擬、ゲーム・競争などを実行する生活行動です。 事例:欲求レベルでは、自作のスマホゲームを発信する行動。欲望レベルでは、黒板やディスプレィに戯画や漫画を描く行動。欲動レベルでは、頭の中で夢や幻想と戯れる行動など。 ❼差識化とは、【差識化行動とは何か?】で述べたように、「欲求」「実欲」「常欲」が“認識”する、さまざまな有用性の中から、個人的に必要な「ききめ」を判断し、それらを求める生活行動です。 事例:欲求レベルでは、渇きを潤すため水を飲む行動。実欲レベルでは、衣食住など日常生活の基本となる行動。常欲レベルでは、日常的な生活習慣で暮らす行動など。 |
以上のように、生活学・新原論の新視点を応用すると、私たちの生活行動のさまざまな特性が、7つの角度から次々に浮かび上がってきます。

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