生活行動論の3番めは「差延化」行動です。
差延化とは、【生活民にとって「差延化」とは・・・】で述べたように、生活願望の「私欲」に対応し、社会的な価値や日常的な効用、あるいは共同的な記号や感性などを抑制し、自分だけの効能、感性、記号などを求める生活行動です。
生活体でいえば、左の方に位置する生活願望「私欲」に向けて、私仕様、参加、手作り、編集、変換などの行動により、超自立的な世界を求めていくもの、ともいえるでしょう【差延化5行動の関係を考える!】。
それゆえ、下図に示したように、生活体の左側の私欲次元において、縦軸の欲望・欲求・欲動と、前後軸の虚欲・常欲・真欲をクロスした空間から、9つの行動として生まれてきます。
具体的には、以下のような行動が想定できます。
基本となる中段は、世界認識行動の中核として識分けを行う次元であり、日常的な生活行動を真ん中にして、次の3つの差延化行動が生まれてきます。
➀私欲・虚欲・欲求行動・・・個人的な虚構の「効能」を求める識分け行動・・・例:生活者個人が自ら調合した絵の具によって、大理石模様や木目模様など、装飾的な仕上げを行うデコラティブペインティング(装飾塗装)。 ➁私欲・常欲・欲求行動・・・日常的な生活用品などを純私的な道具(効能)として使用する識分け行動・・・例:食品や飲料を冷却保存する電気冷蔵庫を、純私的に応用して銀行通帳や現金などの保存に応用する。 ③私欲・真欲・欲求行動・・・個人的な真実の「効能」を求める識分け行動・・・例:ホテル提供のサービスメニューの中から、ユーザー自らが選別して構成するオーダー式の結婚式パーティー。 |
上段・・・「差異化行動」の左側の上下3欄ですでに述べているように、以下の3行動は「差異化の差延化」といえるものです。
➃私欲・虚欲・欲望行動・・・個人的な虚構の「効能」を求める言分け行動・・・例:裏紙に詩作や創作などを書いて遊ぶ。黒板やディスプレィなどに戯画や漫画などを描いて遊ぶ(差異化の➃)。 ➄私欲・常欲・欲望行動・・・個人的な日常の「効能」を求める言分け行動・・・例:メモ用のノートに書く思索、文章、作文、日記など。私的な画帳に描くデッサンやイメージなど(差異化の➀)。 ⑥私欲・真欲・欲望行動・・・個人的な真実の「効能」を求める言分け行動・・・例:メモ帳に思いついた論理や理屈を書く。黒板やディスプレィなどに発想した設計図を描く。心の中で祈念する(差異化の⑦)。 |
下段・・・「差元化行動」の左側の上下3欄ですでに述べているように、以下の3行動は「差元化の差延化」といえるものです。
⑦私欲・虚欲・欲動行動・・・個人的な虚構の「効能」を求める身分け行動・・・例:個人的に頭の中で夢や幻想などを描き、その中で戯れる行動。メタバースの中で音や風景などを楽しむ行動(差元化の➃)。 ⑧私欲・常欲・欲動行動・・・個人的な日常の「効能」を求める身分け行動・・・例:自らの五感で捉えた音声やイメージなどを、さまざまな形に身分けしようとする行動。メタバース上に現れたイメージや音声などを、自分なりに理解しようとする行動(差元化の➀)。 ⑨私欲・真欲・欲動行動・・・個人的な真面目さの「効能」を求める身分け行動・・・例:個人的に頭の中で夢や幻想などを描き、それらを信じたり重んずる行動。メタバース上に現れた虚像を信仰すべき対象と思う行動(差元化の⑦)。 |
以上のように、差延化行動を生活体の内部へ広げていくと、私たちの純私的な生活行動が日常次元はもとより、深層次元や表層次元にまで届いていることが明確になってきます。
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