2024年11月13日水曜日

生活学・新原論Ⅴ-4:差汎化行動とは何か?

生活行動論の4番めは「差汎化」行動です。

差汎化とは、【差汎化とは何か?】で述べたように、社会性、価値、同調などを求める「世欲」に応えて、社会的なネウチや共同体的な価値を創りだす生活行動です。

前回の差延化行動で生まれた、新しい個人的「効能」を、より広く社会的な「価値」へと拡大していこうとする行動、ともいえるでしょう。

生活体でいえば、右の方に位置する生活願望「世欲」に向けて、欲望・欲求・欲動次元や、虚欲・常欲・真欲次元において、さまざまな生活行動を展開することになります。

具体的には下図に示したように、生活体の右側の世欲次元において、縦軸の欲望・欲求・欲動と、前後軸の虚欲・常欲・真欲をクロスした、9つの空間から、9つの行動として生まれてきます。それぞれの空間において、以下のような行動が想定できます。


◆中段
・・・世界認識行動の中核として
識分け行う次元であり、次の3つの差汎化行動が生まれてきます。

➀世欲・虚欲・欲求行動・・・個人的な虚欲行動を普遍化し、社会的な虚構「価値」を創り出そうとする識分け行動・・・例:生活民個人が自ら考案したスマホゲームを、ゲームサイトが取り上げ、より多くのユーザー向けに発信する。

➁世欲・常欲・欲求行動・・・個人的な常欲行動を普遍化し、社会的な日常「価値」を創り出す識分け行動・・・例:防寒用に利用された作業着を応用して、ユニークなオーバーとして販売する。

③世欲・真欲・欲求行動・・・個人的な真欲行動を普遍化し、社会的な真実「価値」を創り出す識分け行動・・・例:個人的に営んでいた大木崇拝が、多くの隣人の間に広がり、新宗教として定着していく。

 

◆上段・・・「差異化行動」の右側の上下3欄ですでに述べているように、以下の3行動は「差異化の差汎化」といえるものです。

➃世欲・虚欲・欲望行動・・・社会的な虚構の「価値」を創り出す言語行動・・・例:ネット上で好きになったブログを宣伝し、ヒット数を増やす。ネット上で超有名になった観光地を訪れ、有名ブランドのスーツを着る(差異化の⑥)。

➄世欲・常欲・欲望行動・・・社会的な日常の「価値」を創り出す言語行動・・・例:新聞、雑誌、書籍などの閲覧やそれらへの執筆や著述。展覧会やエキシビションなどの鑑賞や参観やそれらへの展示や参加など(差異化の③)。

⑥世欲・真欲・欲望行動・・・社会的な真実の「価値」を創り出す言語行動・・・例:自ら抱いた関心を広げ、大学の講義で真理を求めたり、寺院や教会で教義に触れる(差異化の⑨)。

 

◆下段・・・「差元化行動」の右側の上下3欄ですでに述べているように、以下の3行動は「差元化の差汎化」といえるものです。

⑦世欲・虚欲・欲動行動・・・社会的な虚構の「価値」創り出す身分け行動・・・例:夢や幻想の世界が多くの人間に共有しているものと理解する行動。 メタバース上の音や風景などは皆で楽しめるもの、と理解する行動(差元化の⑥)。

⑧世欲・常欲・欲望行動・・・社会的な日常の「価値」創り出す身分け行動・・・例:個人が五感で捉え、識分けした世界の意味やイメージなどは、人間集団に共通していると理解する行動。メタバース上に現れたイメージや音声などは、誰にも共通していると理解する行動(差元化の③)。

⑨世欲・真欲・欲動行動・・・社会的な真面目さの「価値」創り出す身分け行動・・・例:夢や幻想の世界に現れた神聖さや尊さは、多くの人間によって共有されている、と理解する行動。メタバース上に現れた虚像を神や仏として信仰する行動(差元化の⑨)。


以上のように、差汎化行動を生活体の右側への対応と考えると、純私的な生活行動が集団的な認知行動へと伝播していくプロセスが、日常次元はもとより、深層次元や表層次元にまで及んでいくことが明確になってきます。

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