2024年11月24日日曜日

生活学・新原論Ⅴ-5:差真化行動とは何か?

生活行動論の5番めは「差真化」行動です。

差真化とは、【コンデンシング・ライフ】で述べたように、真実界から生まれてくる、儀礼や儀式、学習や訓練、自制や自律などを求める真欲に応えて、儀式や儀礼、勉学やトレーニング、自省法や内観法などを実行する生活行動です。

生活体でいえば、前方に位置する生活願望「真欲」に向けて、欲望・欲求・欲動次元や、虚欲・常欲・真欲次元において、さまざまな生活行動を展開することになります。

具体的には下図に示したように、生活体の前側の真欲次元において、縦軸の欲望・欲求・欲動と、横軸の私欲・実欲・世欲をクロスした、9つの空間向けの9つの行動として生まれてきます。


このうち「実欲・真欲・欲求」以外の8つについては、すでに差異化、差元化、差延化、差汎化の各行動で説明しておりますので、改めて整理しておきましょう。

◆中段・・・世界認識の中核として識分けを行う次元であり、次の3つの差真化行動が生まれてきます。

➀私欲・真欲・欲求行動・・・個人的な真実の「効能」を求める識分け行動・・例:ホテル提供のサービスメニューの中から、ユーザー自らが選別して構成するオーダー式の結婚式パーティー(差延化の③)。

➁実欲・真欲・欲求行動・・・日常生活の中で真実の「効用」を求める識分け行動・・・例:毎日の暮らしを支える、さまざまな礼儀作法を学ぶ(当行動のオリジナリティ)

③世欲・真欲・欲求行動・・・個人的な真欲行動を普遍化し、社会的な真実「価値」を創り出す識分け行動・・・例:個人的に営んでいた大木崇拝を、多くの隣人の間に広げ、新宗教として定着させていく(差汎化の③)。

◆上段・・・「差異化行動」の上段3欄ですでに述べたように、以下の3行動は「差異化の差真化」といえるものです。

私欲・真欲・欲望行動・・・個人的な真実の「効能」を求める言分け行動・・・例:メモ帳に思いついた論理や理屈を書く。黒板やディスプレィなどに発想した設計図を描く。心の中で祈念する(差異化の⑦、差延化の⑥)。

➄実欲・真欲・欲望行動・・・日常的な真実の「効用」を求める言語行動・・・例:書籍で哲学書を読んだり、ディスプレィ上で確実な情報を求める。コミュニティーの礼節に合った挨拶をする(差異化の⑧)。

⑥世欲・真欲・欲望行動・・・社会的な真実の「価値」を創り出す言分け行動・・・例:自ら抱いた関心を広げ、大学の講義で真理を求めたり、寺院や教会で教義に触れる(差異化の⑨、差汎化の⑥)。

◆下段・・・「差元化行動」の下段3欄ですでに述べたように、以下の3行動は「差元化の差真化」といえるものです。

⑦私欲・真欲・欲動行動・・・個人的な真面目さの「効能」を求める身分け行動・・・例:個人的に頭の中で夢や幻想などを描き、それらを信じたり重んずる行動。メタバース上に現れた虚像を信仰すべき対象と思う行動(差元化の⑦、差延化の⑨)。

⑧実欲・真欲・欲動行動・・・日常的な真面目さの「効用」を求める身分け行動・・・例:個人的に頭の中へ描いた事象や信仰などを、他人に話して共有しようとする行動。メタバース上に現れた虚像を他者に信仰すべきと勧める行動(差元化の⑧)。

⑨世欲・真欲・欲動行動・・・社会的な真面目さの「価値」を創り出す身分け行動・・・例:夢や幻想の世界に現れた神聖さや尊さは、多くの人間によって共有されている、と理解する行動。メタバース上に現れた虚像を神や仏として信仰する行動(差元化の⑨、差汎化の⑨)。

以上のように、差真化行動を生活体の前面への対応と考えると、言語・認識・知覚などで捉えた対象を全て「真実」と見なそうとする生活行動が、日常次元はもとより、深層次元や表層次元にまで広がっていく実態が構造的に見えてきます。

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