差別化を原点に、差異化、差延化、差元化と解説してきましたので、次は「差汎化」を取り上げます。
「差汎化」戦略とは、社会⇔個人軸の社会界、つまり社会、価値、同調などを求める世欲に応えて、社会的なネウチや共同体的な需要を創りだす手法です。
これとは対照的な戦略が、すでに述べた「差延化」であり、社会⇔個人軸の個人界、つまり個人、私効、愛着などを求める私欲に応えて、私的なネウチや純個人的な需要を創りだす手法でした。
経済学では、一般にモノの有用性を「価値」と「効用」にわけて考えています(詳しくは後述します)。
「価値」とは、一定の社会集団の憤用や同意によって、一つのモノの「有用性」がさまざまなモノとの比較の中で評価される尺度です。
「効用」とは、一定の社会集団の憤用や同意によって、一つのモノの「有用性」がそのモノの特性として認められた状態です。
生活学マーケティングを考える場合には、この「効用」をさらに3つの次元に分けて考えるべきだ、と筆者は思っています。
①共効・・・社会集団が共通して認める有用性=共通効用
②個効・・・個人が共効に基づいて認める有用性=個別効用
③私効・・・私人が純私的に認める有用性=私的効用
の3つです。
以上の視点を前提にすると、市場社会で行われている、さまざまな需給行為には、次のような矛盾が指摘できます。
供給者である企業は、市場の存在を前提にして、商品の有用性を作り出し、かつ供給しています。この有用性とは、市場を支える多くの需要者が共通して求める「個効」を集約したものですから、まさに「共効」です。つまり、商品のネウチとは、多くの需要者が共通して商品に求める有用性、いわば有用性の“最大共通素”とでもいうべきものです。
通常、需要者である個人は、それらの「共効」に従って商品を購入し、そのとおりに使用して「個効」を実現しています。
しかし、個性や独創を重んじる生活者の場合は、純私的、主観的な「私効」を目的にしますから、既存の商品を購入した場合でも、それに手を加えたり、別の有用性に変換するなど、自分なりの手法で使用して「私効」を満足させています。この場合、一つの商品の有用性は、市場での最大共通素を前提にしながらも、その中から個人的、主観的に選ばれる有用性、いわば“最小共通素”となります。
となると、一つの商品の持つ「共効」と「私効」の間には微妙なズレが出てきます。
企業の側では、できるだけ多くの顧客の求めに共通する「個効」を抽出して、商品の「共効」を作り出そうとします。これに対し、個性的な生活者の側ではできるだけ自分だけの有用性を求めて、商品の「私効」を購入しようとします。
両者は当然重なっていますが、本質的にいえば、最大共通素と最小共通素がぴったり一致するのはごく稀なことです。そこで、企業は少数需要者の「私効」の一部を切り捨てることで大量生産を可能にし、また生活者は自分なりの「私効」をある程度犠牲にすることでその生活行動を実現していきます。
この落差を埋めることが差汎化戦略の最大の目的です。具体的には次のような方向が求められます。
第1に、生活者自身が試みる用途転用や用途変換に常に注意を払って、既存商品のネウチを再点検することが必要です。
第2に、社会変化や生活変動に対応して、既存商品のネウチを一旦解体し、そのうえで変化に見合うように再構築していくことが必要です。
第3にはより積極的に、今後の日本が向う人口減少社会の望ましいと思う方向を、商品やサービスの新たなネウチとして提案していくことです。
このような意味で、差汎化戦略が展開されていけば、これからのマーケティング戦略の中で、その比重は徐々に増していくことになるでしょう。
「差汎化」戦略とは、社会⇔個人軸の社会界、つまり社会、価値、同調などを求める世欲に応えて、社会的なネウチや共同体的な需要を創りだす手法です。
これとは対照的な戦略が、すでに述べた「差延化」であり、社会⇔個人軸の個人界、つまり個人、私効、愛着などを求める私欲に応えて、私的なネウチや純個人的な需要を創りだす手法でした。
経済学では、一般にモノの有用性を「価値」と「効用」にわけて考えています(詳しくは後述します)。
「価値」とは、一定の社会集団の憤用や同意によって、一つのモノの「有用性」がさまざまなモノとの比較の中で評価される尺度です。
「効用」とは、一定の社会集団の憤用や同意によって、一つのモノの「有用性」がそのモノの特性として認められた状態です。
生活学マーケティングを考える場合には、この「効用」をさらに3つの次元に分けて考えるべきだ、と筆者は思っています。
①共効・・・社会集団が共通して認める有用性=共通効用
②個効・・・個人が共効に基づいて認める有用性=個別効用
③私効・・・私人が純私的に認める有用性=私的効用
の3つです。
以上の視点を前提にすると、市場社会で行われている、さまざまな需給行為には、次のような矛盾が指摘できます。
供給者である企業は、市場の存在を前提にして、商品の有用性を作り出し、かつ供給しています。この有用性とは、市場を支える多くの需要者が共通して求める「個効」を集約したものですから、まさに「共効」です。つまり、商品のネウチとは、多くの需要者が共通して商品に求める有用性、いわば有用性の“最大共通素”とでもいうべきものです。
通常、需要者である個人は、それらの「共効」に従って商品を購入し、そのとおりに使用して「個効」を実現しています。
しかし、個性や独創を重んじる生活者の場合は、純私的、主観的な「私効」を目的にしますから、既存の商品を購入した場合でも、それに手を加えたり、別の有用性に変換するなど、自分なりの手法で使用して「私効」を満足させています。この場合、一つの商品の有用性は、市場での最大共通素を前提にしながらも、その中から個人的、主観的に選ばれる有用性、いわば“最小共通素”となります。
となると、一つの商品の持つ「共効」と「私効」の間には微妙なズレが出てきます。
企業の側では、できるだけ多くの顧客の求めに共通する「個効」を抽出して、商品の「共効」を作り出そうとします。これに対し、個性的な生活者の側ではできるだけ自分だけの有用性を求めて、商品の「私効」を購入しようとします。
両者は当然重なっていますが、本質的にいえば、最大共通素と最小共通素がぴったり一致するのはごく稀なことです。そこで、企業は少数需要者の「私効」の一部を切り捨てることで大量生産を可能にし、また生活者は自分なりの「私効」をある程度犠牲にすることでその生活行動を実現していきます。
この落差を埋めることが差汎化戦略の最大の目的です。具体的には次のような方向が求められます。
第1に、生活者自身が試みる用途転用や用途変換に常に注意を払って、既存商品のネウチを再点検することが必要です。
第2に、社会変化や生活変動に対応して、既存商品のネウチを一旦解体し、そのうえで変化に見合うように再構築していくことが必要です。
第3にはより積極的に、今後の日本が向う人口減少社会の望ましいと思う方向を、商品やサービスの新たなネウチとして提案していくことです。
このような意味で、差汎化戦略が展開されていけば、これからのマーケティング戦略の中で、その比重は徐々に増していくことになるでしょう。
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