言葉⇔感覚の垂直軸という視点から見ると、デザインとアートの違いが明白に見えてきます。
私たちはサインやシンボルを使って、さまざまなコミュニケーション活動を行っています。
記号=サインの次元でいえば、ネーミング(naming)や物語(story)などの言語記号で、あるいはカラー、デザイン、パターンなどのイメージ記号を使って、さまざまな内容=コンテンツを伝達しています。
象徴=シンボルの次元でいえば、オノマトペ(onomatopé:仏、擬声語)や神話(mythology)などの未言語象徴で、あるいはデッサン(dessin:仏)や元型(archetype)などのイメージ象徴を使って、幾つかのコンテンツを伝達しています。
いいかえると、聴覚手段では、ネーミングや物語などの言語記号で言語界内の、またオノマトペや神話などの未言語象徴で感覚界内の、それぞれのコミュニケーションを行っています。
また視覚手段でいえば、カラー、デザイン、パターンドなどのイメージ記号で言語界内の、またデッサンや元型などのイメージ象徴で感覚界内の、それぞれのコミュニケーションを達成しています。
このように考えると、同じ視角交信手段ではあるものの、デザインとアートの違いが浮き上がってきます。
デザイン(design)とは「de-sign(サインを書き出す)」ことですから、イメージ記号によって言語界の中でのコミュニケーションを促すことを意味します。
他方、アート(visual art)とは「ars(技術・人工:ラテン語)」を語源としており、より広く環境を人為的に再現することを意味していますが、その再現を根源的にみれば、イメージ象徴によって感覚界でのコミュニケーションを行うこと、そのものです。
とすれば、デザインとは、あくまでも言語界という、意識的、目的的、共通コードを前提にしたコミュニケーション活動であり、アートとは感覚界に向けて、無意識的、未目標的、共通体感的に行うコミュニケーション活動ということになるでしょう。
マーケティング戦略でいえば、デザインは差異化の、またアートは差元化の、それぞれの一要素なのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿