2025年7月19日土曜日

生活学・新原論Ⅷ-1:生活コスト論が始まる!

「生活時間論」がひとまず終わりましたので、生活学・新原論は「時間から費用へ」と視点を移し、今回から「生活コスト論」を考えていきます。

生活コストの代表的な指標としては、総務省統計局の「家計調査」があります。1946年に始まった「社会生活基本調査」を継承し、1953年からは「家計調査」として5年ごとに実施されています。

家計調査の用途別支出項目を、当ブログの【生活世界構造】に対応させるため、まずは世界構造の7つの生活行動を確認しておきましょう。

差識化・・・さまざまな有用性の中から、日常的に必要な「ききめ」を求める生活行動。

差元化・・・身体性や直感性、原始性や動物性など「身分け」力を求める生活行動。

差異化・・・言語やイメージなど、さまざまな「記号」を求める生活行動。

差汎化・・・社会的なネウチや共同体的な「ねうち」つまり「共効」を求める生活行動。

差延化・・・生活民が個人的な「ねうち」、つまり「私効」を求める生活行動。

差真化・・・儀式、勉学、トレーニングなど「真面目」を求める生活行動。

差戯化・・・虚脱、浪費、戯び、ゲームなど「遊び」を求める生活行動。

以上のような7つの生活行動へ、家計調査の用途別支出項目を当てはめると、下表のようになります。


用途別支出項目を生活世界要素に振り分けてみましょう。

食料費では、穀類、魚介類、肉類、乳卵類、野菜・海藻、果物、油脂・調味料、調理食品、飲料が「差元化」に、また菓子類、酒類、外食が「差戯化」に該当します。

住居費では、家賃地代、設備修繕・維持  が「差識化」に当たります。

光熱・水道費では、電気代、ガス代、上下水道料が「差識化」に当たります。

家具・家事用品費では、家庭用耐久財が「差識化」、室内装備・装飾品が「差異化」、寝具類が「差元化」、家事雑貨・消耗品・家事サービスが「差識化」に、それぞれ該当します。

被服及び履物費では、和服や洋服が「差異化」、シャツ・セーター類  ・下着類が「差元化」、履物類や被服類が「差識化」に当たります。

保健医療費では、医薬品や器具類、保健医療サービスが「差元化」に当たります。

交通・通信費では、交通や自動車等関係費  が「差汎化」に、通信が「差異化」に該当します。

教育費では、授業料等や教科書・学習参考教材が「差真化」に相当します。

教養娯楽費では、教養娯楽用品や  教養娯楽サービスなどで真面目と遊びが混在しているため、「差真化」と「差戯化」の2つに分けることになります。

諸雑費では、理美容サービスや理美容用品、身の回り用品が「差延化」、たばこが「差戯化」、他の諸雑費が「差識化」に相当します。

こづかいや使途不明金は、「差延化」に当たります。         

交際費は「差汎化」に相当します。

仕送り金は「差汎化」に相当します。

以上のような対応を前提にすると、私たちの生活構造が「貨幣価値」として浮かび上がってきます、これにより、生活経済学家政学本質的な分析が期待できるでしょう。             

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