2025年3月12日水曜日

生活学・新原論Ⅵ-4:生活空間論:居住空間の差汎化

生活空間論の4番めは「居住空間の差汎化」、つまり居住者がDIY 志向やカスタマイズ志向などで生み出す、ユニークな空間志向に対応して、居住空間もまた従来の設計や設備などの概念を越えた、新たな居住物や家具類を提供する行動です。

差汎化とは差汎化とは何か?】で述べたように、新たな社会性、価値、同調などを求める、生活民の私欲変化に応えて、社会的なネウチや共同体的な供給を創りだす行動でした。前回の差延化行動で生まれた、新しい個人的「効能」を、より広く社会的な「価値」へと拡大していこうとする行動、ともいえるでしょう。

こうした行動を居住空間に当てはめると、改造可能性の高い居室、DIYを先導する家具など、居住空間作りへ居住者の参加を推奨する供給行動が対象になってきます。

差汎化行動は、上記の【新原V-】示したように、9つの行動に分かれていますので、それぞれの行動が生活空間に何を求めるのか、を考えてみましょう。

このうち、上段の「欲望」欄は【居住空間の差異化】で述べた差異化行動、下段の「欲動」欄は【居住空間の差元化】で述べた差元化行動と連動していますから、これらの動向を組み入れながら、差汎化行動の行方を展望していきます。

上段の「欲望」段では、中央の「誇示的、ユニークデザイン」を挟んで、「軽々しさ、手遊びデザイン」と「重厚さ、新型耐久デザイン」が求められます。

➀世欲・欲望・虚欲では、居住者が自らデザインや雰囲気を創り出せるような遊戯室や遊具、例えばマンガ風住宅、ゲーム風デザイン家具などを供給する。

➁世欲・欲望・常欲では、居住者が自らデザインできる建物や家具、例えば自作デザイン住宅、自作デザイン家具などを供給する。

➂世欲・欲望・真欲では、居住者が自らデザインできる書斎や学習室、例えば耐久強化デザイン書斎や自習最適勉強用具などを供給する。

中段の「欲求」段では、中央の「手作り誘導自宅」を挟んで、「手遊び誘導別荘」と「手作り推奨書斎」が求められます。

➃世欲・欲求・虚欲では、居住者が自ら施工や加工ができるような別荘や遊具、例えば自作誘導別荘、自作誘導遊具などを供給する。

➄世欲・欲求・常欲では、居住者が自ら施工や加工が可能な住宅や家具、例えば自作誘導住宅、自作誘導実用家具などを供給する。

⑥世欲・欲求・真欲では、居住者が自ら施工や加工ができるような居室や家具、例えば自作推奨書斎、自作推奨学具などを供給する。

下段の「欲動」段では、中央の「居住まい、手探り誘導家具」を挟んで、「チャラチャラ、手探り夢具」と「神々しさ、手探り神具」が求められます。

⑦世欲・欲動・虚欲では、居住者が自ら体感を誘われるような居室や道具、例えば自作誘導夢殿、自作誘導夢具などを供給する。

⑧世欲・欲望・常欲では、居住者が施工や加工を誘われるような住宅や道具、例えば自作誘導型の質観住宅、自作誘導型のフィーリング家具などを供給する。

⑨世欲・欲動・真欲では、居住者が自ら求めるような建物や道具、例えば自作を推奨する神殿、自作を推奨する神具などを供給する。

以上で述べた、9つの差汎化行動を、具体的な事例として考えてみると、次表のようになります。

生活民の差汎化行動を居住空間へ応用した場合、以上のような9つの要素が浮上してきます。

これこそ「居住空間の差汎化」という居住行動の意味するところです。

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