生活空間論の2番めは「居住空間の差元化」、つまり居住空間の感触や風情などについて考えます。
差元化とは【生活学・新原論Ⅴ-2:差元化行動とは何か?】で述べたように、生活願望の「欲動」に対応して、身体性や直感性、原始性や動物性などの「身分け」力を回復させようとする生活行動です。
こうした行動を居住空間に当てはめると、家屋への直感や雰囲気などが対象になってきます。
差元化行動は、上記の【新原論Ⅴ-2】で示したように、9つの行動に分かれていますので、それぞれの行動が生活空間に何を求めるのか、を考えてみましょう。
●上段の「虚欲」段では、中央の「遊び心地」を挟んで、「夢心地」と「チャラチャラ」が求められます。
➀私欲・虚欲・欲動では「夢心地」な気配、つまり所有者が機能や用途よりも自分だけに感じ取れるような気配や雰囲気などを求めます。 ➁実欲・虚欲・欲動では「遊び心地」のある気配、つまり所有者が遊びや楽しさを感じ取れるような気配や雰囲気などを求めます。 ➂世欲・虚欲・欲動では「チャラチャラ」とした気配、つまり所有者が遊びや楽しさを他人に誇示できるような気配や雰囲気などを求めることになります。 |
●中段の「常欲」段では、中央の「住み心地」を挟んで、「居心地」と「居住まい」が求められます。
➀私欲・常欲・欲動では「居心地」のよい気分、つまり所有者が自分だけに快適と感じ取れるような、住まいの気配や雰囲気などを求めます。 ➁実欲・常欲・欲動では「住み心地」のある気配、つまり所有者が満足できるような、住まいの気配や雰囲気などを求めます。 ➂世欲・常欲・欲動では「居住まい」の高い気配、つまり所有者が他人に誇示できるような、住まいの気配や雰囲気などを求めることになります。 |
●下段の「真欲」段では、中央の「まじめさ」を挟んで、「まおもて」と「神々しさ」が求められます。
➀私欲・真欲・欲動では「まおもて」な気分、つまり所有者が自分だけに真面(まとも)と感じ取れるような、住まいの気配や雰囲気などを求めます。 ➁実欲・真欲・欲動では「まじめさ」のある気配、つまり所有者自身が誠実と感じられるような、住まいの風格や雰囲気などを求めます。 ➂世欲・真欲・欲動では「神々しさ」のある気配、つまり所有者が他人に誇示できるような、住まいの気高さや神秘性などを求めることになります。 |
以上で述べた、9つの差元化行動を、具体的な事例として考えてみると、次表のようになります。
生活民の差元化行動から居住空間への対応を考察した場合、以上のような9つの要素が浮上してきます。
これこそ「居住空間の差元化」という居住行動の意味するところでしょう。
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