2025年3月25日火曜日

生活学・新原論Ⅵ-5:生活空間論:居住空間の差戯化

生活空間論の5番めは「居住空間の差戯化」、つまり居住者が住宅や家具などを、遊びや余暇のために適応させていく行動です。

差戯化とは【差戯化行動とは何か?】で述べたように、虚構界から生まれてくる弛緩、解放、遊興などを求める虚欲に応えて、虚脱・混乱、浪費・蕩尽、戯化・模擬、ゲーム・競争などを実行する生活行動です。

生活体でいえば、下図のように、後方に位置する生活願望「虚欲」に向けて、欲望・欲求・欲動次元や私欲・実欲・世欲次元で、さまざまな生活行動を展開することになります。

こうした行動を居住空間に当てはめると、遊びや休養のための別荘や家具などを造る行動やそれらを享受する行動が浮かんできます。

上図に示したように、差戯化行動は9つの行動に分かれていますが、このうち上段の3つは差異化行動差延化行動差汎化行動で、また下段の3つも差元化行動差延化行動、差汎化行動で、すでに機能と対応事例を挙げています。さらに中段の左右も差延化行動と差汎化行動で、同様の対応をしています。

となると、中央の「虚欲・欲求・実欲」欄のみが、独自の差戯化行動ということになります。

このような先行事例を前提にしつつ、9つの差戯化行動が生活空間に何を求めているのか、を考えてみましょう。

●上段の「欲望」段では、中央の「面白味」を挟んで、「ふまじめさ・手作り軽薄」と「軽々しさ・へんてこデザイン」が求められます。

虚欲・欲望・私欲では、遊び、怠惰、軽薄など認める私的行動として、例えばゴミだらけ玄関、手入れ無し庭木、自作デザイン別荘、自作デザイン遊具などが対象となる。

虚欲・欲望・実欲では、遊びや無用なデザインなどを求める居住行動として、例えばコミック人形飾り、イルミネーション室内飾り、自作コミック人形飾り、自作イルミネーション室内飾りなどが対象となる。

虚欲・欲望・世欲では、軽薄感や奇妙さなどを訴求する対外行動として、例えばハロウィーンお化け飾り、飾りっぱなしドア飾り、マンガ風住宅、ゲーム風デザイン家具などが対象となる。

●中段の「欲求」段では、中央の「新型別荘」を挟んで、「手作り別荘」と「新遊戯別荘」が求められます。

虚欲・欲求・私欲では、純個性的な遊び空間や家具類を求める私的行動として、例えば独創的別荘・遊戯部屋、自作別荘、自作遊具などが対象となる。

虚欲・欲求・実欲では、新たな機能を備えた遊び空間や家具類をもとめる居住行動として、例えば新機能別荘・遊戯部屋、自作新機能別荘・遊戯部屋などが対象となる。

⑥虚欲・欲求・世欲では、全く新たな遊戯機能を向上できる居住空間、例えばゲーム満喫別荘・遊戯部屋、自作誘導別荘、自作誘導遊具などが対象となる。

●下段の「欲動」段では、中央の「遊び心地」を挟んで、「夢心地、手探り夢具」と「チャラチャラ、手遊び強化家具」が求められます。

⑦虚欲・欲動・私欲では、純私的な感覚的遊戯を求める私的行動、例えば昼寝部屋、ハンモック、自作夢殿、自作夢具などが対象となる。

⑧虚欲・欲動・実欲では、家族単位での感覚的遊戯を求める居住行動、例えば遊び部屋、遊び家具、自作遊戯夢殿、自作遊び夢具などが対象となる。

⑨虚欲・欲動・世欲では、世間に向けての感覚的遊戯を誇示する対外行動、例えば派手さ、きんきら風、自作誘導夢殿、自作誘導夢具などが対象となる。

以上に挙げた、9つの差戯化行動を、具体的な事例として整理すると、次表のようになります。

青地以外の分野は、上記のように差異化行動差元化行動差延化行動差汎化行動において、具体例を挙げていますので、新たな事例は青色の部分だけになります。 

生活民の差戯化行動を居住空間へ応用した場合、以上のような9つの要素が浮上してきます。

これこそ「居住空間の差戯化」という居住行動の意味するところです。

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