基本的な手法としては、カラー化、デザイン化、ネーミング化、ブランド化、ストーリー化などの手法が含まれます。
差異化と差別化の間には、次のような違いがあります。
平常球から生まれる生活願望「日欲」は、身体が求めるものを意識化した「欲求」が中心ですから、その内容は具体的、実体的なコトへと向かいます。商品やサービスに対しても、機能や品質、つまり「便利さ」「使い易さ」「確かさ」などを求めます。それゆえ、メーカーや流通業などの供給側がこれに対応するには、〝機能・効率・利便の差〟をユーザーに強く訴えかける「差別化」手法が有効です。
しかし、供給水準の向上で機能・効率・利便の差が縮小したり、あるいは日常的な「日欲」にユーザーが一通り満足してしまうと、今度は上下・前後・左右の6つの方向へ、新たな生活願望が拡大していきます。その1つが、機能・効率・利便性に加えて、言語、記号、意識、理性、観念、物語など記号やイメージなどを求める「欲望」という願望です。
この欲望に対応するのが「差異化」という手法です。そこで、「差別化」が機能や品質という、モノ次元の〝差〟を強調する手法であったのに対し、「差異化」はモノの性質を離れて、モノの上に載せたコトの〝差〟を訴えかける手法になります。
ところで、英語圏では一般に、「差別化」は“Differentiation”、「差別化戦略」は“Differentiation Strategy”などと英訳されていますが、これは極めて不正確な表現であり、より正確に表すには“Discrimination”を使うべきだと思います。
その「差別(Discrimination)」という言葉は、明らかに上下や強弱の関係を意味しています。ところが、「差異(Difference)」という言葉は単なる〝違い〟しか示していません。
というのは、言葉やイメージなど、いわゆる〝記号〟の本質が、上下や強弱には関わりなく、ひたすら他の記号との〝違い〟を示すことにあるからです。言葉やイメージは〝差異〟を作ることによって、それぞれの存在意義を持っているのです。
それゆえ、差異化戦略では、モノの性質とは関係のない次元で、カラー、デザイン、ネーミング、ブランド、ストーリーなど、いいかえれば色彩、形態、名称、商標、物語などの差異を作り出し、そこで生まれた、新たなネウチをユーザーに提供していきます。
0 件のコメント:
コメントを投稿