生活“民”マーケティング(Life Creators Marketing)の視点から、生活民の自給・自足行動を考えています。
今回も生活世界構造で考えてみると、前回の横軸から縦軸へと広がっていきます。
縦軸は、生活民の意識行動を段階的に捉えたものです。
➀身分け(ミワケ)・・・「身」つまり「身体」という感覚器がつかんだ世界 ➁識分け(シワケ)・・・「身分け」した世界を意識によって捉えた世界 ➂言分け(コトワケ)・・・「識分け」した世界を言葉によって改めて捉え直した言語的世界 ➃網分け(アミワケ)・・・「言分け」した世界に特定の意図による「網」をかけて創られた、 |
4つの仕分けによって、人間の捉えた環境世界は5つに分かれてきます。
❶ソト界(物質界:physics)・・・私たち人間や動物などを取り巻く、五感が捉える前の無感覚的な環境世界。 ❷モノ界(認知界:physis)・・・人間が「身分け」で環境世界の中から把握した世界。把握したものは、「無意識」として佇み、されなかったものは「無感覚」として物界に沈む。 ❸モノコト界(識知界:gegonós)・・・人間が「識分け」でモノ界の中から認めた世界。認めたものは「意識」の対象となり、されなかったものは「無意識」のままモノ界に沈む。 ❹コト界(言知界:cosmos)・・・人間が「言分け」能力でモノ界の中から把握した世界。捉まれたものは「知識」となり、されなかったものは「意識」のままモノコト界を漂う。 ❺アミ界(理知界:philosophies)・・・「言分け」で把握された世界へ、特定の意図による“網”をかけて創り出された抽象的世界。捉まれたものは「学識」となる。 |
5つの世界から生まれてくる生活願望は、次の通りです。
➀欲外(apathy)・・・無感覚な次元であり、生活願望も未発 ➁欲動(drive)・・・無意識次元で巻き起こる、動物的、衝動的な願望 ➂欲求(want)・・・生理的な充足・不足状態を意識が求める願望 ➃欲望(desire)・・・記号(言葉や知識など)の刺激を受けて誘導的に生まれる願望 ➄知欲(interest)・・・学識に誘導され、観念的充足を求める願望 |
5つの生活願望のうち、生活民の自給・自足行動に深く関わっているのは、欲動、欲求、欲望の3つです。
●欲動・・・環境世界に放り込まれた生活民が、最初に反応するのは「身分け」が捉えたものの、「識分け」が未だ掴んでいない「欲動」です。モノ界に漂う、無意識的、動物的、衝動的な願望望です。 ●欲求・・・続いて生活民が求めるのは、「識分け」が捉えた「欲求」です。モノコト界から生まれてくる願望で、生理的な不足状態を意識がとらえた願望が中心となります。 ●欲望・・・さらに生活民は「欲望」に囚われます。「言分け」が生み出す、さまざまな記号の刺激を受けて、誘導的に生み出される願望です。 |
3つの生活願望が求める、主な対象は次のとおりです。
❶欲動の対象・・・五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、六感など) ❷欲求の対象・・・機能(性能、効能、作用、特性など) ❸欲望の対象・・・記号(言葉、文字、形、音など) |
以上のような生活願望の発生状況を考えると、生活民は縦軸の上で、欲動➔欲望➔欲求の順にさまざまな願望を生み出していることになります。
とすれば、生活民には次のような行動が求められます。
➀生活民自身として、「欲望」だけに捉われることなく、「欲動」や「欲求」への願望に関心を払うこと。 ➁消費市場を提供する供給者に対しては、過剰な記号や機能の供給を超えて、「欲動」や「欲求」を充たせるような素材の提供を強く求めること。 |
以上のように、生活民マーケティングの縦軸では、「欲動」「欲求」「欲望」の順番で、生活行動が展開されることが期待されています。
従来の供給版マーケティングでは、カラー、デザイン、ネーミング、ストーリー、ブランドなど、「欲望」対応戦略が最重要課題のように喧伝されています。だが、生活民マーケティングの視点に立てば、生活民1人1人の「欲動」や「欲求」に応えられるような、「差元化」や「差別化」対応の方が一層求められるでしょう。

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