ハイテクツールの6番めは、メタバース(Metaverse) を取り上げます。
メタバースという言葉は「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語です。コンピューターの中に構築された3次元の仮想空間の中を、アバター(Avatar:分身)となったユーザーが、ゴーグルや対応パソコンなどを使って、自由に活動できる仮想空間サービスを意味しています。
技術的な基礎は、これまで述べてきたXR(Cross Reality)、つまりVR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)、SR(Substitutional Reality:代替現実)などが担っていますが、それらを超える特性については、幾つかの指摘があります。
①メタバースは「仮想空間」そのものであり、さまざまなXRは仮想空間内での体験を実現する「手段・技術」にすぎない。
②メタバースはアバターによる「複数」ユーザーの参加を前提にしているが、XR では「一人」のユーザーが中心である。
③メタバースは仮想空間内に世界全体を構築し、継続的な運用をめざしているが、XR は特定の仮想世界の実現だけに限られている。
以上のように、メタバースは単なる仮想空間を超えて、仮想と現実との連携を強化するものであり、それによってビジネス、学習、遊戯などの仮実連携行動を実現していくメディアともいえるでしょう。
このような特性を持つメタバースは、私たち生活民にどのような効果をもたらすのでしょうか。生活構造(「生活体」の3つの軸)の中に位置付けてみましょう。
①感覚・言語軸(縦軸)
❶ユーザーはメタバースが作り出す仮想空間を識分け・言分け・識分けできる。 ❷ユーザーはアバターとして仮想空間に働きかけることができる。 ❸アバターは理知界で行った思考に基づき、メタバース内の言知界では会話し、識知界(モノコト界)では対物処理もできる。 |
②個人・社会軸(横軸)
❶メタバースの作り出す言語空間は、ラングからパロール1を経てパロール2に及ぶ。 ❷メタバースの中で、アバターⅠは複数のアバターⅡと会話できる。 ❸メタバースの中で、アバターⅠは自分自身(アバターⅠ)と会話できる。 |
③真実・虚構軸(前後軸)
❶メタバースの提供する仮想空間は、あくまでも虚構空間である。 ❷虚構空間を前提に、アバターは虚実曖昧事象として対応していく。 ❸アバターは虚実曖昧の中から真実事象を判断することもできる。 |
以上のような特性を持っているとすれば、メタバースとは高度な仮想空間を設定し、アバターによる仮想行動や仮想生活、さらには仮想人生までも模擬体験させられるWeb装置ということになるでしょう。
メタバース「Meta-verse)」というより、「ウェブバース(Web-verse)」というほどのものかもしれません。
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