①人間集団が一つのモノを評価する場合、そのもの特有の「有用性=効用=ねうち」という視点と、他のモノと比較するという「相当性=価値=あたひ」という視点の、2つを分けたうえで、両者をクロスさせている。
②特定の社会集団は、さまざまなモノの「相当性=効用」を、他のモノの「相当性=効用」と比較して、一定の評価順位である「価値」を定めている。
③個人が一つのモノを評価する場合、社会的な「効用」に従って使う場合は「効用1(有用性1)」に、独創的な使用を編み出す場合は「効用2(有用性2)」になる。
②特定の社会集団は、さまざまなモノの「相当性=効用」を、他のモノの「相当性=効用」と比較して、一定の評価順位である「価値」を定めている。
③個人が一つのモノを評価する場合、社会的な「効用」に従って使う場合は「効用1(有用性1)」に、独創的な使用を編み出す場合は「効用2(有用性2)」になる。
このため、「効用=ねうち」という概念はさらに3つに分かれます。
●共効(Social Utility)・・・ラング=社会集団が共同主観として認めた有用性であり、「共同効用」、略して「共効」とよぶことができる。
●個効(Individual Utility)・・・パロール1=個人使用において、個人が社会的効用を受け入れた「効用1(有用性1)」であり、「個人効用」、略して「個効」とよぶことができる。
●私効(Private Utility)・・・パロール2=私的使用において、個人が独自に創り出した私的な「効用2(有用性2)」であり、「私的効用」、略して「私効」とよぶことができる。
●個効(Individual Utility)・・・パロール1=個人使用において、個人が社会的効用を受け入れた「効用1(有用性1)」であり、「個人効用」、略して「個効」とよぶことができる。
●私効(Private Utility)・・・パロール2=私的使用において、個人が独自に創り出した私的な「効用2(有用性2)」であり、「私的効用」、略して「私効」とよぶことができる。
この件については、すでに[生活民は「価値」よりも「私効」を重視!](2016年11月22日)などで詳しく述べています。ご参照ください。
以上のように、「効用」という概念は、「共効」「個効」「私効」の3つに分割できると思います。
具体的な事例を挙げておきましょう。
◆食酢の効用・・・「共効」は基本的な調味料であり、多くの使用者はこれを「個効」として、料理の味付けに使っています。しかし、一部の人たちは、幾分水で薄めたり、大さじ1~2杯をそのまま洗濯機へ投入し、洗濯ものをふっくらしあげる柔軟剤としても使っています。これは私人が新たに見出した食酢の新たな「ねうち」であり、まさに「私効」とよぶべき有用性でしょう。
◆冷蔵庫の効用・・・電気冷蔵庫は、食べ物や飲料を保管できるという「共効」を持ち、それを利用する使用者は実際に冷やすという「個効」を享受しています。しかし、ワンルームマンションなどを実態観測すると、冷蔵庫の中には薬品や化粧品はもとより、銀行通帳や現金まで、食べ物以外のさまざまなモノが入っています。冷凍庫に生ごみが入っているケースもあります。回収日が決まっているため、ゴミ箱では悪臭が立ちますから、冷凍したうえでまとめて捨てる、という生活の知恵です。狭い部屋の中で合理的な収納を望む単身者にとっては、「総合保管庫」や「冷凍ゴミ置き場」などという、大胆な「私効」にかわっているといえるでしょう。
このように「価値」の3定義を見直していくと、「効用」にもまた3つの定義が浮かんできます。
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