社会界、間人界、個人界の、それぞれの特徴は次のとおりです。
●社会界
私たちがラング(言語、文化、伝統、歴史、慣習、規範、法律など集団的な価値観や制度)を受け入れつつ、同時にラングそのものへ働きかけている世界。家庭教育、近隣教育、学校教育、社会教育、企業内教育などからの〈学習〉や、マスコミやミニコミなどからの情報視聴といった〈受信〉、さらにその延長線上で政治活動や示威活動など、社会に向けての〈発信〉などを行っています。
●間人界
ラングを前提に、私たちが会話、実践、交換などを〈交流〉している日常的な世界。家庭、学校、企業などでの、さまざまな〈交流〉活動をはじめ、個人や家族での〈家事〉や〈売買〉、職業人としての〈経営〉や〈指揮命令〉などを行っています。
●個人界
私たちがラングに従いながらも、純個人として自らの内部に語りかけたり、ラングを自分なりに変換して新たな表現を作りだしている世界。自省、内省、日記の記述などで自分自身と〈交信〉したり、かってなかったような形態やスタイルで、自らの生活を〈再構成〉するなど、新たな生活行動を創造しています。
これら3つの言語的世界は、私たちの日常生活はもとより、一般的な社会活動から経済活動にまで、大きく広がっています。
社会活動でいえば、さまざまな社会制度を受け入れる社会界、制度に従って毎日の生活を営む間人界、制度を応用しつつも個人的に変換している個人界という構造です。
経済活動でいえば、既存の貨幣制度や市場経済システムなどを勉強したり受容する社会界、既存の諸システムに則って売買や取引を実際に行う間人界、既存の商品〈価値〉を換骨奪胎して自らの用途や私的なネウチに変えていく個人界という構造です。
こうしてみると、横軸では、社会学的な「社会⇔個人」、経済学的な「集団的な価値⇔純個人的なネウチ」、また心理学的な「集団への同調⇔純個人的な愛着」という対応がそれぞれなりたっています。
要約すれば、横軸は、一方では社会、価値、同調などを、他方では個人、ネウチ、愛着などをそれぞれ対極とする、水平の軸といえるでしょう。
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