2025年12月30日火曜日

Life Creators Marketing3:生活民はどこまで自給しているのか?

現代社会の生活民は、自らの生活を構築するため、さまざまな生活資源を「市場」から調達する、という生活構造に追い込まれています。

私たちはどれほど「市場」に頼っているのでしょうか。極めて現代的な質問ですから、生成AI に聞いてみましょう。

「日本人の個人は、衣、食、住、移動、熱源の各部門で、何%自給しているのでしょうか?」と尋ねると、

Gemini(Google)、ChatGPT(OpenAI)、Copilot(Microsoftからは、次のような回答がありました。

一般的な個人では、食が0.1~1%、衣と住が0%、総合は25など、自給を極めた個人では、食が約7090%、衣が約1030%、住が約5070%総合は80%前後と「どうしても突破できない最後の20%」を指摘したうえで、「まとめ」として「私たちの生活は“輸入”で成り立っている」と述べています。


食が15%、衣が0%、住が0~1%などで、総合で25と推定したうえで、「平均的な日本人は、生活の9598%を“他者・社会・海外”に依存している、と述べています。


食が約38%(カロリーベース食料自給率)、衣が03%程度(衣料品の輸入依存が9798%から推計)、住が50%前後(木材自給率約40%+建材の多くは国内生産)など、個人の自給率ではなく、輸出入の比率として推定しています。

その理由として「公的統計にも日本人個人の自給率を%で示したデータは存在しない」うえ、「個人が衣服や住宅を“自給”する概念が現代社会では成立しにくい」と推定の困難性を指摘しています。


●Geminiの推定は、極めて柔軟な姿勢で、一般的な個人で総合が25%、自給を極めた個人で総合は80%前後と、一般人と自給志向人を分けたうえで、大きな差異を指摘しています。

●ChatGPTの推定は、極めてベーシックな態度で、平均的な日本人の自給率を25%と推定し、それ以外は“他者・社会・海外”に依存している、としています。

●Copilotの推定は、やや建前的な姿勢で、個人レベルの自給状況は推定できないとしたうえで、国家レベルの自給状況を240としています。

以上のように、生成AIの回答はやや分散しているようです。

しかし、統合的に見れば、私たち生活民の生活自給状況は、ほとんど0%に近い状況ですが、自給志向者にとっては80%まで上げられる可能性もある、ということになりそうです。

そこまで上げるのは大変だと思いますが、“生活民”としては挑戦する意味はあるでしょう。

どうすれば可能になるのか、さまざまな視点から考えていきます。

2025年12月23日火曜日

Life Creators Marketing 2 :市場とは何だろうか?

 生活“民”マーケティングLife Creators Marketing)とは、生活民の立場から「マーケット(市場)」へ働きかける行動を意味します。この「マーケット」、つまり「市場」とは何なのでしょうか。

人類史を振り返ると、古代社会の狩猟採集時代や農耕初期時代には、生活民の暮らしは自給自足が基本であり、その余剰分が贈与や共同体内で分配されていました。つまり、生活民にとっての生活資材とは、自分自身で獲得する対象であった、といえるでしょう。

ところが、時代が下るにつれ、他者との「交換」という獲得方法が広がってきました。これこそが「市場」という社会装置の基本です。


「市場」という漢字は、「いちば」とも「しじょう」も読まれています。

いちば」とは「小売店が集まって常設の設備の中で、食料品や日用品を売る所」や「一定の商品を大量に卸売りする所」を、また「しじょう」とは「売り手と買い手とが特定の商品や証券などを取引する場所」を、それぞれ意味しています(デジタル大辞泉)。

社会装置としては、「いちば」が拡大することで、「しじょう」へ発展してきました。

狩猟採集社会(紀元前1万年前まで)では、余剰の食料や自作の道具などを物々交換する場所として始まり、古代社会(紀元前40002000年頃)になると、メソポタミア、エジプトなどでは定期的な交換場所として定まりました。

ヨーロッパの中世社会515世紀頃)には、都市の拡大につれて定期市が開かれるようになり、近代社会1819世紀)になると、産業革命の進行とともに、大量生産・大量流通を担う商品市場が誕生し、貨幣経済の拡大に伴って、現代の市場社会が成立しました。

このように進展してきた「市場(いちば+しじょう)」に対し、生活民はどのように対応していくべきなのでしょうか。生活民マーケティングが対象にするのは、基本的には「いちば」ですが、延長線上では「しじょう」へも広がっていきます。

もともと「自給自足」が基本であった生活資源の獲得法が、知人間の「贈与」や共同体による「分配」、さらには宗教や王権による「再分配」などを経て、市場による「社会的交換」に移るにつれ、個々の生活民としてどのように対応すべきが問われるようになってきたのです。

これにより、現代社会の生活民は、自らの生活を構築するため、自己の労働で獲得した貨幣を差し出し、さまざまな生活資源を「市場」から獲得する、という生活構造に至っています。

とすれば、本来の「自給自足」と「贈与」「分配」「再分配」「交換」の間に、どのように対応していけばいいのか、とりわけ「自給自足」と「交換」の関係を適切に創り上げるにはどうすればいいのか、が問われることなります。

これこそが「生活民マーケティング」の基本的立場といえるでしょう。

2025年12月4日木曜日

Life Creators Marketing・プロローグ

生活学・新原論の応用方向を整理してきました。基本的な方向はひとまず取りまとめましたので、さらに具体化するため、市場社会への対応、つまり「“生活民”は市場社会へいかに対応していくか」について、多面的に考えていきたいと思います。

生活“民”とは、どのような人間なのでしょうか。「生活民」とはどんな人?】で述べたように、生活学の「生活人」や社会経済学の「生活者」を継承しつつ、より統合化したコンセプトです。

さらにいえば、消費者とも生活者とも異なる、より純粋の人間像、「Life Creators」です。市場社会との関連で定義すれば、「ユーザーの立場を超えて、市場の成立以前から存在した、自立的な人間」像ともいえるでしょう。


とはいえ、現代社会は極めて高度な市場社会ですから、それを前提にしなければ、各々の生活は成り立ちません。企業という供給側の提供する、さまざまな生活素材を受容しつつ、それぞれの暮らしを構築していくという生活形態が一般的なのです。

そうだとすれば、市場=マーケットに対し、需要者としてどのように対応していくべきなのか、それなりの行動が求められます。

これこそ、生活民マーケティングです。供給者側からではなく、需要者側からの市場対応策ともいえるでしょう。

マーケティングといえば、通常は供給側からのマーケット対応が一般的です。さまざまな企業が需要集中市場へいかに対応していくか、という経営戦略と考えられています。

ところが、もう一方では、需要側からのマーケティングも考えられます。市場社会に生きている生活民は、どのようにマーケットと付き合えばいいのか、という視点です。複雑に膨張した生活市場を、一人の生活民としてどのように活用し、いかように変えていくべきかという生活手法です。

これこそ「生活“民”マーケティングLife Creators Marketing」です。一人の人間として、生活市場や消費市場という生活資源の溜池にどのように踏み込んでいくべきか。さらにいえば、生活民の一人として、巨大な市場社会へ適切に対応し、巧妙に利用し、いかなる方向へ変えていくべきか。・・・そんなことを目ざすのが、生活民マーケティングといえるでしょう。

このような視点から、生活民のさまざまな市場対応を考えていきます。

2025年11月26日水曜日

生活学・新原論を応用する・・・生活行動

生活学・新原論の論考を整理し、応用分野を展開しています。

今回は「生活願望」と「ネウチ」を応用した「生活行動」論です。

前回述べたように、「生活世界構造」から生まれてくる「生活願望」と「ネウチ」を前提にすると、私たちの生活行動は大きく分けて、差異化、差元化、差延化、差汎化、差真化、差戯化、差識化の7つに分かれてきます。



縦軸・・・上方の「欲望」からは差異化」行動が、下方の「欲動」からは「差元化」行動が生まれます。

横軸・・・左下の「私欲」からは「差延化」行動が、右上の「世欲」からは「差汎化」行動が生まれます。

➂前後軸・・・右下の「真欲」からは「差真化」行動が、左上の「虚欲」からは「差戯化」行動が生まれます。

➃中央・・・「欲求」「実欲」「常欲」から生まれてくる「日欲」からは「差識化」行動が生まれます。


7つの生活行動の要点を整理しておきましょう。

差異化とは、【差異化行動とは何か?】で述べたように、生活願望の「欲望」に対応して、モノやサービスのうえに言語やイメージなど、さまざまな「記号」を求める生活行動です。

事例:常欲レベルでは、作文や日記などの記述。虚欲レベルでは、お気に入りファッションの着用。真欲レベルでは、哲学書の講読など。

差元化とは、【差元化行動とは何か?】で述べたように、生活願望の「欲動」に対応して、記号や機能をあえて外し、身体性や直感性、原始性や動物性などの「身分け」力を回復させる生活行動です。

事例:常欲レベルでは、温浴行動。虚欲レベルでは、夢や幻想などに戯れる行動。真欲レベルでは、自然現象を神や仏として信仰する行動など。 

差延化とは、【差延化行動とは何か?】で述べたように、供給者の差し出す「ききめ」、つまり「共効」を素材として用い、生活民一人ひとりが独自の「ねうち」、つまり「私効」を積極的に創りだす生活行動です。

事例:欲求レベルでは、生活民が自ら行う装飾・塗装行動。欲望レベルでは、メモ帳に自分の論理や理屈を書く行動。欲動レベルでは、自然現象を自ら信仰する行動など。

差汎化とは、【差汎化行動とは何か?】で述べたように、社会、価値、同調などを求める「世欲」に応えて、社会的なネウチや共同体的な価値を創りだす生活行動です。

事例:欲求レベルでは、生活基盤を求めて就業する行動。欲望レベルでは、大学の講義を聴講する行動。欲動レベルでは、夢や幻想を宗教化する行動など。

差真化とは、【差真化行動とは何か?】で述べたように、真実界から生まれてくる、儀礼や儀式、学習や訓練、自制や自律などを求める真欲に応えて、儀式や儀礼、勉学やトレーニング、自省法や内観法などを実行する生活行動です。

事例:欲求レベルでは、生活作法を学ぶ行動。欲望レベルでは、大学などで講義を学ぶ行動。欲動レベルでは、木像信仰を宗教化する行動など。

差戯化とは、【差戯化行動とは何か?】で述べたように、虚構界から生まれてくる弛緩、解放、遊興などを求める虚欲に応えて、虚脱・混乱、浪費・蕩尽、戯化・模擬、ゲーム・競争などを実行する生活行動です。

事例:欲求レベルでは、自作のスマホゲームを発信する行動。欲望レベルでは、黒板やディスプレィに戯画や漫画を描く行動。欲動レベルでは、頭の中で夢や幻想と戯れる行動など。

差識化とは、【差識化行動とは何か?】で述べたように、「欲求」「実欲」「常欲」が“認識”する、さまざまな有用性の中から、個人的に必要な「ききめ」を判断し、それらを求める生活行動です。

事例:欲求レベルでは、渇きを潤すため水を飲む行動。実欲レベルでは、衣食住など日常生活の基本となる行動。常欲レベルでは、日常的な生活習慣で暮らす行動など。

以上のように、生活学・新原論の新視点を応用すると、私たちの生活行動のさまざまな特性が、7つの角度から次々に浮かび上がってきます。

2025年11月12日水曜日

生活学・新原論を応用する・・・生活願望

生活学・新原論の論考を整理し、応用分野を展開しています。

今回は前回の「生活世界構造」を応用した「生活願望」論です。「生活世界構造」から生まれてくる「生活願望」と、その願望が求める「ネウチ」、の2つを整理していきます。



生活願望は、【生活願望・3つの軸から生まれる】で述べたように、生活世界構造の縦軸、横軸、前後軸の3つの軸から生まれてきます。

横軸からは【世欲⇔実欲⇔私欲】が生まれてきます(生活心理を横軸で考える!)。

世欲とは「世間的な評価を手に入れたいと思う願望」、実欲とは「日常的な生活の中で実効的な効果や成果を得たいと思う願望」、私欲とは「他人に何といわれようと純私的に満足したいと思う願望」の3つです横軸が作る3つの生活願望・・・世欲・実欲・私欲

縦軸からは【欲動⇔欲求⇔欲望】が生まれてきます(生活心理を考える・・・意識としての生活世界構造)。

欲動(driveとは「無意識次元で日常的な評価基準を超えた、動物的、衝動的な願望」、欲求(wantとは「生理的な不足状態を意識がとらえた願望」です。欲望(desireとは「記号の刺激を受けて誘導的に生まれる願望」です。

前後軸からは【真欲⇔常欲⇔虚欲】が生まれてきます生活心理・前後軸から考える!)。

真欲とは「言葉の示す目標に自らの行動を律しようとする願望」、常欲とは「真実と虚構を振り分けつつ、日々の暮らしを実現しようとする願望」、虚欲とは「言葉の示す目標を緩めて遊びや解放を味わおうとする願望」です。

➃3つの軸に交点では【実欲・欲求・常欲】が重なって、最も日常的な【日欲】が生まれてきます(七つの生活願望とは何か?)。

日欲とは「欲求をベースに実効性や虚実性を共に求める願望」です。

以上のように、私たちの生活願望は7つに整理できます。

これらの願望が求めるネウチを考えると、次のようになります(ネウチ観を考える!)。

横軸・・・世欲では「価値」、実欲では「効用」、私欲では「効能」がそれぞれ求められます。

価値(Valueとは「社会集団が共同主観として認めている共効(共同的有用性:social Utility)」、効用(Utilityとは「生活民が一人の個人として、社会的効用を受け入れる個効(個人的有用性:Individual Utility)」、効能(Effectとは「生活民が一人の私人として独自に創り出した私効(私的有用性:Private Utility)です。

縦軸・・・欲動では「差元」、欲求では「差別」、欲望では「差異」がそれぞれ求められます(差元化とは何か?差別化とは何か?差異化とは何か?)。

差元」とは「身体性や直感性、原始性や動物性などの“身分け”力を求める願望」、「差別」とは「新たな機能・性能・品質を求める願望」、「差異」とは「言語やイメージなど新たな“記号”求める願望」です。

前後軸・・・真欲では「差真」、常欲では「差識」、虚欲では「差戯」がそれぞれ求められます(差真化行動とは何か?差識化行動とは何か?差戯化行動とは何か?

差真」とは「儀式や儀礼、勉学やトレーニング、自省法や内観法などを求める願望」、「差識」とは「さまざまな有用性の中から、個人的に必要な“ききめ”を求める願望」、「差戯」とは「虚脱や蕩尽、戯化や模擬、ゲームや競争などを求める願望」です。

交点部・・実欲、欲求、常欲の交差する日欲では「差識」が求められます。

差識」はさまざまな有用性の中から、日常的に必要な「ききめ」を求める願望です。

以上のように、この原論の「生活世界構造」を基盤にすると、人間の求める、さまざまな「生活願望」と、その願望に対応する、ほとんどのネウチ、つまり生活上の期待形態がじわじわと浮かび上がってきます

2025年10月25日土曜日

生活学・新原論を応用する・・・生活世界構造

生活学・新原論に関連する、このブログの論考を整理し、応用分野を展開しています。

今回は「意識構造」や「生活行動」の前提となる「生活世界構造」を整理していきます。

生活世界は、下図のように、縦軸、横軸、前後軸の3つの軸で構成されています。


それぞれの軸の意味するものは、次の通りです。

縦軸・・・生活心理を考える・・・意識としての生活世界構造202437日)

縦軸は心の階層であり、「身分け」「識分け」「言分け」「網分け」で、感覚的世界から観念的世界へ移行していきます。

これにより、生活民の意識行動は【おぼえず­~おぼえる~しる~はなす~かんがえる】に分かれ、心の中には、ソト界(未知界)~モノ界(認知界)~モノコト界(識知界)~コト界(言知界)~アミ界(理知界)の、5つの心理的世界が生まれてきます。5つの世界では、無感覚~無意識~意識~知識~学識という、 5つの認識行動が動き出します。

横軸・・・生活心理を横軸で考える2024329日)

横軸は言葉によって作られる個人・社会の階層であり、外側の世界と交流する「社会界」、日常的な暮らしで交流を行なう「間人界」、自己の内側と交流する「個人界」に分かれます。社会界は集団的な価値観や制度を受け入れつつ、同時に社会そのものへ働きかける集団的な世界、間人界は社会界を前提に、会話、実践、交換などを〈交流〉している日常的な世界、そして個人界は社会のしくみに従いながらも、純個人として自らの内部に語りかけたり、社会規範を自分なりに変換して、新たな表現を作りだす純私的な世界です。

前後軸・・・生活心理・前後軸から考える!2024418日)

前後軸は、日常を超える超越的な「メタ・メッセージ」によって、言葉の示すことをすべて真実とみなす「真実界」、逆に言葉の示すことはすべて虚構とみなす「虚構界」、2つの狭間にあって真偽が曖昧なままの「日常界」、の3つに分かれます。

真実界(儀礼界)では儀礼、儀式、緊張、勤勉、学習、訓練、節約、貯蓄など、日常界では普段、平常、平生、常日頃、日々など、そして虚構界(遊戯界)では遊戯、弛緩、怠惰、遊興、放蕩、浪費、蕩尽など、それぞれの生活行動が生まれてきます。

3軸の構造・・・生活世界構造を言語機能で考える!2024430日)

生活民の生きている空間は「言葉」によって作られていますから、縦軸(感覚⇔観念)では象徴言語・交信言語・観念言語が、横軸(個人⇔社会)では独考言語・日常言語・交流言語が、そして前後軸(真実⇔虚構)では真言・常言・虚言という言語機能が生まれてきます。

私たちの生きている生活世界を、以上のような言語構造として理解すると、さまざまな生活意識はもとより、生活願望生活行動の生まれてくる根源が、じわじわと浮かび上がってきます。

2025年10月19日日曜日

生活学・新原論を応用する・・・意識構造と生活構造

生活学・新原論に関連する、このブログの論考を整理し、応用分野を展開しています。

前回に続き、「新原論Ⅰ・生活主体」で提唱した「生活民(Life Creator」について、今回は「意識構造」と「生活行動」を整理していきます。




➀「生活民」の意識構造

生活民は「価値」よりも「私効」を重視!20161122日)

生活民はそれぞれの生活の中で、自分で創り出した「私効」を中心としつつも、外部から調達してきた「共効」を「個効」として受け入れ、新たな「私効」へと変換することにで、有用性の範囲を広げているのです。

生活民の求めるネウチとは何か・・・2018131日)

大和言葉では、モノの有用性について「ねうち(有用性)」と「あたひ(相当性)」を分け、この区分を歴史的に続けてきました。

生活民はアタヒよりネウチを重視!201828日)

「ねうち」とは「私効」であり、「あたひ」とは「価値」に相当しますから、生活民とは「あたひ」よりも「ねうち」を求める主体ということになります。 

➁「生活民」の生活行動

「価値創造」より「私効復活」へ!20181021日)

生活民には、マスメディアや消費市場から押し付けられる流行やライフスタイルを一旦棚上げにしたうえで、自分自身の中身や暮らしを見つめ直し、そこから改めて「何が欲しいのか」、生活願望を再構築していくことが求められます。

生活行動の判断基準は「私効」から・・・20181129日)

生活民の判断基準については、社会-個人軸上の「私効」をべ-スとしつつも、さらに言語-感覚軸上の「感覚」や「象徴」、真実-虚構軸上の「虚構」を含めた次元から説明していくことが求められるでしょう。

「私効」を実現する生活行動とは・・・2018129日)

モノの用途における「差延」とは、予め作られたモノの共効や個効ではなく、提供者と私用者の間で時間とともに作られていく私効ということになるでしょう。

以上、生活新原論の応用分野として、前回の「生活民」の定義と生活構造に続き、今回は意識構造生活行動を取りまとめてみました。

2025年10月11日土曜日

生活学・新原論を応用する・・・生活民と生活構造

生活学・新原論を提案してきましたが、この視点を応用して、このブログではすでにさまざまな論考を展開してきましたので、今一度振り返り、ポイントを整理しておきましょう。

最初は「新原論Ⅰ・生活主体」で提唱した「生活民Life Creator」です。

「生活民」とは、経済学での「消費者(Consumer」、経営学や家政学での「生活者(User」などを大きく越えて、市場社会の枠組みを超えた、自律的な人間像を意味しています。


生活民」という主体が創り上げられてきたプロセスは、以下のとおりです。

➀「生活民」の定義

「生活民」とはどんな人?20161013日)

「生活民」とは、生活の主体である人間像を、生活学の「生活人」や社会経済学の「生活者」を継承しつつ、より統合化したコンセプトです。

「生活民マーケティング」はLC-Marketing」だ!2017730日)

生活民の英語名称も、Consumer(消費者)やPro-sumer(生産・消費者)はもとより、User(需要者)やSelf-helper(生活者)もまた超えて、Life Creatorというべきです。

アトモノミクスの基盤を考える!20181120日)

新しい生活学=アトモノミクスátomo:私人・原子  nomos:法)では、市場の成立以前から存在した、自立的な人間像の上に、Life Creatorという、新たな要件を満たす人格を改めて「生活民」と定義し、彼の行う生活諸行動について、様式や原理などを構築していきます。

➁「生活民」の生活構造

これが生活体だ!2015319日)

私たちの生きている生活世界は、感覚⇔言語軸、個人⇔社会軸、真実⇔虚構軸の、3つの軸によって構成されています。

生活体マンダラ・立方界を提案する!2015322日)

3つの軸によって【感覚・認知・言語】【個人・間人・社会】【遊戯・日常・儀礼】の各要素をクロスさせると、3×3×3の、27の小立方体に分割できます。

「生活体」から「生活球」へ201541日)

「生活体」という立法体を「生活球」という球体でとらえ直すと、真ん中の平常球を中心に、言語球、感覚界、社会球、個人球、儀礼球、遊戯球の、7つの小球で構成されています。

今回はとりあえず、生活民の定義と生活構造を振り返りました。次回は意識構造生活行動です。

2025年9月27日土曜日

生活学・新原論・ひとまずまとめ!

ほぼ1年半にわたり「生活学・新原論」を展開してきましたので、ここでひとまず、基本的な方向を整理しておきましょう。

新原論Ⅰ・生活主体・・・「生活民」を提案しました。

生活民とは、市場社会のユーザーを超えて、市場の成立以前から存在した、自立的な人間像を意味しています。「自給自立人」という発想ですから、英訳すれば「Self-helper」になるでしょう。

新原論Ⅱ・生活意識・・縦軸、横軸、前後軸の3視点で意識構造を捉えます。

縦軸では未知界~認知界~識知界~言知界~理知界の5つの認識行動、横軸では社会界~間人界~個人界の3つの対応行動、前後軸では真実界~日常界~虚構界の3つの世界が浮上し、3軸をクロスさせた立方体を生活民の意識構造と考えます。

新原論Ⅲ・生活世界構造・・・3軸をクロスした立方体を、生活民の意識構造から拡大し、最も基本的な生活世界へと展開していきます。

言葉が創り出す、3つの軸で構成される生活世界構造。これこそが、生活民の心理、願望、行動などが生まれてくる基盤となります。

新原論Ⅳ・生活願望論・・・生活世界構造から7つの願望が浮上してきます。

私たちの生活願望は、欲望~欲求~欲動、世欲~実欲~私欲、真欲~常欲~虚欲の9つに分けられ、欲求・実欲・常欲を「日欲」とまとめると、7つに整理できます。

新原論Ⅴ・生活行動論・・・生活願望を基盤にすると、生活民の生活行動は7つの行動として展開されることになります。

生活願望の構造からは、差識化、差異化、差元化、差延化、差汎化、差真化、差戯化の、7つの生活行動が生まれてきます。

新原論Ⅵ・生活空間論・・・生活民の居住空間もまた、7つの生活願望に基づいて、7つの要素に分かれてきます。

差識化では最も基本的な居住「住み家」、差異化では家屋のデザインや屋内の家具意匠、差元化では家屋への直感や雰囲気、差延化では自室や寝室への自作行動、差汎化では改造可能性の高い居室やDIY先導型の家具、差真化では学びや信仰のための住居や家具、差戯化では遊びや休養のための別荘や家具などが、それぞれ求められます。

新原論Ⅶ・生活時間論・・・生活民の生活時間についても、7つの生活願望に基づいて、7つの要素に分かれてきます。

生活世界構造で生活時間統計を読み解くと、【感覚⇔観念】の比重、つまり上下活動(感覚的・無意識的行動⇔記号的・意識的行動)が中心であり、この軸に生活時間消費の核心が潜んでいることがわかります。

新原論Ⅷ・生活コスト論・・・生活世界構造で家計調査を分析すると、私たちの暮らしの重層的な構造が浮かび上がってきます。

コスト構成の基本的傾向としては、差元化(食料、寝具、下着、医療など)、差識化(家賃、光熱費、消耗品、雑費など)、差汎化(交通、通信、交際など)の3つが高い順に並び、続いて差戯化(菓子、酒類、外食など)、差真化(教育、教養など)、差異化(装飾品、ファッション、通信など)、差延化(理美容、身のまわりなど)の順となっています。

以上のように、新原論の原点では、新たな生活主体としての「生活民」の立場から、衣食住などへの生活願望、生活時間、生活コストなどの基本要素を見直すことができました。

この延長線上では、どのような展開が可能なのでしょうか。

2025年9月17日水曜日

生活学・新原論Ⅷ-6:生活コスト論を振り返る!

生活学・新原論では、8番目の検討項目として「生活コスト論」を考えてきました。

総務省統計局の「家計調査年報・家計収支編」をベースに、当ブログの「生活世界構造」の視点に基づき、➀10年間の変化、➁複合世帯と単身者、➂単身者の男性と女性、➃単身者の年齢別消費について、7差化の動向を分析しました。

10年間の変化では、差元化と差戯化で自宅内・家庭内での生活コストが増える一方、差異化、差延化、差汎化では、外部や外見などへの支出を減らす傾向が見られました。

複合世帯と単身者を比較すると、前者では差元化と差真化が、後者では差識化、差延化、差戯化がそれぞれ高く、背景には世帯人数、育児・教育費、嗜好消費などの違いが読み取れました。

単身者の性別を比べると、男性では差戯化や差汎化など、外向きの消費傾向が強く、女性では理美容消費の差延化や、差識化や差元化など、内向き消費が多いようです。

単身者の年齢別では、「~34歳」の若い世代は居住や遊びなどに、「35~59歳」の中年世代は交通費や交際費などに、「60歳~」の高齢世代は医療費や交際費などに、それぞれが生活行動の重点を置いている、などがわかりました。

以上のような傾向を「生活世界構造」として判読すると、次のような生活態様が浮かんできます。

❶コスト構成の基本的傾向としては、差元化、差識化、差汎化の3が高い順に並び、続いて差戯化、差真化、差異化、差延化の順となっています。

上位の3つ、差元化(食料、寝具、下着、医療など)、差識化(家賃、光熱費、消耗品、雑費など)、差汎化(交通、通信、交際など)は、活の基本的な消費を示しており、身体維持を基本としつつ、外部的な交流が求められているようです。

下位の4つ、差戯化(菓子、酒類、外食など)、差真化(教育、教養など)、差異化(装飾品、ファッション、通信など)、差延化(理美容、身のまわりなど)は、個人的な嗜好性に基づく生活志向を示しています。

下位前半の差戯化と差真化は、心理的、あるいは精神的な消費の比重を示しており、遊びなどの方が勉学よりも多少多く求められるようです。しかし、差戯化と差真化に相当する消費データは、「家計調査年報」では「教養娯楽用品・サービス等」として一括集計されていますので、両者の強弱を正確に把握することはできません

下位後半の差異化と差延化は、純個人的な趣味や独創性の比重を示しており、生活世界の主体である生活基盤の強弱を表わしているようです。

このように整理してみると、「生活世界構造」による「生活コスト」分析によって、私たちの暮らしの深層的な構造が、朧げながらも浮かび上がってきます。