2025年2月28日金曜日

生活学・新原論Ⅵ-3:生活空間論:居住空間の差延化

生活空間論の3番めは「居住空間の差延化」、つまり居住空間の個室や寝室の構築、あるいはDIYやカスタマイズなどについて考えます。

差延化とは【生活学・新原論Ⅴ-3:差延化行動とは何か?で述べたように、生活願望の「私欲」に対応して、自分だけの効能、感性、記号などを求める生活行動であり、社会的な価値や日常的な効用、あるいは共同的な記号や感性などを抑制する行動ともいえるでしょう。

こうした行動を居住空間に当てはめると、家屋での自室や寝室作り、あるいは居住空間へ参加行動などが対象になってきます。

差延化行動は、上記の【新原論Ⅴ-】で示したように、9つの行動に分かれていますので、それぞれの行動が生活空間に何を求めるのか、を考えてみましょう。

●上段の「欲望」段では、中央の「手作りデザイン居間」を挟んで、「手遊びデザイン具」と「手作りデザイン書斎」が求められます。

私欲・虚欲・欲望では「手遊び」でできる建物、つまり所有者が既成の機能や用途よりも自分だけの手先で造り出せるデザインや雰囲気などが求められます。

私欲・常欲・欲望では「手作りデザイン」でできる建物、つまり所有者が自らデザインできる建物や家具などが求められます。

私欲・真欲・欲望では「手作りデザイン」でできる知的物件、つまり所有者が自らデザインできる書斎や学習室などが求められます。

●中段の「欲求」段では、中央の「手作り自宅」を挟んで、「手作り別荘」と「手作り書斎」が求められます。

私欲・虚欲・欲求では「手作り」でできる遊戯用建物、つまり建築業者など設計や構築を越えて、所有者自らが造り出せる別荘や遊具などが求められます。

私欲・常欲・欲求では「手作り」でできる建物、つまり建築業者など設計や構築を越えて、所有者自らが造り出せる自宅や家具などが求められます。

私欲・真欲・欲求では「手作り」でできる知的物件、つまり建築業者など設計や構築を越えて、所有者自らが造り出せる書斎や勉強部屋などが求められます。

●下段の「欲動」段では、中央の「手探り家具」を挟んで、「手探り夢具」と「手探り神具」が求められます。

私欲・虚欲・欲動では「手探り」で造り出す夢具、つまり所有者が無意識の中をさまよいつつ、自らの手で造り出せる建造物や夢遊道具などが求められます。

私欲・常欲・欲動では「手探り」でできる建物、つまり所有者が無意識の中をさまよいつつ、自らの手で造り出せる自宅や家具などが求められます。

私欲・真欲・欲動では「手作り」でできる知的物件、所有者が無意識の中をさまよいつつ、自らの手で造り出せる神殿や神具などが求められます。

以上で述べた、9つの差延化行動を、具体的な事例として考えてみると、次表のようになります。

生活民の差延化行動を居住空間へ応用した場合、以上のような9つの要素が浮上してきます。

これこそ「居住空間の差延化」という居住行動の意味するところでしょう。

2025年2月22日土曜日

生活学・新原論Ⅵ-2:生活空間論:居住空間の差元化

生活空間論の2番めは「居住空間の差元化」、つまり居住空間の感触や風情などについて考えます。

差元化とは【生活学・新原論Ⅴ-2:差元化行動とは何か?】で述べたように、生活願望の「欲動」に対応して、身体性や直感性、原始性や動物性などの「身分け」力を回復させようとする生活行動です。

こうした行動を居住空間に当てはめると、家屋への直感や雰囲気などが対象になってきます。

差元化行動は、上記の【新原論Ⅴ-2】で示したように、9つの行動に分かれていますので、それぞれの行動が生活空間に何を求めるのか、を考えてみましょう。

●上段の「虚欲」段では、中央の「遊び心地」を挟んで、「夢心地」と「チャラチャラ」が求められます。

私欲・虚欲・欲動では「夢心地」な気配、つまり所有者が機能や用途よりも自分だけに感じ取れるような気配や雰囲気などを求めます。

実欲・虚欲・欲動では「遊び心地」のある気配、つまり所有者が遊びや楽しさを感じ取れるような気配や雰囲気などを求めます。

世欲・虚欲・欲動では「チャラチャラ」とした気配、つまり所有者が遊びや楽しさを他人に誇示できるような気配や雰囲気などを求めることになります。

●中段の「常欲」段では、中央の「住み心地」を挟んで、「居心地」と「居住まい」が求められます。

私欲・常欲・欲動では「居心地」のよい気分、つまり所有者が自分だけに快適と感じ取れるような、住まいの気配や雰囲気などを求めます。

実欲・常欲・欲動では「住み心地」のある気配、つまり所有者が満足できるような、住まいの気配や雰囲気などを求めます。

世欲・常欲・欲動では「居住まい」の高い気配、つまり所有者が他人に誇示できるような、住まいの気配や雰囲気などを求めることになります。

●下段の「真欲」段では、中央の「まじめさ」を挟んで、「まおもて」と「神々しさ」が求められます。

私欲・真欲・欲動では「まおもて」な気分、つまり所有者が自分だけに真面(まとも)と感じ取れるような、住まいの気配や雰囲気などを求めます。

実欲・真欲・欲動では「まじめさ」のある気配、つまり所有者自身が誠実と感じられるような、住まいの風格や雰囲気などを求めます。

世欲・真欲・欲動では「神々しさ」のある気配、つまり所有者が他人に誇示できるような、住まいの気高さや神秘性などを求めることになります。

以上で述べた、9つの差元化行動を、具体的な事例として考えてみると、次表のようになります。

生活民の差元化行動から居住空間への対応を考察した場合、以上のような9つの要素が浮上してきます。

これこそ「居住空間の差元化」という居住行動の意味するところでしょう。

2025年2月17日月曜日

生活学・新原論Ⅵ-1:生活空間論:居住空間の差異化

生活空間論の最初は「居住空間の差異化」、つまりエクステリア、インテリアなど、居住空間の差異化について考えます。

差異化とは【生活学・新原論Ⅴ-1:差異化行動とは何か?】で述べたように、生活球の上部に位置する生活願望「欲望」、つまり理性、観念、物語、抽象性などを求める願望に向けて、言語やイメージなど、さまざまな「記号」を使用する生活行動です。

こうした行動を居住空間に当てはめると、家屋のデザイン屋内の家具意匠などが対象になってきます。

差異化行動は、上記の【新原論Ⅴ-1】で示したように、9つの行動に分かれていますので、それぞれの行動が生活空間に何を求めるのか、を考えてみましょう。 


●上段の「
虚欲」段では、中央の「面白味」を挟んで、「不まじめさ」と「軽々しさ」が求められます。

私欲・虚欲・欲望では「不まじめ」なデザイン、つまり所有者が機能や用途よりも自分だけで遊べるようなエクステリアやインテリアなどを求めます。

実欲・虚欲・欲望では「面白味」のあるデザイン、つまり所有者が遊びや楽しさを実感できるようなエクステリアやインテリアなどが求められます。

世欲・虚欲・欲望では「軽々しい」デザイン、つまり所有者が遊びや楽しさを他人に誇示できるエクステリアやインテリアなどを求めることになります。

●中段の「常欲」段では、中央の「見栄え」を挟んで、「個性的」と「誇示的」が求められます。

私欲・常欲・欲望では「個性的」なデザイン、つまり所有者が自ら満足できるエクステリアやインテリアなどを求めます。

実欲・常欲・欲望では「見栄え」の高いデザイン、つまり機能性や用途を越えて、所有者が自ら誇れるようなエクステリアやインテリアなどが求められます。

世欲・常欲・欲望では「誇示的」なデザイン、つまり所有者が世の中に誇れるようなエクステリアやインテリアなどを求めることになります。

●下段の「真欲」段では、中央の「確かさ」を挟んで、「まじめさ」と「重厚さ」が求められます。

私欲・真欲・欲望では「まじめ」なデザイン、つまり所有者自身がまじめに付き合えるようなエクステリアやインテリアなどが求められます。

実欲・真欲・欲望では「確か」なデザイン、つまり所有者が堅実さを実感できるようなエクステリアやインテリアなどが求められます。

世欲・真欲・欲望では「重厚」なデザイン、つまり所有者が他人に対し、重々しさや風格などを誇れるようなエクステリアやインテリアなどを求めることになります。

9つの差異化行動を、具体的な事例として考えてみると、次表のようになります。

生活民の差異化行動から居住空間を考えると、以上のような9つの要素が浮上してきます。

これこそ「居住空間の差異化」という構築行動の意味するところです。

2025年1月25日土曜日

生活行動論から生活空間論へ!

生活学・新原論は、前回までの「Ⅴ:生活行動論」に続いて、今回からは「Ⅵ:生活空間論」へ進んでいきます。「生活学・新原論Ⅵ」ということです。

生活空間を考える時、まず配慮すべきは、私たちの生きている生活空間が「居住空間」と「地域空間」に分かれているという事象です。

居住空間は、衣食住など基本的な暮らしを営む内向空間であり、地域空間は、生産や購買、教育や交流などを実現する求める外向空間です。

今回からはまず新原論Ⅵ-1として、居住空間を考えていきます。

私たちの居住空間、つまり住まいの構造を、これまで述べてきた生活行動論で分析してみると、下図のような分類が浮かんできます。 


➀中央、日欲への差識化行動に対応して、居間、食堂、炊事場、洗濯場、洗面所、浴場、便所、そしてそれらを繋ぐ廊下や階段が浮かんできます。

➁左下、私欲への差延化行動に対応して、個室や寝室などが浮かんできます。

➂右上、世欲への差汎化行動に対応して、玄関や応接室などが浮かんできます。

➃右下、真欲への差真化行動に対応して、書斎や勉強部屋などが浮かんできます。

➄左上、虚欲への差戯化行動に対応して、遊戯室や娯楽室などが浮かんできます。

⑥上方、欲望への差異化行動に対応して、外装、エクステリアなどが浮かんできます。

⑦下方、欲動への差元化行動に対応して、住み心地、インテリアなどが浮かんできます。

7つの生活行動には、それぞれ特有の生活願望への対応が含まれています。

とすれば、7つの生活空間にも、それぞれの願望に応えることが求められるでしょう。

それゆえ、建築学や住居学などの視点とは、一味違った立場から、7つの分類を前提にしつつ、個々の生活空間に求められる条件とは何か、を考えていきます。