2018年1月10日水曜日

規範離脱行動への対応方向とは・・・

生活民の差戯化行動は、言葉の持つ規範性を外そうとする行動(言語―感覚軸)と、言葉の虚構性に戯れようとする行動(個人―社会軸)の、2つに大別されます。

前者の、規範性を敢えて外そうとする行動には、日常生活での目標や規律を外した弛緩や緩和などが、また経済生活での節約や貯蓄を無視した浪費や乱費などが該当します。





2つの行動分野に対して、供給側からはこれまで、次のような戦略が行われてきました。

①弛緩・緩和行動に対する虚脱・混乱戦略・・・


陶酔、酩酊、トランポリンなど虚構空間の中で錯乱状態を求める「めまい」戦略を基盤に、温泉や気晴らし旅行など体感次元の発散を求める「虚脱」戦略や、遊園地やカーニバルなどの設備で集団的に虚脱空間を作りだす「混乱」戦略などです。

生活民がこれらの行動を求めるのは、固定した日常生活の枠組みを一旦外し、生まれたままの時点に立ち戻り、新たな視点からそれぞれの暮らしを再構築していこうとする願望のためです。

とすれば、関連する商品・サービスには、単純な弛緩・虚脱機能に加えて、柔軟かつ刺激的な再生・リフレッシュ機能が求められるでしょう。

②浪費・乱費行動に対する浪費・蕩尽戦略・・・


私的な生活次元での無為や惰性などを楽しませる「怠惰」戦略を基盤に、無駄づかいや蕩尽などの「浪費」戦略や、冗費や乱費やなどの蕩尽」戦略などです。

生活民がこれらの行動を求めるのは、日常的な経済生活のしがらみを一旦脱し、金銭にとらわれない、素朴な視点に立ち戻って、それぞれの暮らしを見直していこうとする願望のためです。

このため、関連する商品・サービスには、一時的な浪費・虚脱機能に加えて、私的な生活資源を再構築するための発想や契機を、新たに醸し出す機能が求められるでしょう。

以上のように、生活民の規範離脱行動に対しては、迎合的な弛緩・緩和・浪費・蕩尽提供に加えて、覚醒・再生・リフレッシュなどの刺激提供が必要になると思います。

2017年12月30日土曜日

差戯化行動に対応するには・・・

差真化行動に対応する供給側の課題の次は、いよいよ差戯化対応です。

生活民の差戯化行動とは、【
メタ・メッセージで「虚構」を遊ぶ!: 2017年7月6日】で述べた通り、次のような二面性を持っています。

①言葉の持つ規範性を敢えて無視し、怠惰、虚無、浪費、蕩尽などへまっしぐらに転落していこうとする消極的な弛緩行動であり、個人次元でいえば目標や規律を外した怠惰や惰性、経済次元でいえば節約や貯蓄を無視した浪費や蕩尽などが該当します。

②言葉の虚構性をむしろ認めて、遊戯、ゲーム、模擬、混乱などを思い切り楽しもうとする積極的な遊戯行動であり、個人次元でいえば息抜きのための遊戯や遊興、社会次元でいえば大衆的なスポーツやエンターテインメントなどが該当します。


この二面性に向けて、供給側では【
差戯化の4つの戦略:2015年12月14日】で述べたように、浪費・蕩尽戦略、虚脱・混乱戦略、戯化・模擬戦略、ゲーム・競争戦略の、4つの対応が従来から行われてきました。 

生活民マーケティングという視点に立つと、このような供給側の戦略はどのような配慮が必要なのでしょうか。多面的に検討していきましょう。

2017年12月22日金曜日

物語消費から神話消費へ!

繊研新聞・繊研教室(2017年12月19日)に寄稿しました! 

携帯電話会社のCMで、「白戸家」シリーズ(ソフトバンク)と「三太郎」シリーズ(KDDI)の競り合いが注目を集めている。2007年開始の「白戸家」は、CM好感度1位を7年連続で維持してきたが、14年度以降は「三太郎」に抜かれたままだ(CM総合研究所調べ)。そこで、「白戸家」側も17年の秋から大幅に構成を変えて、巻き返しを図っている。
・・・以下は http://gsk.o.oo7.jp/insist17.html#mono


2017年12月10日日曜日

供給者は真実言語には介入するな!

第2の視点、つまり「日常界で使われている日常言語(交信言語)は、言葉の示すことはすべて真実とみなす真実言語(儀礼言語)と、言葉の示すことはすべて虚構とみなす虚構言語(遊戯言語)に挟まれた言葉である」という立場から見ると、フェイクニュースや脱・真実の拡大という社会情勢に向けて、供給側が対応していくには、次のような姿勢が求められるでしょう。


真実言語(儀礼言語)の世界(真実-儀礼界)で使われている言葉は、すべてが真実を表象していますから、供給側もまた絶対にこのルールを破ってはいけません

虚構言語(遊戯言語)の世界(虚構-遊戯界)で使われている言葉は、すべてが虚構を前提としていますから、供給側は思う存分にフェイクを発信することができます。

日常言語(交信言語)の世界(虚実-交信界)で使われている言葉は、まさに虚実の入り混じったものであり、供給側もまた真偽いずれでも選ぶことができます

このように虚実軸からみると、生活民自身がそれぞれの生活空間の中で虚実の混在を楽しんでいる以上、供給側にもまたそれに応じて、虚実それぞれの情報を提供していくこと許されます。

しかし、注意すべきは、マスメディアやマーケティングなどの供給側が、ともすれば真実言語(儀礼言語)の世界にまで踏み込んで、同時代に使用されている言語の真偽基準をしばしば乱していることです

供給側が、意味する言葉と意味される対象の間に敢えて介入する場合には、とりわけ慎重な対応が求められるでしょう

2017年11月30日木曜日

供給者が“脱・真実”へ対応するには・・・

第1の視点、つまり「日常界で使われている日常言語(交信言語)は、表層言語(観念言語)と深層言語(象徴言語)に挟まれた言葉である」という立場から見ると、フェイクニュース脱・真実の拡大という社会情勢に向けて、供給側が対応していくには、次のような姿勢が求められるでしょう。



深層言語(象徴言語)には介入しない。

この言語は生活民一人ひとりの遺伝的・生活歴的な次元から生まれてくるもので、それぞれの「言語感覚」を形成しています。

日常言語以前のイメージ(元型)やオノマトペ(擬声語)など、意味するものと意味されるものが一体化しているうえ、真実と虚構が仕分けられる以前の混沌たる状況もまた示しており、生活民の言語能力や判断能力を培う源泉となっています。

それゆえ、供給側としては、CMやキャッチフレーズなどで、この次元へ強引に介入していくことは極力避けるべきでしょう。

表層言語(観念言語)には慎重な提供を。

この言葉は記事や解説、報告や論文、文学や評論などで、観念や概念といった抽象化された記号として使用されています。

一般的には、真実を表すことを目的としていますが、遊戯や文学などでは虚構を表現することも重要な役割です。

このため、供給側がネーミング、ブランド、ストーリーなどで、この種の言葉に関わる場合には、予め真実か虚構かを明示するか、容易に判断できるものとして、慎重に提供していくことが求められます。

日常言語(交信言語)には是々非々で対応。

この言語は私たち生活民が会話や交流文通やメールなど日常的に使っているものです。

深層言語と表層言語に挟まれた言語空間の中で使用されていますから、当然のように嘘と真実が混合しています。

供給側が直接介入することはありませんが、使用される言葉に大きく影響を与える立場にありますから、①②の両方の視点に立って、生活民が真偽両方を巧みに享受できるように、有力な応援者として対応していくことが求められるでしょう。

SNSやAIが急伸する時代であればこそ、供給側の言語行動にはいっそうの慎重さが求められるのです

2017年11月20日月曜日

差真化行動に対応するには・・・

生活民の差延化行動や差元化行動に対応する供給側の課題を述べてきましたので、次は差真化行動への対応を考えていきます。

生活民は「真実」を超える!:2017年8月31日】で述べた通り、生活民とは「真実」よりも「虚構」から「日常」や「真実」を眺める主体です。

この課題を考えていくには、次の2つの視点が必要だと思います。


①日常界で使われている日常言語(交信言語)は、表層言語(観念言語)と深層言語(象徴言語)に挟まれた言葉である。

“象徴”力の向上でウソとマコトを見分けよう!:2017年7月19日】で述べたように、言葉には音声記号や活字記号など「表層意識において理性が作り上げる言語」と、無意識をとらえる「深層意識的な言語」があります(井筒俊彦『意識と本質』)。

この視点を拡大すると、【
身分け・言分けが6つの世界を作る!:2015年3月3日】で触れたように、生活体の縦軸には「コト界(言語界)」「モノコト界(認知界)」「モノ界(感覚界)」の3つがあり、それぞれの世界ごとに使われる言葉もまた、表層言語(観念言語)、日常言語(交信言語)、深層言語(象徴言語)に分かれてきます。

表層言語(観念言語)は、観念や概念など抽象化された記号として使用している言葉。
日常言語(交信言語)は、会話や文通などで日常的に使用している言葉。
深層言語(象徴言語)は、日常言語以前のイメージ(元型)やオノマトペ(擬声語)などのって表される言葉。


②日常界とは真実界(儀礼界)と虚構界(遊戯界)に挟まれた世界である。

前後軸が作る3つの生活願望・・・真欲・常欲・虚欲:2015年3月13日】で詳しく述べていますが、生活球の縦横軸で見ると、私たちの生活世界は言葉の示すことはすべて真実とみなす「真実界(儀礼界)」、逆に言葉の示すことはすべて虚構とみなす「虚構界(遊戯界)」、これら2つの狭間にあって真偽が曖昧なままの「日常界」の3つから構成されています。

儀礼界とは、言葉の示すことを全く疑わないで、すべてを真実とみなすメタ・メッセージの場であり、儀礼や儀式に代表される空間。
日常界とは、真実と虚構の二つの空間の狭間にあって、虚実の入り混じった場であり、私たちが毎日暮らしている日常の空間。
遊戯界とは、言葉の示すことはすべて虚構とみなしたうえで、その嘘を楽しむメタ・メッセージの場であり、遊戯やスポーツに代表される空間。

生活民の真化行動へ供給側が積極的に対応していくには、以上のような①と②の視点をクロスさせることが必要です。

それは【
生活体マンダラ・立方界を提案する!:2015年3月22日】の中で提案した生活体マンダラの中の一つ日常界に相当します。

供給側はこの世界に対して、どのように対応していけばいいのか、多面的に検討していきましょう。


2017年11月10日金曜日

感覚次元への3つの対応

生活民の差元化行動に向けて、供給側の行うべき、3番めの方策は感覚次元への対応です。

感覚次元への差延化行動とは、個々人の「身分け」能力、つまり五感や六感などの感覚を鋭敏にして、記号や常識の創り出す、過剰な幻想を乗り超えていくことです

いいかえれば、言葉や記号をあえて外し、身体性や直感性、原始性や動物性などの身体能力の回復を意味しています。

こうした力を取り戻すには、一旦は理性的、合理的な鎧を脱ぎ捨て、直感的、感覚的な裸身をさらけ出していくことが必要です【
差元化とは何か?:2015年8月20日】。

それには、野性的な動物性出生直後の乳児性などの次元に立ち戻って、視覚・聴覚はもとより味覚・嗅覚・触覚、さらにはそれらを統合した直覚(六感)を再生・強化させていかなくてはなりません。

今後、人口減少や飽和・濃密化で日本社会の閉塞感はますます強まっていきます。そうした環境の中で、生活民の感覚再生・強化願望もまた高まっていくとすれば、供給側にもそれなりの対応が求められます。

その方向としては、①原始・野性化支援、②五感力支援、③直観力支援などが考えられます。 


原始・野性化支援・・・記号化された常識的世界を脱力化するため、自営キャンプ、登山、水泳、潜水、ウォーキング、ランニング、ペット飼育などを通じて、生身の人間力を再生・強化する商品やサービスを提供していく。

五感力支援・・・現代生活の中でややもすれば衰えがちな五感力、具体的には視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚力を再生・強化するため、食品・サプリメント、刺激臭・激辛食品、高周波音・低周波音、超高温・超低温などの関連商品や関連トレーニングを提供していく。

直覚力支援・・・五感力を統合して得られる直感(直覚)力を支援するため、休養や睡眠、快感や快汗などを深める商品やサービスを見直し、あるいは新たに創造して提供する。

以上のように、感覚の再生・強化を求める生活願望に対しては、従来の理性や日常性を積極的に超越する、大胆な対応が求められるでしょう