2017年9月18日月曜日

マテリアリングとは何か?

マテリアリング(materialing)とは、生活素場で供給側に立つメーカーや流通業が、需要側に立つ生活民に向けて、どのように対応していくべきか、その方法を追求することです。

生活民とは、すでに述べたように、①「価値(Value=Social Utility)」よりも「私効(Private Utility)」を、②「言葉(word)」や「記号(sign)」よりも「感覚(sense)」や「象徴(symbol」を、③「真実」よりも「虚構」から「日常」や「真実」を、それぞれ求めたり眺めたりする主体です。


こうした主体に向けて、さまざまな商品やサービスに提供していくには、従来とは一味違った、新たな対応が求められます。

その一つが「私効対応」であり、生活民の求めている「私効」志向にどのように対応していくか、を考えなければなりません。

生活民が「私効」を創り出すのは、
先に述べたような、次の5つ行動です。

①それぞれの生活の中で、自分で創り出した「私効」を中心としつつも、外部から調達してきた「価値(=共効)」を「個効」として受け入れ、新たな「私効」へと変換することにで、有用性(ネウチ)の範囲を広げていきます。

②社会と個人の間にある間人界において、一人の個人として、個人的な使用(=パロール1)を行う時に、社会的効用を受け入れたうえで、「個人的有用性(=私効)」を新たに創りしていきます。

③供給側からの執拗なマーケティング活動に惑わされることなく、消費市場への自らの対応力(Life Creators Marketing)を高めていきます。

④「価値(=共効)」や「個効」を「私効」へ変換するため、「差延化行動」(私仕様、参加、手作り、編集、変換)を使いこなしていきます。

⑤生活民は、差延化力を高めることによって、既成の社会的装置として確立されている消費市場の機能を、新たに「生活素場」へと脱構築していきます。

生活民のこのような「私効」志向に向けて、供給側が本気でマテリアリングを行おうとすれば、幾つかの対応策が考えられるでしょう。

2017年9月10日日曜日

マーケティングからマテリアリングへ

生活民とは、①「価値(Value=Social Utility)」よりも「私効(Private Utility)を求め、②「言葉(word)」や「記号(sign)」よりも「感覚(sense)や「象徴(symbol)」を重視し、③「真実」よりも「虚構」から「日常」や「真実」を眺める主体である、と述べてきました。

これは従来、需要側の主体として考えられてきた消費者という立場とは、大きく異なっています

消費者とは、①「価値(Value=Social Utility)」に従って、「個効(Individual Utility)を求め、②「感覚(sense)」や「象徴(symbol)」よりも、「言葉(word)や「記号(sign)」に追随し、③「真実」と「虚構」の混在する「日常」の中で生きている主体であるからです。

とすれば、「消費市場」という概念もまた、大きく変わってきます。


消費市場」とは、生産者が提供する商品やサービスを、消費者が購入して、そのまま利用するための交換空間であると理解されてきました。

だが、新たな概念は、生産者が提供する商品やサービスを、生活民があくまでも”素材”として購入し、独自の”私効”として活用していくための取得空間、ともいえるものだからです。

つまり、生活民という立場からみると、従来の「消費市場(consumer market)」とは、あきまでも“生活素材”を調達するために「生活素場(life materials space)ということになるでしょう。

そうなると、供給側である生産者の立場も大きく変わってきます。

従来は、生産者が消費者の意向を探って、適切な対応を行うという活動は「市場対応=マーケティング(marketing)とよばれてきました。

しかし、生産者が生活民の意向を探って、適切な対応を行うという活動は「素場対応=マテリアリング(materialing)とでもよぶべきものになる、と思われます。

マーケティングからマテリアリングへ、供給者かつ生産者である企業にとって、この転換はどのような意味があるのでしょうか。

生活民と生産者の関係、生活素場と生産者の関係を、新たな視点から見直していきましょう。

2017年8月31日木曜日

生活民は「真実」を超える!

生活民とは、「真実」よりも「虚構」から「日常」や「真実」を眺める主体である、と述べてきました。

その意味するところは、これまで何度も述べていますので、改めて整理しておきましょう。

①言葉の示す「真実」とは、メタ・メッセージ」という言葉の約束事に依存しているにすぎない。メタ・メッセージ論では、言葉の示すものを真実⇔曖昧⇔虚構の三空間で使い分けることで、勤勉⇔曖昧⇔怠惰などの生活行動の本質を見直しているだけだ。・・・【
前後軸が作るメタ・メッセージの世界:2015年3月12日】

②「真実」とは「嘘」ではない、と信ずる態度である。私たちは、儀式や儀礼の場で使われている言葉を、些か胡散臭さを感じたとしても、全く疑いをはさむことなく「真実」として理解し、その延長線上で「学習・訓練」や「節約・貯蓄」といった生活行動においても、言葉の示した目標をできるだけ「真実」として受け入れて、それを実現すべく努力しているだけだ。・・・【
メタ・メッセージが「真実」を保証する! :2017年6月29日】

③生活民はモノ界とコト界の両面から、真実に対応していかなければならない。日常の世界とは、コスモスとカオスのせめぎ合う世界、あるいはモノとコトの行き交う「モノコト界」であり、二重の意味で「真実」を保証するものではない以上、真実とはかなり遠いところで生きている存在と自覚することが必要だ。・・・【
嘘を作り出す二重の構造!:2017年6月10日】

④生活民は真実と虚構へ対応力を向上させなければならない。消費市場では、商品供給側からのマーケティング戦略が、真実向けを差真化戦略、虚構向けを差戯化戦略と位置づけて、日常的な戦略とは一味違った戦略で迫ってくる以上、生活民もまた両者への対応を仕分けていく必要がある。・・・【
「脱・真実」へ対応する!:2017年5月23日】

⑤生活民は、象徴次元での言語感覚を高めることで、記号次元のウソ・マコトを仕分ける能力を上昇させていく。言葉には、音声記号や活字記号など「表層意識において理性が作り上げる言語」と、無意識をとらえる「深層意識的な言語」がある。表層的な言語が「記号」であるとするなら、深層的な言語は心理学的な意味での「象徴」である。象徴次元での言語感覚を高めることで、記号次元でのウソ・マコトを仕分ける能力もまた急速に上昇できる。・・・【
“象徴”力の向上でウソとマコトを見分けよう!:2017年7月19日】

以上のように、生活民は”脱・真実”の飛び交う現代社会の中で、“超・真実”を求めていく主体なのです。

2017年8月20日日曜日

生活民は「デザイン」を超える!

生活民とは、「言葉(word)」や「記号(sign)」よりも「感覚(sense)」や「象徴(symbol」を重視する主体である、と述べてきました。

その意味するところは、これまで何度も述べていますので、改めて整理しておきましょう。


①デザイン、ブランド、ストーリーなどが、生活民の真の生活願望を迷わせている。フランスの哲学者、B・スティグレールは、供給者の展開するマーケティング活動が、さまざまなメディアを通じて消費者の感覚を麻痺させ、一人ひとりが元々持っていた、個人的な欲望や欲求を消滅させている、と主張する。・・・【差異化手法を批判する!;2016年2月11日】

②生活民は「差異化=記号化」の向こう側に「象徴化」を展望する。同じくフランスの哲学者で、差異化手法の思想的根拠ともなったJ.ボードリヤールでさえ、「すべての命名の起源である意味作用は、価値についてしか語ることができない。象徴的なものは価値ではないからだ。・・・記号と価値を抑制して、象徴的なものを回復させなくてはならない」と述べる。・・・【ボードリヤールも批判する!:2016年3月5日】

③生活民は、一人ひとりの人間に元々備わっている感覚・無意識・象徴力を回復させる。供給者の展開する「差異化」行動に対抗して、生活民は「差元化」行動を拡大させ、記号の専横を抑制していく。・・・【差異化を超えて差元化へ:2016年4月19日】

④生活民が強化すべき「差元化」行動とは、それぞれの生活世界において、感覚、無意識、欲動、感度、体感、象徴、神話などを求める願望に応え、言葉や記号をあえて外し、身体性や直感性、原始性や動物性などの「身分け」力を回復させることを意味する。・・・【差元化とは何か?:2015年8月20日】


⑤生活民は感覚界の3次元に向けて、積極的に働きかける。象徴次元にはシンボルや元型(アーキタイプ)の動きに注意を払い、無意識次元には眠り、酩酊、陶酔といった状況に自らを追い込んで、生来の直感力や超能力を回復させる。そして、感覚次元には個々人の身分け能力、つまり五感や六感などの感覚を鋭敏にして、マーケティングやマスメディアの作り出す幻想を乗り超えていく。・・・【差元化とは何か?:2015年8月20日】


以上のように、生活民とは生来の感覚能力を回復させることで、過剰な「記号」社会を言葉と感覚のバランスのとれた「言感均衡」社会へと脱構築させる主体なのです。

2017年8月9日水曜日

生活民は「価値」を超える!

生活民とは「価値(Value=Social Utility)」よりも「私効(Private Utility)」を求める主体である、と述べてきました。

その意味するところは、これまで何度も述べていますので、改めて整理しておきましょう。



①生活民は、それぞれの生活の中で、自分で創り出した「私効」を中心としつつも、外部から調達してきた「価値(=共効)」を「個効」として受け入れ、新たな「私効」へと変換することにで、有用性(ネウチ)の範囲を広げていく。・・・【
生活民は「価値」よりも「私効」を重視!:2016年11月22日】

②生活民は、社会と個人の間にある間人界において、一人の個人として、個人的な使用(=パロール1)を行う時に、社会的効用を受け入れたうえで、「個人的有用性(=私効)」を新たに創り出していく。・・・【
新たな「価値」を創るには・・・:2016年11月29日】

③生活民一人ひとりは、供給側からの執拗なマーケティングに惑わされることなく、消費市場への自らの対応力(Life Creators Marketing)を高めていく。・・・【
生活民は「価値」に惑わされない!:2016年12月7日】

④生活民は、「価値(=共効)」や「個効」を「私効」へ変換するため、「差延化行動」(私仕様、参加、手作り、編集、変換)を使いこなしていく。・・・【
生活民にとって「差延化」とは・・・:2016年12月19日月】

⑤生活民は、差延化力を高めることによって、既成の社会的装置として確立されている消費市場の機能を、新たに「生活素場」へと脱構築していく。・・・【
〝差延化〟で消費市場を脱構築する!:2017年2月25日】

以上のように、生活民とは、供給者の差し出す「価値」を超えることで消費市場」の意味までも変換していく主体なのです。

2017年7月30日日曜日

「生活民マーケティング」は「LC-Marketing」だ!

生活民マーケティング」という視点から、供給側の打ち出す差化戦略(差別化、差異化、差元化、差汎化、差延化、差真化、差戯化)に向けて、一人ひとりの「生活民」が行うべき対応行動を一通り述べてきました。

一区切りつけるために、「生活者」や「消費者」と比較して生活民」の行う生活行動のポイントを整理しておきましょう。

生産者とは・・・


①「価値(Value=Social Utility)」によって「個効(Individual Utility)」や「私効(Private Utility)」を誘発する主体である。・・・【
新たな「価値」を創るには・・・:2016年11月29日】
②「感覚(sense)」や「象徴(symbol」よりも「言葉(word)」や「記号(sign)」によって商品を売ろうとする主体である。・・・【
差異化とは何か?:2015年7月17日】
③「真実」も「虚構」も、両方とも新たな「価値」や「販売手段」として利用しようとする主体である。・・・【
7つの生活願望をつかむ、7つのマーケティング戦略:2015年6月24日】

消費者とは・・・


①「価値(Value=Social Utility)」に従って、「個効(Individual Utility)」を求める主体である。・・・【
生活民にとって「差延化」とは・・・:2016年2月19日】
②「感覚(sense)」や「象徴(symbol」よりも、「言葉(word)」や「記号(sign)」に追随する主体である。・・・【
差異化と差元化を比較する!:2015年12月26日】
③「真実」と「虚構」の混在する「日常」の中で生きる主体である。・・・【
「脱・真実」へ対応する!:2017年5月23日】

生活民とは・・・


①「価値(Value=Social Utility)」よりも「私効(Private Utility)」を求める主体である。・・・【
生活民は「価値」よりも「私効」を重視!:2016年11月22日】
②「言葉(word)」や「記号(sign)」よりも「感覚(sense)」や「象徴(symbol」を重視する主体である。・・・【
差異化を超えて差元化へ:2016年4月19日】
③「真実」よりも「虚構」から「日常」や「真実」を眺める主体である。・・・【
嘘を作り出す二重の構造!:2017年6月10日】

このような生活民の生活行動を、前回説明した生活球の中に位置づけてみると、下図のようになります。





以上のように、生活民の立場を定めてくると、その英語名称もまた、consumer(消費者)やPro-sumer(生産・消費者)はもとより、
User(需要者)やSelf-helper(生活者)というよりも、Life Creators民:複数)といった方が適切かもしれません。

とすれば、「生活民マーケティング」という名称もまた、「Life Creators Marketing(略称:LC-Marketing」ということになるでしょう。

2017年7月19日水曜日

“象徴”力の向上でウソとマコトを見分けよう!

真実界と虚構界の、2つの空間に挟まれ、真偽の入り混じった生活空間・・・これこそが私たちが毎日暮らしている日常界です。

それゆえ、私たちの日常生活とは、真実と虚構の狭間で絶えず揺れ動いています

とりわけ、最近ではSNSなどWeb Networkの拡大で、日常界ではウソの比重が急速に高まってきました

真っ赤なウソやいい加減な情報が飛び交ったり、客観的な事実を無視して感情的な主張のみが罷り通る政治状況、いわゆる「Populism」も広がり始め、「post-truth(脱・真実)」などという懸念も高まっています。

IT技術が創り出した、こうした社会環境に、私たち一人ひとりの生活民はどのように対応していけばよいのでしょうか。

すでに「
SNSにどう向き合うか?」(2017年5月11日)で述べましたが、2つの基本的な態度が求められます。

情報環境への差延化行動の強化・・・「私仕様」「参加」「編集」「変換」「手作り」という5つの基本行動を積極的に展開して、情報市場の生活素場化を進めていく。

②情報発信の基本である言語虚実性の応用化・・・「言葉」というツールの、真実と虚構という二重性を徹底的に理解したうえで利用していく。

この2つは下図でいうと、個人-社会軸、真実-虚構軸に対応するものですが、これらに加えてもう一つ、言語-感覚軸に対応する行動が考えられます。




深層的言語能力の強化・・・SNSなどで多用されている表層的な言語(記号)だけでなく、それらの深部に存在する、深層的な言語(象徴)の活用行動を深めることで、表層記号の真偽を見分ける能力を高めていく。

言葉というと、音声記号や活字記号など「表層意識において理性が作り上げる言語」だけと考えがちですが、もう一つ、無意識をとらえる「深層意識的な言語」があります(井筒俊彦『意識と本質』)。

なんとなく気持ちが悪い、なんとなく違和感がある、とりあえず好感度が高い、といった次元で、周りの現象を把握し、それを日常言語以前のイメージ(元型)
オノマトペ(擬声語)などで理解することです。

表層的な言語が「記号」であるとするなら、深層的な言語は心理学的な意味での「象徴」とよばれています。

象徴次元のウソとマコトは、記号次元に比べると、より直接的に身分けられるものです。象徴次元での言語感覚が高まれば、記号次元でのウソ・マコトを仕分ける能力もまた急速に上昇していきます。

それゆえ、象徴という言語を使いこなすために、直観力や体感力など、もともと人間に備わっている表象能力を改めて強化することが必要です。

「post-truth(脱・真実)」を打ち破るためには、①②に加えて、究極的には③の象徴力の錬磨が求められるでしょう。