2017年12月10日日曜日

供給者は真実言語には介入するな!

第2の視点、つまり「日常界で使われている日常言語(交信言語)は、言葉の示すことはすべて真実とみなす真実言語(儀礼言語)と、言葉の示すことはすべて虚構とみなす虚構言語(遊戯言語)に挟まれた言葉である」という立場から見ると、フェイクニュースや脱・真実の拡大という社会情勢に向けて、供給側が対応していくには、次のような姿勢が求められるでしょう。


真実言語(儀礼言語)の世界(真実-儀礼界)で使われている言葉は、すべてが真実を表象していますから、供給側もまた絶対にこのルールを破ってはいけません

虚構言語(遊戯言語)の世界(虚構-遊戯界)で使われている言葉は、すべてが虚構を前提としていますから、供給側は思う存分にフェイクを発信することができます。

日常言語(交信言語)の世界(虚実-交信界)で使われている言葉は、まさに虚実の入り混じったものであり、供給側もまた真偽いずれでも選ぶことができます

このように虚実軸からみると、生活民自身がそれぞれの生活空間の中で虚実の混在を楽しんでいる以上、供給側にもまたそれに応じて、虚実それぞれの情報を提供していくこと許されます。

しかし、注意すべきは、マスメディアやマーケティングなどの供給側が、ともすれば真実言語(儀礼言語)の世界にまで踏み込んで、同時代に使用されている言語の真偽基準をしばしば乱していることです

供給側が、意味する言葉と意味される対象の間に敢えて介入する場合には、とりわけ慎重な対応が求められるでしょう

2017年11月30日木曜日

供給者が“脱・真実”へ対応するには・・・

第1の視点、つまり「日常界で使われている日常言語(交信言語)は、表層言語(観念言語)と深層言語(象徴言語)に挟まれた言葉である」という立場から見ると、フェイクニュース脱・真実の拡大という社会情勢に向けて、供給側が対応していくには、次のような姿勢が求められるでしょう。



深層言語(象徴言語)には介入しない。

この言語は生活民一人ひとりの遺伝的・生活歴的な次元から生まれてくるもので、それぞれの「言語感覚」を形成しています。

日常言語以前のイメージ(元型)やオノマトペ(擬声語)など、意味するものと意味されるものが一体化しているうえ、真実と虚構が仕分けられる以前の混沌たる状況もまた示しており、生活民の言語能力や判断能力を培う源泉となっています。

それゆえ、供給側としては、CMやキャッチフレーズなどで、この次元へ強引に介入していくことは極力避けるべきでしょう。

表層言語(観念言語)には慎重な提供を。

この言葉は記事や解説、報告や論文、文学や評論などで、観念や概念といった抽象化された記号として使用されています。

一般的には、真実を表すことを目的としていますが、遊戯や文学などでは虚構を表現することも重要な役割です。

このため、供給側がネーミング、ブランド、ストーリーなどで、この種の言葉に関わる場合には、予め真実か虚構かを明示するか、容易に判断できるものとして、慎重に提供していくことが求められます。

日常言語(交信言語)には是々非々で対応。

この言語は私たち生活民が会話や交流文通やメールなど日常的に使っているものです。

深層言語と表層言語に挟まれた言語空間の中で使用されていますから、当然のように嘘と真実が混合しています。

供給側が直接介入することはありませんが、使用される言葉に大きく影響を与える立場にありますから、①②の両方の視点に立って、生活民が真偽両方を巧みに享受できるように、有力な応援者として対応していくことが求められるでしょう。

SNSやAIが急伸する時代であればこそ、供給側の言語行動にはいっそうの慎重さが求められるのです

2017年11月20日月曜日

差真化行動に対応するには・・・

生活民の差延化行動や差元化行動に対応する供給側の対応を述べてきましたので、次は差真化行動への対応を考えていきます。

生活民は「真実」を超える!:2017年8月31日】で述べた通り、生活民とは「真実」よりも「虚構」から「日常」や「真実」を眺める主体です。

この課題を考えていくには、次の2つの視点が必要だと思います。


①日常界で使われている日常言語(交信言語)は、表層言語(観念言語)と深層言語(象徴言語)に挟まれた言葉である。

“象徴”力の向上でウソとマコトを見分けよう!:2017年7月19日】で述べたように、言葉には音声記号や活字記号など「表層意識において理性が作り上げる言語」と、無意識をとらえる「深層意識的な言語」があります(井筒俊彦『意識と本質』)。

この視点を拡大すると、【
身分け・言分けが6つの世界を作る!:2015年3月3日】で触れたように、生活体の縦軸には「コト界(言語界)」「モノコト界(認知界)」「モノ界(感覚界)」の3つがあり、それぞれの世界ごとに使われる言葉もまた、表層言語(観念言語)、日常言語(交信言語)、深層言語(象徴言語)に分かれてきます。

表層言語(観念言語)は、観念や概念など抽象化された記号として使用している言葉。
日常言語(交信言語)は、会話や文通などで日常的に使用している言葉。
深層言語(象徴言語)は、日常言語以前のイメージ(元型)やオノマトペ(擬声語)などのって表される言葉。


②日常界とは真実界(儀礼界)と虚構界(遊戯界)に挟まれた世界である。

前後軸が作る3つの生活願望・・・真欲・常欲・虚欲:2015年3月13日】で詳しく述べていますが、生活球の縦横軸で見ると、私たちの生活世界は言葉の示すことはすべて真実とみなす「真実界(儀礼界)」、逆に言葉の示すことはすべて虚構とみなす「虚構界(遊戯界)」、これら2つの狭間にあって真偽が曖昧なままの「日常界」の3つから構成されています。

儀礼界とは、言葉の示すことを全く疑わないで、すべてを真実とみなすメタ・メッセージの場であり、儀礼や儀式に代表される空間。
日常界とは、真実と虚構の二つの空間の狭間にあって、虚実の入り混じった場であり、私たちが毎日暮らしている日常の空間。
遊戯界とは、言葉の示すことはすべて虚構とみなしたうえで、その嘘を楽しむメタ・メッセージの場であり、遊戯やスポーツに代表される空間。

生活民の真化行動へ供給側が積極的に対応していくには、以上のような①と②の視点をクロスさせることが必要です。

それは【
生活体マンダラ・立方界を提案する!:2015年3月22日】の中で提案した生活体マンダラの中の一つ日常界に相当します。

供給側はこの世界に対して、どのように対応していけばいいのか、多面的に検討していきましょう。


2017年11月10日金曜日

感覚次元への3つの対応

生活民の差元化行動に向けて、供給側の行うべき、3番めの方策は感覚次元への対応です。

感覚次元への差延化行動とは、個々人の「身分け」能力、つまり五感や六感などの感覚を鋭敏にして、記号や常識の創り出す、過剰な幻想を乗り超えていくことです

いいかえれば、言葉や記号をあえて外し、身体性や直感性、原始性や動物性などの身体能力の回復を意味しています。

こうした力を取り戻すには、一旦は理性的、合理的な鎧を脱ぎ捨て、直感的、感覚的な裸身をさらけ出していくことが必要です【
差元化とは何か?:2015年8月20日】。

それには、野性的な動物性出生直後の乳児性などの次元に立ち戻って、視覚・聴覚はもとより味覚・嗅覚・触覚、さらにはそれらを統合した直覚(六感)を再生・強化させていかなくてはなりません。

今後、人口減少や飽和・濃密化で日本社会の閉塞感はますます強まっていきます。そうした環境の中で、生活民の感覚再生・強化願望もまた高まっていくとすれば、供給側にもそれなりの対応が求められます。

その方向としては、①原始・野性化支援、②五感力支援、③直観力支援などが考えられます。 


原始・野性化支援・・・記号化された常識的世界を脱力化するため、自営キャンプ、登山、水泳、潜水、ウォーキング、ランニング、ペット飼育などを通じて、生身の人間力を再生・強化する商品やサービスを提供していく。

五感力支援・・・現代生活の中でややもすれば衰えがちな五感力、具体的には視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚力を再生・強化するため、食品・サプリメント、刺激臭・激辛食品、高周波音・低周波音、超高温・超低温などの関連商品や関連トレーニングを提供していく。

直覚力支援・・・五感力を統合して得られる直感(直覚)力を支援するため、休養や睡眠、快感や快汗などを深める商品やサービスを見直し、あるいは新たに創造して提供する。

以上のように、感覚の再生・強化を求める生活願望に対しては、従来の理性や日常性を積極的に超越する、大胆な対応が求められるでしょう

2017年10月31日火曜日

無意識次元への3つの対応

生活民の差元化行動に向けて、供給側が行うべき、2番めの方策は無意識次元への対応です。

生活民が行う、無意識次元の差延化行動とは、眠り、酩酊、陶酔といった状況に自らを追い込んで、生来の直感力や超能力を回復させることです。

無意識や本能は通常、意識下の暗い深淵に潜んでいますが、時折、夢や幻想など「欲動」の形をとって噴出し、日常生活空間の記号で覆われた「欲望」の厚い膜を速やかに突き破ってくれます。

そこで、生活民には、無意識や本能が見えやすい環境を、自ら積極的に作り出すことが求められます。眠り、酩酊、陶酔といった状況に自分自身を追い込んで、その中でたっぷりと夢や幻想を味わい、そこから生来の直感力や超能力を回復させるのです【
差元化とは何か?:2015年8月20日】。

こうした生活民の差元化行動に対応して、供給側に求められる支援策としては、すでに述べたように、①没我力支援、②直感力支援、③自己対面力支援などが考えられます【
「差異」より「深化」を!:2016年4月27日】。それぞれの事例を考えてみましょう。

没我力支援では、睡眠、催眠、酩酊などへの誘導や援助を行う生活素材や支援サービスが求められます。素材では快眠グッズ、眠り薬、睡眠導入剤、酒、アルコール飲料などが、サービスとしては睡眠誘導、催眠誘導、熱狂空間、無礼講などが考えられます。

直感力支援では、身体や感覚を研ぎ澄ませて、霊感や六感を増加させる生活素材や支援サービスが求められます。素材ではリラックスミュージック、リラックス絵画など、サービスでは伝統的な座禅、自己催眠法、自律訓練法に加えて、さまざまなリラクゼーション技法などが先例となるでしょう。

自己対面力支援では、無意識の次元に立ち戻って、自らの原点を確認し、それを社会に向けて広げさせる生活素材や支援サービスが求められます。素材では、現在開発中の潜在意識型VR(ヴァーチャルリアリティ)が、またサービスではこれまた研究中の潜在意識セラピーなどが、それぞれ考えられます。

以上のように、生活民の求める無意識行動に対しては、生活素材と支援サービスの両面から、伝統的な支援手法の再評価はもとより、最先端のテクノロジーを駆使した対応もまた求められるでしょう。

2017年10月20日金曜日

「白戸家」の物語は終わるのか?

「白戸家」のCMが終わるか終わらないのか、ネット上で話題になっています。


このためか、このブログでもビュー数が急増しています。

かつて【
白戸家はなぜ三太郎に敗れたのか?:2016年5月10日】に始まり、数回にわたって白戸家」CMの弱点を指摘してきたからです。

敗因の要点は、白戸家CMが「物語戦略」であるのに対し、三太郎CMが「神話戦略」である、という点です【
物語戦略と神話戦略・・・どこがどう違うのか?:2016年7月15日】。

両者の根本的な違いは【
物語戦略と神話戦略・・・違いを整理する:2016年7月29日】で詳しく述べていますが、要点を再掲すれば、

◆物語戦略は需要者の欲望を刺激して、供給者側からの強引な誘導を行う手法

◆神話戦略は需要者の欲動(無意識や感覚)を刺激して、需給両者の共感を作りだす手法

ということになります【
物語は供給者からの誘導、神話は需要者との融合:2016年8月8日】。

この違いこそ、生活民の差元化志向に向けて、供給者が適切に対応していく場合に、最も意識すべき視点だと思います。

差元化行動には、象徴力次元、無意識次元、感覚次元の3次元がありますが、神話戦略は象徴力次元に対応するものです。

とすれば、他の2次元に対しても、より適切な対応が求められるでしょう。

2017年10月8日日曜日

生活民の差延化志向に対応する!

生活民の「私効」志向に向けて、供給側がマテリアリング(素材提供)を行うとき、最も基本になるのは、彼らの「差延化」行動へいかに対応していくか、です。

差延化とは何か。これについては【
生活民にとって「差延化」とは・・・:2016年12月19日】で、またその具体的な行動については【差延化戦略には5つの方法があった!:2016年12月31日】で、詳しく述べていますので、まずはご参照ください。

上記で述べた、5つの行動とは私仕様、参加、手作り、編集、変換を示していますが、これらに向かって、供給側はどのように対応していけばよいのでしょうか。基本的な方向は次の通りです。



①「私仕様」対応・・・生活民独自の注文に応えるもので、オーダースーツ、オーダー家具、オーダー結婚式パーティーなど、カスタマイズに対応できる素材やサービスを拡大する。

②「参加」対応・・・生活民に7~8割程度の素材を提供して、自立志向を鼓舞するもので、組み替えスーツ、キット家具製作クラブ、自由設計プレハブ住宅、ログハウスなど、パーティシペート志向に応じた素材やサービスを強化する。  

③「編集」対応・・・生活民の“自主編集権”を満足させるもので、各社の衣料を組み合わせて独自スタイルをつくり出す生活民編集ファッション、各社の部品を編集して独自の車をつくり出す改造車や改造バイクなど、エデイット志向に応じた素材やサービスを拡大する。

④「変換」対応・・・生活民が商品の用途を自由に変えられる要素を提供するもので、ポケットベルの用途多様化、冷蔵庫の総合保管庫化など、コンバート志向に応じた素材やサービスを強化する。

⑤「手作り」対応・・・生活民に2~3割程度の素材を提供するもので、手作りビール、デコラティブ(装飾的)ペインティング、デコパージュ風ニュー手芸、個人手配海外旅行など、ハンドメーク志向に対応した素材やサービスを拡大する。

以上のように、供給者のマテリアリング(素材提供)の基本とは、これまでのマーケティングの基本であった、一方的な商品・サービス供給体制を脱して、生活民がそれぞれの生活を創造していくための素材をインタラクティブに提供することにあるのです。