2017年9月27日水曜日

マテリアリングに対応する供給者の基本条件

生活民の「私効」志向に向けて、供給側がマテリアリング(素材提供)を行うには、どのような方法があるのでしょうか。

生活民が生活素場に求める、基本的な要件を【〝差延化〟で消費市場を脱構築する!:2017年2月25日】であげていますので、それぞれに対応して、供給者側に求められる行動とは何か、を考えてみましょう。



①「自給自足」実現のため「他給自足」を活用しようとする生活民に対応して、供給者はあらゆる商品やサービスを、生活素材(効素:効用の素)として柔軟に利用できるように配慮することが求められます。

②コト次元で差延化力を高める生活民に向けて、情報素場においては、彼らの「私効」に自由に変えられるようなコトを、多面的な「共効」として供給していくことが必要です。

③モノ次元で差延化力を高める生活民に向けて、生活素場においても、彼らの「私効」に変えられるようなモノを、多面的な「共効」として供給していくことが必要です。

④コスト次元で差延化力を高める生活民に向けて、市場価格そのものもまた差延できるような、新たな価格体系を創り上げていくことが求められます。

⑤モノ・コト・コストの差延化で消費市場を生活素場へとデコンストラクト(déconstruct:解体・再構築)しようとする生活民にむけて、従来の「消費市場」の意味や機能を、生活素材提供装置としての「生活素場」へと再構築していくことが必要です。

以上のように、生活民の「私効」志向拡大に対して、供給側が柔軟に対応していくためには、マーケティングからマテリアリングへの転換、さらには消費市場そのものの生活素場への転換が求められているのです。

2017年9月18日月曜日

マテリアリングとは何か?

マテリアリング(materialing)とは、生活素場で供給側に立つメーカーや流通業が、需要側に立つ生活民に向けて、どのように対応していくべきか、その方法を追求することです。

生活民とは、すでに述べたように、①「価値(Value=Social Utility)」よりも「私効(Private Utility)」を、②「言葉(word)」や「記号(sign)」よりも「感覚(sense)」や「象徴(symbol」を、③「真実」よりも「虚構」から「日常」や「真実」を、それぞれ求めたり眺めたりする主体です。


こうした主体に向けて、さまざまな商品やサービスに提供していくには、従来とは一味違った、新たな対応が求められます。

その一つが「私効対応」であり、生活民の求めている「私効」志向にどのように対応していくか、を考えなければなりません。

生活民が「私効」を創り出すのは、
先に述べたような、次の5つ行動です。

①それぞれの生活の中で、自分で創り出した「私効」を中心としつつも、外部から調達してきた「価値(=共効)」を「個効」として受け入れ、新たな「私効」へと変換することにで、有用性(ネウチ)の範囲を広げていきます。

②社会と個人の間にある間人界において、一人の個人として、個人的な使用(=パロール1)を行う時に、社会的効用を受け入れたうえで、「個人的有用性(=私効)」を新たに創りしていきます。

③供給側からの執拗なマーケティング活動に惑わされることなく、消費市場への自らの対応力(Life Creators Marketing)を高めていきます。

④「価値(=共効)」や「個効」を「私効」へ変換するため、「差延化行動」(私仕様、参加、手作り、編集、変換)を使いこなしていきます。

⑤生活民は、差延化力を高めることによって、既成の社会的装置として確立されている消費市場の機能を、新たに「生活素場」へと脱構築していきます。

生活民のこのような「私効」志向に向けて、供給側が本気でマテリアリングを行おうとすれば、幾つかの対応策が考えられるでしょう。

2017年9月10日日曜日

マーケティングからマテリアリングへ

生活民とは、①「価値(Value=Social Utility)」よりも「私効(Private Utility)を求め、②「言葉(word)」や「記号(sign)」よりも「感覚(sense)や「象徴(symbol)」を重視し、③「真実」よりも「虚構」から「日常」や「真実」を眺める主体である、と述べてきました。

これは従来、需要側の主体として考えられてきた消費者という立場とは、大きく異なっています

消費者とは、①「価値(Value=Social Utility)」に従って、「個効(Individual Utility)を求め、②「感覚(sense)」や「象徴(symbol)」よりも、「言葉(word)や「記号(sign)」に追随し、③「真実」と「虚構」の混在する「日常」の中で生きている主体であるからです。

とすれば、「消費市場」という概念もまた、大きく変わってきます。


消費市場」とは、生産者が提供する商品やサービスを、消費者が購入して、そのまま利用するための交換空間であると理解されてきました。

だが、新たな概念は、生産者が提供する商品やサービスを、生活民があくまでも”素材”として購入し、独自の”私効”として活用していくための取得空間、ともいえるものだからです。

つまり、生活民という立場からみると、従来の「消費市場(consumer market)」とは、あきまでも“生活素材”を調達するために「生活素場(life materials space)ということになるでしょう。

そうなると、供給側である生産者の立場も大きく変わってきます。

従来は、生産者が消費者の意向を探って、適切な対応を行うという活動は「市場対応=マーケティング(marketing)とよばれてきました。

しかし、生産者が生活民の意向を探って、適切な対応を行うという活動は「素場対応=マテリアリング(materialing)とでもよぶべきものになる、と思われます。

マーケティングからマテリアリングへ、供給者かつ生産者である企業にとって、この転換はどのような意味があるのでしょうか。

生活民と生産者の関係、生活素場と生産者の関係を、新たな視点から見直していきましょう。