2023年10月11日水曜日

言語6階層説へ進展する!

ハイテクツール論がひとまず終わりましたので、今度は言語6階層説に進みます。

言語階層論については、何度も書いてきましたが、どんどん進化してきました。

従来の言語3階層から、今度は言語6階層説へと進展してきましたので、その要点をしばらくの間、書かせていただきます。

6階層説の前提となっているのは、生活世界構造です。

生活構造図を「生活世界構造図」に修正する!】や【「ことしり」から「ことわり」へ!】で、私たちの環境把握力への見解を、従来の【身分け・言分け】の2に区分に、新たに【識分け・網分け】を加え、【身分け・識分け・言分け・網分け】の4区分に修正しました。

識分け(しわけ)」とは、感覚把握(身分け)と言語把握(言分け)の間に、もう一つ「意識」把握の次元がある、ということです。感覚が捉えた対象を、意識が認め、音声やイメージなどに置き換える次元です。言語階層で言えば、自然的な言葉が生まれる前に、深層的な言葉が湧き上がる次元を位置付けたのです。

一方、「網分け(あみわけ)」とは、「言分け」による「分節」によって生み出された自然言語や自然記号に対し、さらに特定の意図による「」をかけ、抽象化された言葉や記号を創り出すことです。言分けで生まれたコト界では、自然発生的に生み出された自然言語によって、日常的な会話や文通などが行われていますが、考察や思索などの行動になると、人類は人為的にさらに抽象化された思考言語を使います。こうした言語によって、コト界の中に、もう一つ、新たに仕分けされた世界、アミ界という次元が生まれ、いわゆる観念的な言葉が行きかうようになります。

2つの新たな仕分けによって、3段階であった生活構造は、5階層の生活世界構造に進化してきました。

これに基づいて、言語の階層3階層から6階層へ変化していきます。


従来の【身分け・言分け】論では「言葉がつかむか否か」で世界を分けていましたので、言語は未言語状態言語化状態の、2つの階層を作り出していました。

しかし、【身分け・識分け・言分け・網分け】論になると、新たな境界として「識分け」「言分け」「網分け」の3つが加わりますから、言語という集団的交信装置もさらに分化し、6つの階層に分かれていきます。

それは、深層言語、象徴言語、自然言語、交信言語、思考言語、観念言語で構成される言語6階層です。

それぞれの機能や役割については、次回から考察していきます。

2023年9月29日金曜日

ハード系ハイテクツールを比較する

ハイテクツールについて、生活民の立場からそれぞれの効用可能性を考察してきました。

前回のソフト系に続いて、今回はハード系を比較してみましょう。

アンドロイドドローン家事用ロボット飛行車については、【生活世界構造図】の中でそれぞれの特性を位置付けてきました。

それぞれの応用範囲を明らかにするため、生活用、産業用、公共用という3つの需要分野別に適応状況を改めて整理してみました。











アンドロイド・・・生活用、産業用、公共用に全てに広く使われる可能性があり、とりわけ生活用での家事や娯楽、生産用での工場やサービス産業などへの適応度が高いと思われます。

ドローン・・・生活用では娯楽を中心に家事(樹木カット等)などの分野にもそれなりに、産業用ではほぼ全ての分野に、公共用でもほぼ全て、とりわけ安全や土木などへの適応度が高いでしょう。

家事用ロボット・・・名称通り、生活用の全ての分野、とりわけ家事一般(炊事・洗濯・掃除)へ、公共用では給食や掃除などへの適応度が高まると思われます。

飛行車・・・生活用では育児や介護用の移動、家族での遊び、産業用ではほとんど全ての分野、公共用では安全・医療、土木、公務などへの可能な限りでの適用が考えられます。

 

主要なハードツールの適応度は以上のようなものだと思われますが、人口減少が急速に進む、今後の日本では、労働力の不足をカバーするため、生産性の大幅な向上が求められます。

とすれば、社会的にはアンドロイドドローンへ、家庭的には家事用ロボットアンドロイドへ、とりわけ需要が高まってくるものと思われます。

2023年9月11日月曜日

ソフト系ハイテクツールを比較する!

昨今急速に進展しているハイテクツールについて、生活民の立場からそれぞれの効能を考察してきました。

10例を越えましたので、まずはソフト系から、ツール間の比較をしてみましょう。

縦軸に生活世界構造言語―感覚)、横軸に言語構造社会―個人)を組み入れたグラフに、7つのソフト系ツールを配置すると、下図のようになります。 


対話系AI(文字系:例Chat GPTの中で交わされる言語は、日常・交信言語思考・観念言語が基本で、社会界と間人界の中で行われている。

(画像系については、深層・象徴言語が、社会界と間人界の中で使われている。)

VRVirtual Reality:仮想現実)が表示する世界は、視覚・聴覚・触覚によって捉えられる認知界や識知界であり、利用者は個人界から間人界への空間を体験することができる。

ARAugmented Reality:拡張現実)は、認知界に現れるイメージを識分けし、言知界や理知界へ繋ぐとともに、個人界、間人界、社会界へ働きかけることができる。

MRMixed Reality:複合現実)は、環境世界から身分け・識分け・言分けされた現実事象と、人工的に創られた仮想事象を重ねたうえで、個人界から間人界へ働きかけることができる。

SRSubstitutional Reality:代替現実)は、ディスプレイを通した仮想事象に対し、個人及び少数のユーザー間で共有される個人界・間人界の現象である。

メタバース(Metaverseは、仮想空間を識分け・言分け・識分けでき、アバターとして仮想空間に働きかけることができるから、社会界から間人界を経て個人界にまで及んでいく。

デジタルツイン(Digital twinは、ユーザーが識分け・言分け・識分けした、さまざまなデータをデジタル・アバターの元へ、リアルタイムで送り込み、社会界から間人界を経て個人界にまで及んでいく。

 

以上のように、ソフト系ハイテクツールは、全体として生活世界構造と言語構造のほぼ全域を利用域としつつ、個々のツールではそれぞれの特性に応じて、さまざまな領域に対応しているようです。

今後、人口減少が進むとともに、生活民の意識は言語—社会面から感覚—個人面へと、重心を移すことが予想されます。いわゆる「飽和・濃密化:コンデンシング」ですが、これに対応できるのは、VR,SR,ARなどのツールではないでしょうか。

2023年8月28日月曜日

飛行車はどんな用途に使えるのか?

ハイテクツールの10番めは、飛行車を取り上げます。

飛行車、つまり「空飛ぶクルマ」といえば、「自動で垂直に離着陸する移動手段」を思い浮かべます。だが、現在の段階では、明確な定義は定まっていません。

国土交通省の「空飛ぶクルマの制度整備に関する検討状況」(202212月)によれば、当面は「固定された翼で揚力を得て飛行するもの」が「飛行機」、「ヘリコプターのように回転翼により動力推進を得ているもの」が「回転翼航空機」、と説明されており、飛行機とヘリコプターの小型・私用版を意味しているようです。

業界では、滑走しないで垂直方向に離着陸する航空機を「VTOL」(Vertical Take-Off and Landing aircraft)とよんで、EV(電気自動車)にプロペラや自動制御システムをつけ、垂直に離着陸ができる電動機体については「eVTOL」などと名づけています。

(余談ですが、50年前の1972、筆者は『都市間交通におけるV/STOL機の役割』という研究報告書を提案しています。)

さらに海外では「Skycar」「Aircar」「Urban Air Mobility」「Personal Air Vehicle」「Flying cars」などとも命名されているようで、名称や機能などについても未だ曖昧なままです。

そこで今回は、飛行車の機能を次の2タイプに限定します。

ドローンの延長型で、人間が乗車可能になったもの。電動で遠隔操作や移動制御などが可能で、プロペラによってバランスを取りながら揚力を上げます。

飛行機の縮小型で、エンジンを搭載し、翼で浮力を得るもの。空中では翼を広げますが、道路走行時には格納します。

いずれも少人数の人間の乗車が可能なため、次表のような用途が想定できます。 

こうした用途を前提に、飛行車のネウチを、私たち生活民の生活構造(「生活体」の3つの軸3つの軸)の中に位置づけてみましょう。 


①飛行車はモノ界・モノコト界・コト界の間に新たに登場する。

②生活民は飛行車を新たな物体として識知する。

③生活民は飛行車を新たな道具として言知する。

 


①飛行車の用途は社会界から間人界・個人界へ及んでいく。

②飛行車の用途は、社会界では上記の表のように現れる。

③個人は飛行車を生活民独自の方法で利用できる。

 


①飛行車は虚実曖昧な存在である。

②飛行車の用途は遊戯(虚構)から研究(真実)に及ぶ。

③真実的用途の拡大が期待される。

 


このように整理すると、飛行車というハイテクツールは、ヘリコプターとドローンの中間に登場し、いっそうの小型化によって、公的・私的用途の拡大を担うものと思われます。

とすれば、人口減少による労働力不足の緩和が、最大の効果となるのではないでしょうか。

2023年8月10日木曜日

家事用ロボットの功罪を考える

ハイテクツールの9番めに、家事用ロボットを取り上げます。

家事用ロボットとは、主に生活民家事行動を支援する自動装置です。

既にさまざまな装置が開発されていますが、用途別に整理してみると、次表に示したように、掃除用、料理用、買い物用、介護用4つが浮上してきます。



 

それぞれの特性を、私たち生活民の生活構造(「生活体」の3つの軸)の3つの軸)の中に、位置づけてみましょう。


①感覚・言語軸(縦軸)



❶家事用ロボットは、生活民の生活願望、つまりモノ界の欲動モノコト界の欲求コト界の欲望を、それぞれ充足させるための自動装置である。

❷掃除、料理、買い物ロボットは、主に欲求と欲望を充たすための自動装置である。

❸介護ロボットは、介護を受ける人の生活願望を充たすとともに、介護を行う人の諸作業を支援する自動装置である。

 

②個人・社会軸(横軸)

❶家事用ロボットは、生活民の間人的、個人的生活行動を主に支援する自動装置である。

❷掃除、料理、介護ロボットは、生活民個人・家族・共同体のための生活行動を支援する自動装置である。但し、料理支援が行き過ぎると、生活民自身の差延行動(パロールⅡ)を減少させることになる。

❸買い物ロボットは、生活民個人・家族の購買行動(パロールⅠ、Ⅱ)を支援するとともに、消費市場という社会装置(ラング)との仲介を行う自動装置である。

 

③真実・虚構軸(前後軸)

❶家事用ロボットは、主として生活民の真欲(真実追求志向)常欲(虚実共求志向)の充足に対応する自動装置である。

❷掃除、料理、買い物ロボットは、生活民の常欲(虚実共求志向)を主に充たすための自動装置である。

❸介護ロボットは、介護を受ける人の常欲真欲を充たすとともに、介護を行う人の常欲を支援する自動装置である。

こうしてみてくると、家事用ロボットとは、生活行動の支援と改善などをめざすもので、その意味では近代的生活様式の延長上に位置付けられます。

しかし、他方では生活行動の外部化を促進し、生活民自身の差延化行動を縮小させる懸念も潜ませています。

とすれば、家事用ロボットには、科学技術文明の功罪が象徴されているようです。

2023年7月30日日曜日

ドローンをどこまで使いこなせるか?

ハイテクツールの8番めは、ドローン(droneを取り上げます。

ドローンとは無人飛行機の総称で、飛行機型、ヘリコプター型、マルチコプター型(複数プロペラ搭載)などがありますが、操作性や安定性の面から、現在ではマルチコプター型が主流となっています。

作動方法としては、専用のコントローラー、スマートフォン、タブレット端末などによる遠隔操作や、プログラムを使った自律制御や自立飛行なども行われています。

センサーカメラが搭載でき、荷物運搬も可能なため、さまざまな分野での活用が期待されています。

現在のところ、主な用途は次の3つに整理できます。

撮影・測量・・・空撮地図、報道、エンターテインメントなど

監視・観察・・・警備・捜索、災害調査、工事メンテナンスなど

運搬・散布・・・農薬・肥料散布、物流・配送など

 

以上のような機能を前提にすると、私たち生活民の生活構造(「生活体」の3つの軸)の中で、ドローンは次のような位置を占めていることになります。


①感覚・言語軸(縦軸)


人工的に身分けされた対象を、図像として言知・理知化できる。

❷人工的に身分けされた対象を、思考対象にできる。

❸人工的に身分けされた対象へ、行動を加えることができる。

 

②個人・社会軸(横軸)


❶人工的な身分け機能によって、社会的なラング状態を判断できる。

❷制御機能を使って、予定されたパロール1行為を遂行できる。

❸制御機能を使って、ユーザー独自のパロール2行為を遂行できる。

 

③真実・虚構軸(前後軸)


❶人工的な身分け機能を元にして、ユーザーが識分けし、モノコトの虚実を判断できる。

❷真実の動向を映像上の動向として受け入れる。

❸虚構の映像(真実の闘争ではなく遊戯のゲーム)を仮想事象として受け入れる。

以上のような特性から考えると、現時点のドローンというハイテクツールでは、「見る」という視覚代行と、「届ける」という行動代行が中心になっているようです。

今後の社会では人口減少、高齢化、孤立化、労働力減少、自然・社会災害増加などが予想される以上、ドローンというハイテクツールには、生活財や緊急財の配送、あるいは国土設計・建造などへ応援といった分野への、さらなる援用が期待されるでしょう。

2023年7月9日日曜日

アンドロイドは夢など見るか?

ハイテクツールの8番めは、アンドロイド(androidを取り上げます。

アンドロイドとは、人間型ロボット、つまりヒューマノイドロボットの一種です。

古典ギリシャ語の「andros:人間、男性」と「eidos :そっくり」を組み合わせた造語で、機械仕掛けの人間型ロボットのうち、外観が人間の姿に似ているものを意味します。

未だ開発途上にあり、先行している事例として、受付業務、説明業務、介護補助業務など、主に会話交流手段として使われ始めています。

その効用と限界を評価するのはいささか早すぎるかと思いますが、現在の時点で、アンドロイドの特性を、私たち生活民の生活構造(「生活体」の3つの軸)の立場から展望しておきましょう。

 

①感覚・言語軸(縦軸)



❶アンドロイドの会話や動作に使われている言葉は、言分け・網分けによって得られた情報に限定されている。

❷自然人の得ている情報は、身分け・識分け・言分け・網分けの全てのプロセスを通じて得られたものである。

❸両者が会話や動作で情報を交換する場合、言知界と理知界の情報に限られる。

 

②個人・社会軸(横軸)



❶アンドロイドの会話や動作に使われている言葉は、ラングとパロール1に限定されており、パロール2には届いていない。

❷自然人の使う言葉や動作は、ラング、パロール1はもとより、パロール2に及んでいる。

❸両者が会話や動作で情報を交換する場合、ラング、パロール1に限られる。

 

③真実・虚構軸(前後軸)



❶アンドロイドの行う会話や行動は、あくまでも虚構である。

❷自然人が行う会話や動作には、虚構と真実、両者の混在した曖昧の、いずれも含まれている。

❸両者が会話や動作で情報を交換する場合、虚構と虚実混交を前提にして行なわれる。

 

以上にあげた3次元を前提にすると、アンドロイドの限界が見えてきます。

50年も前、米国のSF作家P.K.ディックが『アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 』1968年)と問いかけていましたが、本当に見られたのでしょうか。

自然人が夢を見られるのは、身分け・識分けで得られた情報を、言分けする前の無意識として、心の底に沈潜させ、意識が薄まった時に浮上させるからです。

自然人には識分けを行う主体、例えば仏教・唯識論上の末那識が備わっており、これによって、無意識の中からイメージや音声を浮上させているのです。 

ところが、アンドロイドとなると、末那識を持たせることなど、かなり困難だと思います。膨大なイメージ、音声、言語などは貯蔵していますが、それらを選別する主体となると、これまた予め設計されたプログラムに頼ることになります。これでは、意識された対象の選別はできたとしても、意識されない対象の選別まではとても無理ではないでしょうか。 

アンドロイドもまた、人工知能のクオリア(qualia:感覚質)を持っているから、それが望む時には蓄積情報を選別し、意識上へ浮上させ得るだろう、という意見もありますが、クオリア自体の“望む”こと、それこそが難しいのです。

とすれば、「アンドロイドは夢を見られない」のではないでしょうか。

最先端技術としてアンドロイドを開発しておられる方々には、失礼かとは思いますが、「アンドロイドは夢など見られない!」と敢えて申し上げておきましょう。