ハイテクツールの9番めに、家事用ロボットを取り上げます。
家事用ロボットとは、主に生活民の家事行動を支援する自動装置です。
既にさまざまな装置が開発されていますが、用途別に整理してみると、次表に示したように、掃除用、料理用、買い物用、介護用の4つが浮上してきます。
それぞれの特性を、私たち生活民の生活構造(「生活体」の3つの軸)の3つの軸)の中に、位置づけてみましょう。
①感覚・言語軸(縦軸)
❶家事用ロボットは、生活民の生活願望、つまりモノ界の欲動、モノコト界の欲求、コト界の欲望を、それぞれ充足させるための自動装置である。 ❷掃除、料理、買い物ロボットは、主に欲求と欲望を充たすための自動装置である。 ❸介護ロボットは、介護を受ける人の生活願望を充たすとともに、介護を行う人の諸作業を支援する自動装置である。 |
②個人・社会軸(横軸)
❶家事用ロボットは、生活民の間人的、個人的生活行動を主に支援する自動装置である。 ❷掃除、料理、介護ロボットは、生活民個人・家族・共同体のための生活行動を支援する自動装置である。但し、料理支援が行き過ぎると、生活民自身の差延化行動(パロールⅡ)を減少させることになる。 ❸買い物ロボットは、生活民個人・家族の購買行動(パロールⅠ、Ⅱ)を支援するとともに、消費市場という社会装置(ラング)との仲介を行う自動装置である。 |
③真実・虚構軸(前後軸)
❶家事用ロボットは、主として生活民の真欲(真実追求志向)と常欲(虚実共求志向)の充足に対応する自動装置である。 ❷掃除、料理、買い物ロボットは、生活民の常欲(虚実共求志向)を主に充たすための自動装置である。 ❸介護ロボットは、介護を受ける人の常欲や真欲を充たすとともに、介護を行う人の常欲を支援する自動装置である。 |
こうしてみてくると、家事用ロボットとは、生活行動の支援と改善などをめざすもので、その意味では近代的生活様式の延長上に位置付けられます。
しかし、他方では生活行動の外部化を促進し、生活民自身の差延化行動を縮小させる懸念も潜ませています。
とすれば、家事用ロボットには、科学技術文明の功罪が象徴されているようです。
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