総務省統計局の「社会生活基本調査」を参考に、生活時間の動向を考えています。
前回はこの基本調査の分類方式と当ブログの生活世界構造を比較し、さまざまな行動について両者の対応を示してみました。
この対応に基づき、『社会生活基本統計』の最新版(令和3年:2022年公表)の統計データを素材として、両方の分類結果を量的に比較してみました。
➀基本調査では、1次行動(睡眠、身の回り、食事)が45.6%、2次行動(通勤・通学、仕事、学業、家事など)が28.3%、3次行動(移動、マスコミ、休養・くつろぎ、趣味・娯楽など)が26.1%で、1次行動が主流となっています。 ➁生活世界構造では、中心活動の差識化(身の回り、食事、家事)が19.9%、上下活動の差異化(マスコミ)と差元化(睡眠、くつろぎ・休養など)が50.4%、左右活動の差延化(看護・介護、意気地など)と差汎化(通勤・通学、移動、ボランティア活動など)が21.9%、前後活動の差戯化(趣味・娯楽、スポーツなど)と差真化(学業、学習・自己啓発など)が7.8%で、上下活動が半数を占めています。 |
両者の差異は、次のように読み取れます。
➂基本調査では、1次=生存的時間、2次=必要的時間、3次=余裕的時間という発想で区分され、その順序で時間配分が現れています。 ➃これに対し、生活世界構造では、日常的な中心活動の下に、上下活動の記号次元と感覚次元、左右活動の個人行動次元と社会行動次元、前後活動の遊戯次元と真摯次元が、順番に現れています。 |
2つの時間配分状況をグラフ化してみると、下図のようになります。
とすれば、生活世界構造によって、基本統計の生活時間数値を読み解くと、上下活動(感覚的・無意識的行動⇔記号的・意識的行動)に、生活行動の核心が潜んでいることがわかります。
私たちの生活構造においては、上下活動、つまり【感覚⇔観念】の比重が極めて大きいことが現れているのではないでしょうか。