2025年6月16日月曜日

生活学・新原論Ⅶ-5:生活時間の年齢差を考える!

総務省統計局の「社会生活基本調査」(2022年版)をベースに、生活世界構造の視点から生活時間の実態を探っています。

今回はこの調査のデータ(2021年)で作成した図と表(週間時間)を、7差化時間で比較してみると、年齢によって次のような差異が読み取れます。



主な年齢差をあげていきます。

生理的な必要行動である「差元化」時間は、1014歳の669時間から徐々に減り始め、5559歳の546時間で底を打つが、その後は次第に増え始め、85歳以上で735時間と最高になる。主な要因は睡眠時間であり、1014歳で575時間、5559歳で437時間、85歳以上で560時間と変化している。

日常的な必須行動である「差識化」時間は、1015歳の172時間から、年齢上昇とともに一貫して増え続け7084歳で350時間を超えている。家事時間45歳以上で100時間を、また食事時間60歳以上で、それぞれ100時間を超えているためだ。

社会的な活動である「差汎化」時間は、1019歳では60130時間であるが、2024歳の319時間から増え始め、4549歳の397時間で最高に達した後、徐々に減って、6569歳の208時間から減り始め、85歳以上では38時間に落ちる。いうまでもなく、仕事に従事する時間の大小のためである。

情報への接触を求める「差異化」時間は、年齢とともに徐々に増加し、5054歳で100時間を超えると、8084歳では268時間に達する。図に示したように、「差汎化」時間に反比例している。

純私的な生活行動である「差延化」時間は、2529歳から増え始め、3034歳の91時間でピークに達した後、徐々に減って行く。主な要因は2544歳女性層で育児時間が増加するためだ。

遊びを求める「差戯化」時間は、1014歳の102時間から徐々に低下し、5059歳で39時間まで落ちるが、その後は幾分回復し、7579歳には68時間となる。前半の低下傾向と後半の増加傾向は、いずれも「差汎化」時間への反比例のためと思われる。

学びや訓練を求める「差真化」時間は、1019歳の350を超える時間の後、2024歳で106時間まで急減し、25歳以降は10時間内外を続けていく。1019歳では、学業と学習・自己啓発などへの時間が多いものの、25歳を超えると、自己啓発や訓練などには一定時間しか割けないようになってくるようだ。

以上で見てきたように、生活世界構造の視点から生活民の時間消費を探ってみると、20歳と65歳あたりで、私たちの生活構造には大きな変化があるようです。