2018年5月21日月曜日

L.ワルラスの “価値”観

フランスの経済学者、レオン・ワルラス(Leon Walras 1834-1910)は『純粋経済学要論』(Éléments d'économie politique pure; ou. théorie de la richesse sociale ,1874~77、手塚寿郎訳、1933)の中で、商品の“効用”や“価値”について、次のように述べています(抜粋・要旨)

 

●物は何らかの使用に役立ち得ときから、すなわち何らかの欲望に適い、これを満足し得るときから効用(元訳では“利用”)がある。
 
●通常の会話では必要と贅沢との間に快適とならべて有用を分類するのであるが、ここではこれらの語のニュアンスを問題としない。必要・有用・快適・贅沢これらすべては我々にとっては程度を異にする効用を意味するに過ぎない。
 
効用のある物はその量の制限せられている事実によって稀少となるのであるが、この結果として3つの事情が生れる。 
  1. 量において限られかつ効用のある物は、専有せられる。無用の物は、専有せられない。
  2. 効用があって量において限られた物は、価値がありかつ交換せられ得る。
  3. 効用があって量において限られた物は産業により生産せられ得る物であり、または増加し得られるものである。 
交換価値、産業、所有権、これらは物の量の制限すなわち稀少性によって生ずる3つの一般的事実であり、3つの系列または種類の特種的事実である。そしてこれら三種の事実が動く場面はすべての社会的富であり、また社会的富のみである。
 
●よって、交換価値稀少性に比例する。
 
以上のように、ワルラスは【個人の欲望に対する稀少性の上下】という視点から、【ねうち:効用】と【あたひ:価値】を考察しています。

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