2016年12月7日水曜日

生活民は「価値」に惑わされない!

供給側からの「サプライヤ―・サイド・マーケティング(Supplier- side Marketing)」が、「価値」創造の商品開発に執着しているとすれば、需要側の「ユーザー・サイド・マーケティング(User-side Marketing)」では、どのように「価値」というネウチと付き合っていけばいいのでしょうか。

もともと「生活民」の前身となった「生活人」や「生活者」では、「価値」というネウチに対して、ともに厳しい態度をとってきました。

今和次郎の提唱した「生活人」とは、「外回りの倫理でかっこうだけをつけさせようとあせることなく、日常生活を通じての自己生活の倫理」を高めていく人格、と述べられています。この定義に従うと価値」というネウチは、まさに市場社会が創り出した「外回りの倫理」ですから、それよりも「私効」という「自己生活の倫理」を重視しなればならない、ということになります。

また
大熊信行の提起した「生活者」とは、「(大衆消費社会の)営利主義的戦略の対象としての、消費者であることをみずから最低限にとどめよう」とする人々、と定義されています。これに従えば、「価値」を売りこむ営利主義的戦略や「価値」を受け入れる消費者という立場を極力退けるべきだ、という方向が見えてきます。

とすれば、生活人や生活者を継承する生活民は、改めて言うまでもなく価値」に対して厳しい態度をとらなければなりません。それはどのようなものか、おおまかに整理してみると、次の3つになります。
①新規性やブランド性など、供給側の差し出す「価値」を、そのまま無自覚に受け入れてはいけない

②「価値」が個別のユーザーに差し出す「
個効」が、自らの生活に本当に活かせるか否か冷静に判別しなければいけない。

③「個効」を活用して、自己生活の倫理に合うような、適切な「
私効」に転換できるか否か、を考えなければいけない。

一人一人の生活民が、供給側からの執拗なマーケティングに惑わされることなく、消費市場への自らの対応力(User-side Marketing)を高めていくためには、この3つの努力が求められているのです

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