コンデンシング・ライフでは、社会界・世欲・共効方向から個人界・私欲・私効方向へと、生活民の軸足が向っていきます。
個人界・私欲・私効トレンドが強まると、生活民はどのような生活行動を増やすのでしょうか。
基本的な方向としては、【言語活動の「差延」から生活行動の「差延化」へ】で述べた、以下のようなトレンドです。
人類の思考行動のベースにある言語行動の3つのパターン、つまり❶ラング(langue)×❷パロール1(parole1)×❸パロール2(parole2)において、❶→❸のトレンドが強まっていきます。 モノへの対応行動でいえば、「❶ヰティリテ(utilite):社会的使用体系」×「❷ヰティリゼ1(utiliser 1):個人的使用活動」×「❸ヰティリゼ2(utiliser 2):個人的創造活動」において、❶→❸のトレンドが強まっていきます。 (それぞれの言葉の意味については、上記のブログを参照してください。) |
パロール2やヰティリゼ2へ向かう生活行動とは、どのようなものなのでしょうか。
言語行動でいえば、【「差延」を「差延化」に拡大する!】で述べた通り、フランスの哲学者J.デリダの提唱した、言語行動における「差延」という行動を、生活一般に広げた「差延化」という方向です。
生活民の差延化行動には、【差延化戦略には5つの方法があった!】で取り上げたように、私仕様、参加、編集、変換、手作りといった、5つの行動が浮かんできます。
上の投稿では、供給側からの対応戦略を述べていますが、生活民の立場から考えると、次のような行動が浮かんできます。
①私仕様・・・生活民が独自の私効を実現しようと、交換市場へ注文を出す行動・・・例:オーダースーツ、オーダー家具、オーダー結婚式パーティーなど。 ②参加・・・生活民が交換市場から得た、7~8割程度の素材を自ら組み合わせて、私効を実現する行動・・・組み替えスーツ、キット家具製作クラブ、自由設計プレハブ住宅、ログハウスなど。 ③編集・・・生活民が交換市場から得た、さまざまな商品を素材とし、それらに自らの編集を加えることで私効をつく出す行動。・・・例:各社の衣料を組み合わせて独自スタイルをつくり出すユーザー編集ファッション、各社の部品を編集して独自の車をつくり出す改造車や改造バイクなど。 ④変換・・・生活民が交換市場から得た商品の用途(共効)を、自由自在に変換して、私効を実現する行動・・・例:ポケットベルの用途の多様化、冷蔵庫の総合保管庫化など。 ⑤手作り・・・生活民が自作の素材や交換市場から得た、さまざまな商品を素材と見なし、8~10割は自らの加工や組み合わせで、私効を実現する行動・・・手作りビール、デコラティブ(装飾的)ペインティング、デコパージュ風ニュー手芸、個人手配海外旅行など。 |
5つの行動は、①から⑤へと進むほど、生活民の私効をより強く実現することになるでしょう。
昨今の生活動向をつぶさに鑑みると、以上のような行動がすでに広がっているのではないでしょうか。