人口減少時代に広がる濃密型生活(Condensing Life)では、前回述べたような、4つのトレンドが強まってくると思います。
最初は個人志向の見直し。社会的・集団的志向(交換・同調・価値)よりも、個人的・自己志向(自給・愛着・効用)を重視する傾向が強まっていくでしょう。
なぜそうなるのか、私たちの生活構造に潜んでいる3つの軸、つまり、このブログで永々と展開してきた生活構造をベースに、まずは横軸から説明してみましょう。
横軸とは、私たち人間の言語活動をベースとする空間構造です。どのような構造なのか、ざっと要約しておきます。
①私たちの生活意識を生み出している言語構造は、【横軸の構造・・・ラングとパロール】で述べたように、ラング、パロール1、パロール2で構成されています。
❶ラング・・・社会集団が共有している言語体系です。 ❷パロール1・・・他人との交流のためにラングを使用する行為です。 ❸パロール2・・・個人が私的にラングを使用して自らと会話する行為です。 |
②3つの言語区分を私たちが使用する時、社会界・間人界・個人界という、3つの生活世界が現れてきます。
❶社会界・・・私たちがラング(言語、文化、伝統、歴史、慣習、規範、法律など集団的な価値観や制度)を受け入れつつ、同時にラングそのものへ働きかけている世界。 ❷間人界・・・ラングを前提に、私たちが会話、実践、交換などの〈交流〉を行っている日常的な世界。 ❸個人界・・・私たちがラングに従いながらも、純個人として自らの内部に語りかけたり、ラングを自分なりに変換して、新たな表現を作りだしている世界。 |
③3つの生活世界からは3つの生活願望が生まれてきますが、それらは【横軸が作る3つの生活願望】で提起した、世欲・実欲・私欲の3つです。
❶世欲・・・社会的な地位や経済的な成功など、世間的な評価を手に入れたいと思う生活願望 ❷実欲・・・家事、就業、勉強など日常的な生活の中で、実効的な効果や成果を得たいと思う生活願望 ❸私欲・・・自省や内省など自分自身との交信の中で、他人に何といわれようとも、純私的に満足したいと思う生活願望 |
④3つの願望に対応して、3つのネウチが生まれてきますが、それらは【差汎化とは何か?】で述べた、共効・個効・私効の3つです。
❶共効・・・社会集団が共通して認める有用性=共通効用(経済学でいう「価値」) ❷個効・・・個人が共効に基づいて認める有用性=個別効用 ❸私効・・・私人が純私的に認める有用性=私的効用 |
以上のような3つの軸に沿って、コンデンシング・ライフでは、社会界・世欲・共効方向よりも個人界・私欲・私効方向へ、生活民の軸足が向っていきます。
なぜかといえば、次の3つです。
①行き過ぎたグローバル化でバラバラにされた生活様式を再生するため、自給体制の見直しが求められる。 ②行き過ぎた「価値(共効)」や「資本」優先で格差が拡大した経済構造を見直すため、「効用(個効・私効)」の再構築が求められる。 ③人口容量の限界を経験した世代の多くは、生活の拡大よりも維持や充実へ向かう。 |
こうした要因で個人界・私欲・私効トレンドが強まると、生活民はどのような行動へ向かっていくのでしょうか。
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