2022年10月11日火曜日

就業構造で生活様式の変化を振り返る!

言語3階層説が一段落しましたので、生活学の本論に戻り、新たなテーマとして「生活様式の変化」を思考していくことにします。

我が国では200年ほど続いた人口増加時代が終わり、2009年以降、人口減少時代に入っています。

私たちの生活様式についても、人口増加を前提にした成長拡大型が終り、人口減少に見合った飽和・濃縮型へと移りつつあります。

その方向とは、いかなるものになるのでしょうか。

それを確かめるため、まずは過去から現在までの生活様式の変化を確認しておきたいと思います。

最初は生業の変化。

統計的なデータが残る、100年前からの日本人の就業状況を振り返ってみると、下図のようになります。



 

就業者の総数は、1920年の2726万人(総数の48.7%)から1950年の3602万人(43.3%)を経て、1995年に6418万人(51.2%)でピークとなったが、人口減少に伴い2015年には5892万人(46.4%)まで落ちている。

1次産業192050年までは全就業者のほぼ半数を占めていたが、1955年の1629万人(41.2%)から減り始め、19701015万人(19.3%)、1990439万人(7.2%)、2015年には222万人(3.8%)と急速に落ちている。

2次産業は、1920年の560万人(20.5%)から徐々に上昇し、1965年に1511万人(31.5%)で1次産業を抜き、1995年までは2000万人前後(3134%)を保った後、2000年以降低下し始め、2015年には1392万人(23.6%)まで落ちている。

3次産業は、19201950年で6501000万人(30%前後)を続け、1960年に1684万人(38.2%)で1次産業を追い抜いて、以後は最大シェアを続け、1980年の3091万人(55.4%)から2000年の4067万人(64.5%)に達したものの、人口減少とともに2015年には3961万人まで減った。だが、その比重は67.2%と高位を保っている。

こうした変化は私たちの生活様式に、どのような影響を与えたのでしょうか。

❶人口増加時代(~2008年)には、総人口に占める就業者の比重は半数ほどであったが、人口のピークを過ぎると、次第に落ち始め、より少ない就業者で社会を支えなければならない時代に入っている。

自給自足志向の強い1次産業就業者は、戦後10年ころまでは約半数を占めていたが、以後は急速に減り始め、現在では5%未満となっている。つまり、自立型生活民が減り、給与生活者が増えたということを示している。

1次産業就業者の比重低下は、食糧自給体制の縮小を示しており、グローバル化への追随強化を象徴している。

2次産業就業者の比重変化は、成長拡大型社会の基盤強化を示すとともに、グローバル化への対応強化をも示しているが、成長拡大が限界に近づくにつれて、その限界もまた象徴している。

3次産業就業者は、高度経済成長の始まった1960年代以降、1980年代までは4060%の高比重を保ち続け、1990年以降にも6070%の維持している。一方では多様な生活資源で暮らす生活民の増加を示すとともに、他方では自給自立型生活民の縮小を示している。

分類不能者の比重増加は、成長拡大型社会を担う産業構造とは、かなり異なる種類の働き方を選ぶ生活民の増加を示唆している。

以上のように、わが国の生活資源を支える産業別就業者の推移から、生活形態の変化を読み解いてみると、約200年間続いてきた現代日本社会の拡大要因とその限界が緩やかに浮上してきます。

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