2019年2月19日火曜日

参加・・・差延化行動の妥協策

生活民の差延化行動の3つめは「参加」。従順な「消費」行動と積極的な「差延化」行動の妥協策といえるものです。

現代の市場社会に生きる生活民の中には、供給者の差し出す「共効」だけでは満足できない者も増えています。

彼らは「手作り」や「変換」までとは行かないものの、自らが商品作りに「参加」することによって「私効」を満たそうとする行動へ向かいます。

目標とする「私効」をめざして、~8割ほどの素材や部品を消費市場から購入し、その「個効」を活かしつつ、残りの2~3割については自らの手を加え、それによって最終的な「私効」品を作り出すという行動です。




具体的な事例は、【
「参加」・・・生活民はこのように付き合え!:2017年1月21日】で触れた通り、組み替えスーツ、自由設計プレハブ住宅、手作りキット家具、自作用ログハウスなどがあげられます。

組み替えスーツ・・2着のスーツでジャケットとパンツを組み替えて4通りの着こなしが可能になる「組み換えスーツ」も、ユーザーの参加性を実現しています。

自由設計プレハブ住宅・・・外観や内部の設計に意見や要望を柔軟に要求できるプレハブ住宅で、参加性を高めることができます。

手作りキット家具・・・予めカットされた木材、ネジやパーツがセットされたキットを購入して、それぞれを組み合わせつつ、ユーザーは自らの意向に沿った家具を仕上げることができます。

自作用ログハウス・・手作りキット家具がさらに大規模化したもので、すべてプレカットした部材をフルキットで購入し、大型の機械や専門的な工具を使わなくても、マニュアルに合わせて組み立てるだけで、ユーザーの自由設計を組み込んだログキットハウスを完成させることができます。

このほか、食品・飲料分野の製造工程参加、衣料分野のデザイン参加型ファッション、キャラクターシールやデコレーション用具によるマイグッズ化、インターネットによるデザイン参加、乗り物分野のキットカー改造バイク、住宅分野のDIY(ドゥー・イット・ユアセルフやガーデニングなども、この分野の先例といえます。

以上のように、「参加」行動は、消費行動と自給自足行動の接点に位置するもので、市場社会に生きる生活民の、最も現実的な生活行動ともいえるでしょう。

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