2025年3月30日日曜日

生活学・新原論Ⅵ-6:生活空間論:居住空間の差真化

生活空間論の6番めは「居住空間の差真化」、つまり居住者が住宅や家具などを、学びや信仰のために適応させていく行動です。

差真化とは【差真化行動とは何か?】で述べたように、真実界から生まれてくる、儀礼や儀式、学習や信仰、自制や自律などを求める真欲に応えて、儀式や儀礼、勉学やトレーニング、自省法や内観法などを実行する生活行動です。

生活体でいえば、下図のように、前方に位置する生活願望「真欲」に向けて、欲望・欲求・欲動次元や私欲・実欲・世欲次元で、さまざまな生活行動を展開することになります。

こうした行動を居住空間に当てはめると、学びや信仰などのための住居や家具などを造る行動やそれらを享受する行動が浮かんできます。 

上図に示したように、差真化行動は9つの行動に分かれていますが、このうち上段の3つは差異化行動差延化行動差汎化行動で、また下段の3つも差元化行動差延化行動、差汎化行動で、すでに機能と対応事例を挙げています。さらに中段の左右も差延化行動と差汎化行動で、同様の対応をしています。

となると、中央の「真欲・欲求・実欲」欄のみが、独自の差真化行動ということになります。

このような先行事例を前提にしつつ、9つの差真化行動が生活空間に何を求めているのか、を考えてみましょう。 



●上段の「欲望」段では、中央の「確かさ」を挟んで、「まじめさ・手作り真面目意匠」と「重厚さ、新型耐久デザイン」が求められます。

真欲・欲望・私欲では、学び、勤勉、重厚など認める私的行動として、例えば清潔感充足居室、勉学促進風子供部屋、自作デザイン書斎、自作デザイン学具などが対象となる。

真欲・欲望・実欲では、学びや勤勉なデザインなどを求める居住行動として、例えば堅実風デザイン、効率風インテリア、自作堅実風デザイン、自作効率風デザインなどが対象となる。

真欲・欲望・世欲では、重厚感や真面目さなどを訴求する対外行動として、例えば伝統的和風デザイン、西欧風クラシックデザイン、耐久強化デザイン書斎・勉強用具などが対象となる。

●中段の「欲求」段では、中央の「充実書斎」を挟んで、「手作り別荘」と「新勉学書斎」が求められます。

真欲・欲求・私欲では、純個性的な学び空間や家具類を求める私的行動として、例えば独創的書斎・勉強部屋、自作書斎、自作学具などが対象となる。

真欲・欲求・実欲では、新たな機能を備えた学び空間や家具類をもとめる居住行動として、例えば新機能書斎・勉強部屋、自作新機能書斎・勉強部屋などが対象となる。

⑥真欲・欲求・世欲では、全く新たな学習機能を向上できる居住空間、例えば能力深耕書斎・勉強部屋、自作推奨書斎、自作推奨学具などが対象となる。

下段の「欲動」段では、中央の「まじめさ」を挟んで、「まおもて、手探り神具」と「神々しさ、信仰深化神具」が求められます。

⑦真欲・欲動・私欲では、純私的な感覚的真理を求める私的行動、例えば小奇麗さ、整斉さ、自作神殿、自作神具などが対象となる。

⑧真欲・欲動・実欲では、家族単位での感覚的真理を求める居住行動、例えば風格、趣き、自作推奨神殿、自作推奨神具などが対象となる。

⑨真欲・欲動・世欲では、世間に向けての感覚的真理を誇示する対外行動、例えば神社風、寺社風、教会風、自作推奨神殿、自作推奨神具などが対象となる。

以上に挙げた、9つの差真化行動を、具体的な事例として整理すると、次表のようになります。

青地以外の分野は、上記のように差異化行動差元化行動差延化行動差汎化行動において、具体例を挙げていますので、新たな事例は青色の部分だけになります。 

生活民の差真化行動を居住空間へ応用した場合、以上のような9つの要素が浮上してきます。
これこそ「居住空間の差真化」という居住行動の意味するところです。

2025年3月25日火曜日

生活学・新原論Ⅵ-5:生活空間論:居住空間の差戯化

生活空間論の5番めは「居住空間の差戯化」、つまり居住者が住宅や家具などを、遊びや余暇のために適応させていく行動です。

差戯化とは【差戯化行動とは何か?】で述べたように、虚構界から生まれてくる弛緩、解放、遊興などを求める虚欲に応えて、虚脱・混乱、浪費・蕩尽、戯化・模擬、ゲーム・競争などを実行する生活行動です。

生活体でいえば、下図のように、後方に位置する生活願望「虚欲」に向けて、欲望・欲求・欲動次元や私欲・実欲・世欲次元で、さまざまな生活行動を展開することになります。

こうした行動を居住空間に当てはめると、遊びや休養のための別荘や家具などを造る行動やそれらを享受する行動が浮かんできます。

上図に示したように、差戯化行動は9つの行動に分かれていますが、このうち上段の3つは差異化行動差延化行動差汎化行動で、また下段の3つも差元化行動差延化行動、差汎化行動で、すでに機能と対応事例を挙げています。さらに中段の左右も差延化行動と差汎化行動で、同様の対応をしています。

となると、中央の「虚欲・欲求・実欲」欄のみが、独自の差戯化行動ということになります。

このような先行事例を前提にしつつ、9つの差戯化行動が生活空間に何を求めているのか、を考えてみましょう。

●上段の「欲望」段では、中央の「面白味」を挟んで、「ふまじめさ・手作り軽薄」と「軽々しさ・へんてこデザイン」が求められます。

虚欲・欲望・私欲では、遊び、怠惰、軽薄など認める私的行動として、例えばゴミだらけ玄関、手入れ無し庭木、自作デザイン別荘、自作デザイン遊具などが対象となる。

虚欲・欲望・実欲では、遊びや無用なデザインなどを求める居住行動として、例えばコミック人形飾り、イルミネーション室内飾り、自作コミック人形飾り、自作イルミネーション室内飾りなどが対象となる。

虚欲・欲望・世欲では、軽薄感や奇妙さなどを訴求する対外行動として、例えばハロウィーンお化け飾り、飾りっぱなしドア飾り、マンガ風住宅、ゲーム風デザイン家具などが対象となる。

●中段の「欲求」段では、中央の「新型別荘」を挟んで、「手作り別荘」と「新遊戯別荘」が求められます。

虚欲・欲求・私欲では、純個性的な遊び空間や家具類を求める私的行動として、例えば独創的別荘・遊戯部屋、自作別荘、自作遊具などが対象となる。

虚欲・欲求・実欲では、新たな機能を備えた遊び空間や家具類をもとめる居住行動として、例えば新機能別荘・遊戯部屋、自作新機能別荘・遊戯部屋などが対象となる。

⑥虚欲・欲求・世欲では、全く新たな遊戯機能を向上できる居住空間、例えばゲーム満喫別荘・遊戯部屋、自作誘導別荘、自作誘導遊具などが対象となる。

●下段の「欲動」段では、中央の「遊び心地」を挟んで、「夢心地、手探り夢具」と「チャラチャラ、手遊び強化家具」が求められます。

⑦虚欲・欲動・私欲では、純私的な感覚的遊戯を求める私的行動、例えば昼寝部屋、ハンモック、自作夢殿、自作夢具などが対象となる。

⑧虚欲・欲動・実欲では、家族単位での感覚的遊戯を求める居住行動、例えば遊び部屋、遊び家具、自作遊戯夢殿、自作遊び夢具などが対象となる。

⑨虚欲・欲動・世欲では、世間に向けての感覚的遊戯を誇示する対外行動、例えば派手さ、きんきら風、自作誘導夢殿、自作誘導夢具などが対象となる。

以上に挙げた、9つの差戯化行動を、具体的な事例として整理すると、次表のようになります。

青地以外の分野は、上記のように差異化行動差元化行動差延化行動差汎化行動において、具体例を挙げていますので、新たな事例は青色の部分だけになります。 

生活民の差戯化行動を居住空間へ応用した場合、以上のような9つの要素が浮上してきます。

これこそ「居住空間の差戯化」という居住行動の意味するところです。

2025年3月12日水曜日

生活学・新原論Ⅵ-4:生活空間論:居住空間の差汎化

生活空間論の4番めは「居住空間の差汎化」、つまり居住者がDIY 志向やカスタマイズ志向などで生み出す、ユニークな空間志向に対応して、居住空間もまた従来の設計や設備などの概念を越えた、新たな居住物や家具類を提供する行動です。

差汎化とは差汎化とは何か?】で述べたように、新たな社会性、価値、同調などを求める、生活民の私欲変化に応えて、社会的なネウチや共同体的な供給を創りだす行動でした。前回の差延化行動で生まれた、新しい個人的「効能」を、より広く社会的な「価値」へと拡大していこうとする行動、ともいえるでしょう。

こうした行動を居住空間に当てはめると、改造可能性の高い居室、DIYを先導する家具など、居住空間作りへ居住者の参加を推奨する供給行動が対象になってきます。

差汎化行動は、上記の【新原V-】示したように、9つの行動に分かれていますので、それぞれの行動が生活空間に何を求めるのか、を考えてみましょう。

このうち、上段の「欲望」欄は【居住空間の差異化】で述べた差異化行動、下段の「欲動」欄は【居住空間の差元化】で述べた差元化行動と連動していますから、これらの動向を組み入れながら、差汎化行動の行方を展望していきます。

上段の「欲望」段では、中央の「誇示的、ユニークデザイン」を挟んで、「軽々しさ、手遊びデザイン」と「重厚さ、新型耐久デザイン」が求められます。

➀世欲・欲望・虚欲では、居住者が自らデザインや雰囲気を創り出せるような遊戯室や遊具、例えばマンガ風住宅、ゲーム風デザイン家具などを供給する。

➁世欲・欲望・常欲では、居住者が自らデザインできる建物や家具、例えば自作デザイン住宅、自作デザイン家具などを供給する。

➂世欲・欲望・真欲では、居住者が自らデザインできる書斎や学習室、例えば耐久強化デザイン書斎や自習最適勉強用具などを供給する。

中段の「欲求」段では、中央の「手作り誘導自宅」を挟んで、「手遊び誘導別荘」と「手作り推奨書斎」が求められます。

➃世欲・欲求・虚欲では、居住者が自ら施工や加工ができるような別荘や遊具、例えば自作誘導別荘、自作誘導遊具などを供給する。

➄世欲・欲求・常欲では、居住者が自ら施工や加工が可能な住宅や家具、例えば自作誘導住宅、自作誘導実用家具などを供給する。

⑥世欲・欲求・真欲では、居住者が自ら施工や加工ができるような居室や家具、例えば自作推奨書斎、自作推奨学具などを供給する。

下段の「欲動」段では、中央の「居住まい、手探り誘導家具」を挟んで、「チャラチャラ、手探り夢具」と「神々しさ、手探り神具」が求められます。

⑦世欲・欲動・虚欲では、居住者が自ら体感を誘われるような居室や道具、例えば自作誘導夢殿、自作誘導夢具などを供給する。

⑧世欲・欲望・常欲では、居住者が施工や加工を誘われるような住宅や道具、例えば自作誘導型の質観住宅、自作誘導型のフィーリング家具などを供給する。

⑨世欲・欲動・真欲では、居住者が自ら求めるような建物や道具、例えば自作を推奨する神殿、自作を推奨する神具などを供給する。

以上で述べた、9つの差汎化行動を、具体的な事例として考えてみると、次表のようになります。

生活民の差汎化行動を居住空間へ応用した場合、以上のような9つの要素が浮上してきます。

これこそ「居住空間の差汎化」という居住行動の意味するところです。