2020年7月4日土曜日

「もとがたりマーケティング」に求められるのは・・・…

純粋の「ものがたりマーケティング」とは「がたりマーケティング」である、と述べてきました。

「ことがたりマーケティング」が差異化手法であるのに対し、「もとがたりマーケティング」は差元化手法に属しています。

差異化手法が商品のうえに「記号」を載せてネウチを上げる手法であったのに対し、差元化手法は商品の周りに「象徴」を沿わせてネウチを気づかせてくれる手法です。

それゆえ、「かたり」の内容についても、「ことがたりマーケティング」ではモノのネウチを上げるような中身が、一方、「がたりマーケティング」では、モノの本質を気づかせてくれるような中身が、それぞれ求められます。

「差元化」の基本的手法には、①象徴・神話化、②無意識・未言語化、③感覚・体感化などがありますが、これを「もとがたりマーケティング」に当てはめてみると、①に主軸をおきつつ、②や③にも及んでいくことになるでしょう。

そこで、これらの手法を「もとがたりマーケティング」に応用しようとすると、【差異化を超えて差元化へ:2016年4月19日】で述べたように、幾つかの注意点があります。



象徴・神話次元・・・既成の言語体系が形成される以前の未言語段階、あるいは前言語段階の意味体系、つまりユングの主張する「象徴(シンボル)」を適切に活用することが求められる。 

無意識・未言語次元・・・意識下の暗い深淵に潜んでいるカオスや本能が、通常は記号で覆われた欲望の厚い膜の中に隠れている。それらを表層意識へ浮上させるには、夢や幻想などの中で縦横に飛び交う、大胆な浮遊が求められる。 

感覚・体感次元・・・マーケティングやマスメディアの作り出す幻想を最終的に打ち破るため、なんといっても自らの感覚を研ぎ澄まさねばならない。それには、個々人の身分け能力、つまり五感や六感などの感覚をいっそう鋭敏にすることが求められる。 

これらの注意点を前提にすると、「がたりマーケティング」を適切に行っていくには、【「差異」より「深化」を!:2016年4月27日】で提案したように、次のような対応が求められるでしょう。

 
神話・伝説・・・象徴力の強化を支援するような「かたり」を行う。例えば、個々人の意識下に潜んでいる元型に出会えるような機会を作る「象徴・元型支援かたり」、宇宙、大地、山野、大海など、潜在意識の中から「絶対に変わらないもの」を探しだし、体験させるような「不変物信仰支援かたり」、普遍かつ壮大なものに触れさせて、私や個を超えた次元を疑似体験させる「集合的無意識支援かたり」などが考えられる。

説話・民話・昔噺・お伽噺・・・無意識への回帰を支援するような「かたり」を行う。実例としては、睡眠、催眠、酩酊などの模擬体験で没我の境地へ導く「没我力支援かたり」、身体や感覚を研ぎ澄ませて、霊感や六感を増加させる「直感力支援かたり」、無意識の次元に立ち戻って、自らの原点を確認させるような「自己対面力支援かたり」などが考えられる。

オノマトペ・・・個々人の感覚回復を支援するような「かたり」を行う。具体的にいえば、言語以前の体感的、直感的な次元への回帰を支援させるような「音声・物音発見支援かたり」、山林行や水泳など、生れたままの人間に立ち戻って、伸びやかに自然と戯れられるような気分を創り出す「体感音支援かたり」などが考えられる。 

以上のように見てくると、「もとがたりマーケティング」に求められる、最も基本的な方向とは、私たちの生活の根源を深めることにあるのでしょう。

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