国連の予測(2019年)によれば、世界の人口は現在の78億人から、2100年には最高で156億人、中ほどで109億人、最低で73億人となる、と予測されています。
「Sustainable」という言葉が、一番当てはまるのは中位値ですが、それでも1.4倍に増えていきます。
そこまで増えていく人口に対し、現在の環境水準を維持していくことが果たしてできるのでしょうか。
一人当たりの負荷量をなんとか抑制し、全体の負担の軽減をめざすことが本当にできるのでしょうか。
かなり厳しい目標ではないか、と思います。
いったい何を「Sustainable(持続可能)」としていくのか、そのこと自体が問われてくるのです。
そこで、人口と環境の関係を改めて考えてみたいと思います。
生物学の一部門、個体群生態学の立場から見ると、この関係は個体数と環境容量(キャリング・キャパシティー:Carrying Capacity)の対応と見なされ、下図のようなトレンドとして、広く理解されています。
(詳細な説明は【動物たちは増えすぎない!:2015年1月28日】や【人口減少の本当の理由:人口容量の限界化:2015年1月27】などを参照して下さい。)
これらの図が示しているのは、原生動物から哺乳類まで、さまざまな動物に共通する個体数の動きです。
個体数がキャリング・キャパシティーの上限まで増加すると、その後は一転して、減少に転じたり、増減を繰り返したり、再び微増するなどの動きを示しています。
図によって多少の差はありますが、共通しているのは、いずれも停滞や減少の動きを見せていることです。
一旦上限に達した後、そのままの状態を続けていくというのは極めて稀であり、早いか遅いかの時期の差はあるものの、しばらくは減少過程に入り、その後に新たな傾向を模索するということでしょう。
こうしたプロセスに「Sustainable」という言葉を適用しようとすると、次のような意味が浮かんできます。
①基本的にはありえない
②長期的にはありえない
③短期的にはありうる
④持続の意味を広げればありうる
②長期的にはありえない
③短期的にはありうる
④持続の意味を広げればありうる
以上のように、動物の個体数の世界を見た場合でも、「Sustainable」という言葉は極めて曖昧な意味しか持っていないといえるでしょう。
つまり、環境にやさしい意味だと思われている「Sustainable」も、生物界には必ずしも通用しない言葉なのです。
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