日本列島の人口容量はすでに限界に達したため、人口は10年ほど前から減少しています。
容量が少なくなるにつれて、人口抑制装置が作動し、容量内に収めようとするからです。
人口は一度減少し始めると、容量に十分なゆとりが生まれ、抑制装置が緩和するまで、なお減少しつづけます。
底を打って増加に転ずるのは、早くても50年後の2080~90年代ではないか、と思います。
2008年を1とすると、2062年には1.5倍へ、2080年には1.8倍、2100年でも1.9倍に上昇します。
経済が成長・拡大を続けなくても、国家財政を維持できる程度に伸び続け、日本列島の環境容量をサスティナブルな状況に保ってゆくことができければ、個々の生活民の暮らしはそれなりに改善されていく、ということです。
しかし、マクロ経済が拡大し、その分配を受けた個人消費が急伸し、それがまた供給拡大を招いて、経済規模がさらに拡大するという成長・拡大時代の生活様式へ、再び戻るわけではありません。
先人たちが数十年にわたって作り上げてきた現代日本の人口容量の水準を、なんとか落とさないまま継続し、再び広げられる時まで維持していくことが求められるのです。
となると、人口減少時代の生活民に、改めて求められる生活様式とは、拡大しない人口容量のもとで、それでも伸びてくる一人当たりのゆとりを、しなやかに活用していくというものでなければなりません。
おそらくそれは、上昇志向、物的拡大、自己顕示といった人口増加時代の様式を超えて、足元志向、心的充実、自己充足などをめざすものとなるでしょう。
一言でいえば、濃密な生活、つまりコンデンシング・ライフ(Condensing
Life)こそ、人口減少時代の生活民に求められる、新たな生活様式なのです。
コンデンシング・ライフとはいかなるものなのか、幾つかの視点から考えていきましょう。