2020年10月22日木曜日

人口容量と生活水準が人口ピークを決める!

21世紀の先進国とは、人口減少という新事態に的確に対応する「人減先進国」だ、と述べてきました。

人口が減るのは「少子・高齢化」などのせいではありません。表面的には「少子・高齢化」のように思えますが、その背後には「人口抑制装置」の発動という、より根源的な理由が潜んでいるのです。

先に述べたように、あらゆる生物は「キャリング・キャパシティー(Carrying Capacity」の上限に達すると、個体数抑制装置を作動させ、それぞれの個体数を減らしていきます。

人間も同様で、「人口容量(Population Capacity」の上限に近づくと、人口抑制装置(生物:生理的抑制装置+人為:文化的抑制装置)を作動させ、人口を減らしていきます。これこそ人口減少の真因です。

一国の人口動態において、人口抑制装置が作動する仕組みは、次のようなものです。

①ある国の人口容量とは【自然環境×文明】、つまり国域や風土など自然条件を、その国の国民が技術・経済・文化などの文明力で創り出した、一定時期における居住可能量です。

②国民は可能量の上限まで人口を増加させていけますが、一人当たりの生活水準低ければ、それだけ多くの人口が居住でき、逆に水準が高ければ、それに応じて人口は減ります。

③国別の人口ピークは、①と②の関係によって決まってきます。一時期・一国の人口容量はその国の自然条件と文明力によって決まってきますが、実際の人口ピークは、生活水準が高ければ早く到来し、生活水準が低ければそれだけ遅くなります。

以上の関係は、次のように描くことができるでしょう。


このような関係で、前回指摘した主要国の人口ピークを見直すと、次のような指摘が可能です。

19802000にピークに至った東欧諸国は、生活水準がさほど高くないにも関わらず、地理的、政治的な条件などで、人口容量の上限が早く現れたものと推測されます。

200120にピークとなった南欧諸国、ロシア、日本韓国などは、それぞれの文明力による人口容量上限の到来ともに、生活水準の急速な上昇によるものと思われます。

202140にピークを迎える西欧諸国、中国、ベトナムなども、各国の文明力による人口容量上限の到来生活水準の上昇によるものと推定されます。

204160にピークが予想される北欧、インド、インドネシア、中南米、アメリカ合衆国、南アフリカなどは、それぞれの文明力と生活水準が、世界人口のピークと連動するように平均化した動きをみせています。

20612100にピークが予想されるカナダ、ブラジル、オーストラリア及びアフリカ諸国は、それぞれの文明力による人口容量の開発が比較的遅いうえ、生活水準の上昇もゆっくりしているからだ、と推測されます。

以上のように見てくると、国別の人口ピークは、それぞれの自然条件と文明応用力のレベルを前提としつつ、生活水準の上昇速度によって決まってくるもの、と推測できます。

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