人口容量(Population Capacity)が飽和したので、人口抑制装置が作動して、人口が減少し始めている、という言説を展開しています。
前回では、現代日本の人口容量は【日本列島の容量+国際化による容量】で、扶養量と許容量の両面から1億2,800万人だ、と述べてきました。
この数字は人口数という、概念的な指標で表わしていますので、「もっと具体的な数字で表すべきではないか」とのご意見をいただきました。
そこで、経済学的な〈貨幣〉指標による表現はできないものか、あれこれと思案した結果、一つの試論として、次のような手順を考えてみました。
①貨幣量としての人口容量は、列島の総供給容量(国内容量+輸入容量)を、居住者の個人容量で除することで計測できる。 ②総供給容量は、国土を基盤とする政治・経済体制が、何人分の個人容量に応えられるか、を示す指標であり、主として国民総生産(X年の民間最終消費支出+政府最終消費支出)+生活財輸入額から、X年の貨幣量が推計できる。 ③個人容量は、一人の居住者が生きていくための指標であり、生涯にわたる総生活費用(衣食住などの生活費用+教育・就業・老後などの準備費用)と各人を支える社会的費用(国家や地域などサポート費用)の分担分を合算したうえ、平均寿命によって除することで、X年の容量が算出される。総生活費用は主に家計調査により、また社会的費用は国民総生産(政府最終消費支出)の個人分担量として、それぞれ貨幣量が推計できる。 ④X年の総供給容量をX 年の個人容量で除した貨幣量が、X年における日本列島の人口容量である。 |
以上のような手順でもし推計ができれば、個人容量も供給容量もともに貨幣単位で表現され、人口容量もまた貨幣単位で表現されるでしょう。
もっとも、これはあくまでも一つの試案にすぎず、具体的な計算を行うにはなお幾つかの推計手法が必要だと思います。
しかし、この手順で貨幣ベースの人口容量が計算できたとしても、なおも次のような問題が残ります。
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以上のように、貨幣指標による人口容量推計では、経済動向と人口変動が必ずしも連動しているわけではありません。
ご質問への回答になっていないかもしれませんが、貨幣指標による人口動向分析には、それなりの限界があるのではないでしょうか。
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