消費社会からポスト消費社会へ、と進んでいくためには、次にあげる、3つの条件をクリアしなければならない、と思います。
「生成社会への移行」「統合社会への転換」「複合社会への進展」の3つです。
第一の方向は「生成社会への移行」です。
近代産業社会は、前回の図1のように、まずは生産者が市場をリードする「生産社会」として成長して、続いて前回の図2のように、消費者が市場をリードする「消費社会」へと移行しました。
産業革命の結果、19世紀から20世紀前半にかけて、ヨーロッパを中心に科学技術が工業生産を主導する「前期産業社会(early industrial society)」が実現され、大量の工業生産物を市場に供給する体制が確立されました。
もっとも、この時期にはまだ需要量の拡大に供給量が追いつかなかったため、生産者が消費市場をリードする「生産(主導)社会」が続いていました。
しかし、20世紀も後半になると、新たなリーダーとなったアメリカが、科学的生産管理法や品質管理法などを取り入れて、大量に生産した工業製品をそのまま消費市場へ送り込む「後期産業社会(late industrial society)」へと発展させました。
この社会では、供給量が需要量を追い越すにつれて、需要側の立場が次第に優位になり、消費者自身が消費市場をリードする「消費(主導)社会」が実現しました。
その後、20世紀の終わるころには、世界の主要先進国はいずれも消費(主導)社会に入りました。
このため、供給側も消費者の好みや願いを細かく探し出し、それに対応する商品やサービスによって、なおも生産を拡大しようとしましたから、消費市場では過剰なブランド志向や偏執狂的なカスタマイズ対応など、いびつな構造が強まりました。
時には「浪費が豊かさの中心となった社会」という表現まで囁かれているようです。
こうした異常事態については、本ブログで紹介してきたように、先見的な理論家や識者の中から、鋭い批判が提起されています。
資源・環境視点からの批判はもとより、産業社会や市場社会の需給構造そのものへの反省も広がっています。
このような消費主導社会を改革するには、まずは「生成社会」の可能性を確かめることでしょう。
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