消費社会の問題点を考える場合、対象的視点と主導的視点の、両方からのアプローチが必要です。
そこで、主導的な定義と対象的な定義を、これまで述べてきた生活空間、つまり縦軸と横軸でとらえなおしてみましょう。
図1にあげた生活空間は、縦軸に心理構造【欲望―欲求―欲動】をとり、横軸に言語構造【ラング―パロール1―パロール2】を援用した【社会制度―共生生活―私的生活】をおいて、両者をクロスしたものです。
こうした視点は、人間の言語能力そのものに準拠していますから、生活願望やねうち構造を超えて、社会・経済の構造にも拡大できます。
実際にこのフレームによって経済の構造を考えてみると、図2の横軸【社会制度―共生生活―私的生活】には、【経済制度―経済行動―生活行動】が該当します。
社会制度には「既存の貨幣制度や生産・流通・市場経済システム」という経済制度が、
共生生活には「既存の経済システムに則って個人や集団が行なう売買、取引、消費」という経済行動が、
私的生活には「既存の経済システムを自在に変換して私人が行なう私的な行為」という生活行動が、
それぞれ含まれているからです。
また縦軸【欲望―欲求―欲動】の各次元に、私たちの生きている社会の構造を振り分けてみると、図3のように【記号社会―機能社会―象徴社会】が浮かんできます。
記号社会とは「言語や観念、デザインやブランドなどで構成された社会」、
機能社会とは「機能、性能、品質など、物質的、実質的な環境が広がる社会」、
象徴社会とは「感覚的なネウチや象徴的な交換など、体感・知覚や伝統・習俗に基づく社会」を、
それぞれ意味しています。
以上のような社会・経済構造の中に、消費社会を位置づけてみると、主導的定義と対象的定義の2つの視点によって当然変わってきます。
どのように変わるのか、次回から眺めていきましょう。
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