
しかし、経済学の通説によると、消費者が誕生したのは、近代的な「市場社会」が成立した19世紀末だ、とされています。市場社会とは「あらゆるモノやサービスが商品として市場で取引されるようになっている社会」と説明されているからです。この市場社会では、ほとんどの生活財が生産者によって供給されていますから、需要者はそれらを市場から購入しなければなりません。つまり、消費者というのは「生産者の提供するモノやサービスを、市場を通じて購入し、消費する人」なのです。
このため、消費者という言葉には、最初から幾つかの問題がつきまとっています。例えば、①生産者の提供する範囲内でしか選べない、②市場を通じて買うしかない、③一方的に消費するしかない、などの諸点です。
市場社会が未成熟で、生産側が市場を誘導していた時代には、供給不足の影に隠れて、これらの欠点はほとんど目立ちませんでした。しかし、市場社会が進展し、供給過剰が進むにつれて、欠点が次第に表面化し、その立場に不満を漏らす人々も現れるようになってきました。
そこで、改めて求められたのが「生活者」とか「生活人」という言葉ではないか、と思います。
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