マーケティング関連の学者や推進者などが重視している「物語マーケティング」とはいかなるものなのか、およそ次のように説明されています。
●物語マーケティングとは、商品のうえに「モノ」としての価値に加え、「世界観」や「物語性」といった情緒的な付加価値を添加するマーケティング手法。・・・広告用語辞典
●物語マーケティングとは、コンテクスト・マーケティング(消費者の心情に向けた商品を提供するマーケティング)の一つであり、設定したストーリー(コンテクスト)にユーザーが感情移入することで成り立つマーケティングである(要旨)。・・・公益社団法人日本印刷技術協会
●物語マーケティング=ストーリー・マーケティングとは、商品やサービス、あるいは企業などのブランドに対して、そのものの性能や機能における優位性、価値を訴えるのではなく、体験や世界観といった情緒的な付加価値を訴求することで共感を生み出すマーケティング手法である(要旨)。・・・ITmedia
●物語マーケティングとは、コンテクスト・マーケティング(消費者の心情に向けた商品を提供するマーケティング)の一つであり、設定したストーリー(コンテクスト)にユーザーが感情移入することで成り立つマーケティングである(要旨)。・・・公益社団法人日本印刷技術協会
●物語マーケティング=ストーリー・マーケティングとは、商品やサービス、あるいは企業などのブランドに対して、そのものの性能や機能における優位性、価値を訴えるのではなく、体験や世界観といった情緒的な付加価値を訴求することで共感を生み出すマーケティング手法である(要旨)。・・・ITmedia
まとめてみれば、「物語マーケティング」とは、商品の「モノ」としての価値のうえに、「コト」による“情緒”的な価値を付加する戦略、とでもいうことになるでしょうか。
だが、これはまあ、なんとアバウトな説明なのでしょう。世界観、体験、物語性などを“情緒”的な付加価値などというのは、あまりに無神経だ、と思います。
世界観とはむしろ理性的、あるいは論理的な理念でもあり、体験には感性的なものもあれば理性的なものも当然含まれています。物語性ですら、“情緒”的なふくらみもあるでしょうが、“理屈”的なことわりも含まれています。
これらを大雑把に“情緒”的などというのは、ほとんど説明になっていません。
それはまあともかくとしても、さらに問題なのは、「モノ」の上に「コト」を付加する“差異化”戦略が、何の躊躇いもなく大手を振って提案されていることです。
「記号論マーケティング」ともよばれて、1980年代以来、さまざまな論者から手厳しく非難され、幾度となく反省が繰り返されてきたものですが、そうした議論がほとんど無視されています。無視どころか、無知と言っても過言ではないでしょう。
差異化戦略とは何でしょうか。【差異化とは何か?:2015年7月17日】で詳しく述べているように、商品やサービスのうえに、言語やイメージなど、さまざまな「記号」を載せて、新規性や異質性を訴求するマーケティング戦略であり、カラー化、デザイン化、ネーミング化、ブランド化、ストーリー化などの手法が含まれています。
このような戦略に対して、どのような批判が浴びせされたのか、このブログでも幾度も述べていますので、今一度、再掲しておきましょう。
【差異化手法を批判する!:2016年2月11日】
【「差異=排除」を指摘するJ・ヤング:2016年2月23日】
【ボードリヤールも批判する!:2016年3月5日】
【「差異=排除」を指摘するJ・ヤング:2016年2月23日】
【ボードリヤールも批判する!:2016年3月5日】
いかがでしょうか。こうした批判を無視してもいいのでしょうか。
この障壁を超えて、本当に「物語マーケティング」を有効化したいというのであれば、今後どのような対応が求められるのでしょうか。
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