「がたり」は「かたり」の連濁音で、「が」によって2つの語が連結していることを示しています。「もの」+「かたり」の連語という意味ですから、「がたり」ではなく「かたり」で検討を進めていきます。
「かたり」という行為は、言葉を発して何かを示す行為を現していると思われますが、岩波古語辞典によると、
かたり=語り・・・事の成り行きを始めから終りまで秩序立てて話す意
と説明されており、類似の言葉として、次のような事例があげられています。
いひ=言ひ・・・声を出して言葉を口にする意
はなし=話し・咄し・噺し・・・おしゃべりをする意
のべ=述べ・・・申しのべる、くわしく説明する意
はなし=話し・咄し・噺し・・・おしゃべりをする意
のべ=述べ・・・申しのべる、くわしく説明する意
これら以外にも、次のような言葉もあります。
つげ=告げ・・・知らせる意
まうし=申し・・・支配者に向って実状を打ち明ける意
のり=宜り・・・神聖なこととして口にする意
まうし=申し・・・支配者に向って実状を打ち明ける意
のり=宜り・・・神聖なこととして口にする意
このうち、現代日本で最も一般的な「はなし」は、実のところ鎌倉・室町時代のころから使われるようになった言葉であり、それ以前は「いひ」や「かたり」などの方が使われていたようです。
「いひ」は「いき(息)」と同根で、発声そのものに由来する言葉
「かたり=語り」は「カタドリ(象)=物の形をそっくり写しとる」のカタや、「カタ(型)=実物や模範をまねた形」のカタと同根で、なんらかの出来事を模して、相手にその一部始終を聞かせるのが原義
「かたり=語り」は「カタドリ(象)=物の形をそっくり写しとる」のカタや、「カタ(型)=実物や模範をまねた形」のカタと同根で、なんらかの出来事を模して、相手にその一部始終を聞かせるのが原義
つまり、「かたり=語り」とは、一定の形式を前提にして、言葉をつなぐ行為なのです。
当ブログ風にいいかえれば、「一定の形式」=「言分け」を前提にして、言葉を並べていく行為です。
となると、「ものがたり」、つまり「もの+かたり」とは、感覚が捉えた対象(身分け次元)を、「始めから終りまで秩序立てて話す」という、予め定められた枠組み(言分け次元)によって言語化していく行為、といえるでしょう。
「こと」ではなく「もの」を対象にして、「言分け」を行う行為だということですが・・・、その「もの」とは一体いかなるものなのでしょうか?
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