2020年5月5日火曜日

「がたり」とはいかなる行為なのか?

もの・がたり」のうち、「もの」についての説明は一通り終わりましたので、今度は「がたり」について考えてみましょう。

「がたり」は「かたり」の連濁音で、「が」によって2つの語が連結していることを示しています。「もの」+「かたり」の連語という意味ですから、がたり」ではなく「かたり」で検討を進めていきます。

「かたり」という行為は、言葉を発して何かを示す行為を現していると思われますが、岩波古語辞典によると、

かたり=語り・・・事の成り行き始めから終りまで秩序立てて話す

 と説明されており、類似の言葉として、次のような事例があげられています。

いひ=言ひ・・声を出して言葉を口にする意

はなし=話し・咄し・噺し・・おしゃべりをする意

のべ=述べ・・申しのべる、くわしく説明する意

これら以外にも、次のような言葉もあります。

つげ=告・・・知らせる意

まうし=申・・・支配者に向って実状を打ち明ける意

のり=宜・・・神聖なこととして口にする意

このうち、現代日本で最も一般的な「はなし」は、実のところ鎌倉・室町時代のころから使われるようになった言葉であり、それ以前は「いひ」や「かたり」などの方が使われていたようです。

いひ」は「いき(息)と同根で、発声そのもの由来する言葉

かたり=語り」は「カタドリ(象)=物の形をそっくり写しとる」のカタや、「カタ(型)=実物や模範をまねた形」のカタと同根で、なんらかの出来事を模して、相手にその一部始終を聞かせるのが原義

つまり、「かたり=語り」とは、一定の形式を前提にして、言葉をつなぐ行為なのです。

 
当ブログ風にいいかえれば「一定の形式」=「言分け」を前提にして、言葉を並べていく行為です。


となると、「ものがたり」、つまり「もの+かたり」とは、感覚が捉えた対象(身分け次元)を、「始めから終りまで秩序立てて話す」という、予め定められた枠組み(言分け次元)によって言語化していく行為、といえるでしょう。

「こと」ではなく「もの」を対象にして、「言分け」を行う行為だということですが・・・、その「もの」とは一体いかなるものなのでしょうか?


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