記号社会と消費社会の重なる、この部分こそ最も濃密な「純消費社会」といえるでしょう。
そうはいうものの、記号、情報、利子など、非物質的なネウチが過剰に膨らんだ消費社会は、先に述べたように、需要者に本来備わったシンボル化能力を退化させたり、独自のアイデンティティーを混乱させるなど、さまざまな病状を引き起こしています。
いいかえれば、「記号が溢れる社会」とは、言葉やサインだけに過度に依存する社会です。
コト分け能力の一部分、つまり眼や耳といった情報受動器官や、言語処理能力といった大脳表層部だけを異常に肥大させる社会ともいえます。要するに、トータルな生活願望のバランスを失った、いわゆる「統合失調症」的な社会なのです。
こうした病状に対応していくには、【差異化を超えて差元化へ:2016年4月19日】でも述べたように、表層的な記号の支配を脱して、もう一度、機能や品質はもとより、感覚や象徴の世界を回復させることが必要です。
それは多分、感覚的なネウチや象徴的な交換など、本能・体感や伝統・習俗に基づくネウチを再生させて、記号や機能とのバランスを創り出していくことを意味しています。
いいかえれば、モノやコトのもっと深層にある「モト」を復活させること、と言ってもいいでしょう。
「モト」とは何でしょうか。
私たちの意識構造の縦軸は【身分け・言分けが6つの世界を作る!:2015年3月3日】で述べたように、感覚界、認知界、言語界の3次元で構成されています。
このうち、感覚界は表層から下層に向けて、象徴・神話界、無意識・未言語界、感覚・体感界に分かれていますが、この次元に潜んでいるのが「モト」です。
「モノ」と「コト」の下にさらにその下にあるのが「モト」なのです。
そして、この「モト」は「元(モト)」「下(モト)」「本(モト)」の3層で構成されています(詳しい解説は改めて行います)。
①象徴・神話次元・・・元型
②無意識・未言語次元・・・下意識
③感覚・体感次元・・・本能
このうち、感覚界は表層から下層に向けて、象徴・神話界、無意識・未言語界、感覚・体感界に分かれていますが、この次元に潜んでいるのが「モト」です。
「モノ」と「コト」の下にさらにその下にあるのが「モト」なのです。
そして、この「モト」は「元(モト)」「下(モト)」「本(モト)」の3層で構成されています(詳しい解説は改めて行います)。
①象徴・神話次元・・・元型
②無意識・未言語次元・・・下意識
③感覚・体感次元・・・本能
このように「モト」とは、表層だけの世界に執着してきた、私たちの意識をもう一度原点に復帰させることを意味しています。
とすれば、ポスト消費社会の条件とは、消費社会の枠組みに準拠しつつも、狭隘な記号志向を抜け出し、機能志向や象徴志向とのバランスを回復する方向へ、改めて歩き出すこととなるでしょう。
それは多分、上図に示したような、記号=欲望、機能=欲求、象徴=欲動の、三つの願望のバランスがほどよくとれた「統合社会(Integrated society)」とでもいうべき方向だと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿