2019年7月9日火曜日

「モノ」から「コト」へ、「コト」から「モト」へ

前回、「コト・モノ・モト」論を紹介したところ、多くの皆様からリツィートやご質問をいただきましたので、本論をちょっと外れ、「モト」論を述べておきます。

最近、旧来型のマーケティングの世界では、「モノからコトへ」の次の消費動向として「トキ(時)」とか「イミ(意味)」、あるいは「エモ(エモーション)」などの言葉が提案されてきました。

これらは表層的な消費動向や経営学的なマーケティングの分析対象として予想されているもので、その限りにおいてはまったく構わないと思います。

しかし、より根源的、より理論的に生活行動の仕組みを思考しようとすると、ほとんど首尾一貫性のない、単なる思いつきのようにも思えてきます。

もともと私たちの意識構造は、【
分け・言分けが6つの世界を作る!:2015年3月3日】で述べたように、「感覚界=モノ界」をベースとして「言語界=コト界」と「現実界=モノコト界」の、3つの次元で構成されています。


モノ界」とは、本能や感覚器がとらえた限りでのモノの世界。

コト界」とは、「モノ界」の中から、言葉によって捉えられた限りでの世界。

モノコト界」とは、両世界の間にあって、言葉が捉えられなかった対象が浮遊したり、沈潜している世界。

このように考えると、「モノ」「コト」「モノコト」は、次のように定義できます。

モノ」とは、単なる物質や材質などを超えて、人間という種がその感覚で捉えた知的世界を意味しており、漢字で表わせば「」であり「」となります。

コト」もまた、単なるカラー、デザイン、ネーミング、ブランド、ストーリーなどを超えて、人間特有のシンボル化能力が描き出した
知的世界を意味しており、漢字で表わせば「」であり「」となります。

モノコト」とは、「モノ」と「コト」の間にあって、言葉が捉えきれないモノ、捉えていないモノなどを意味し、漢字の「物事」に相当しますが、やや異なる状態を示しています。

この「モノコト」は、言語的な「コト」界と本能的な「モノ」界の間を浮遊して、コトとモノを繋ぐ本源的な役割を担っていますから、その意味では「モト」とよんでもいいでしょう。

そこで、「モト」の実態を詳しく眺めて見ると、【
差異化を超えて差元化へ:2016年4月19日】で述べたように、①象徴・神話、②無意識・未言語、③感覚・体感、の3次元に分けることができます。

①象徴・神話次元・・・

②無意識・未言語次元・・・意識

③感覚・体感次元・・・

とすれば、「モト」は「元(モト)」「下(モト)」「本(モト」の3次元で構成されていることになります。

これこそ、「モノからコトへ」のさらに向こう側に「コトからモトへ」を展望しなければならない、重要な理由といえるでしょう。

3次元の内容は、次回以降で考えていきます。

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