21世紀には、日本はもとより世界もまた、それぞれ人口容量の上限に達し、人口減少が常態化していこうとしています。
こうした時代に、生活民の生活意識や生活願望は、どのように変わるのでしょうか。
過去4万年前からの人口動向を振り返ってみると、世界人口も日本人口も4回ほど減少を経験しています。
その原因は両方とも、粗放石器、集約石器、粗放農業、集約農業という諸文明が創り出した「人口容量(Population
Capacity)」がそれぞれ満杯になったからです。
つまり、〔人口容量=自然容量×文明〕という式で、文明の中身が変わるにつれて、生きられる人類の上限が決まるということです。
このような上限へ容量が近づくにつれて、人間は抑制装置を作動させ、人口を抑え込んでいきます。
あらゆる動物が「キャリング・キャパシティー(Carrying Capacity)」の上限に達した時、個体数抑制装置を作動させ、それぞれの個体数を減らしていくのと同じことです。
人間の場合もほぼ同じで、人口抑制装置を作動させ、人口を減少させているのです。これこそ人口減少の真因です。
こうした時代に、社会の変化と生活民の意識はどのように変わっていくのでしょうか。
社会の変化として、とりわけ大きなものは、次の3つだと思います。
①人口減少社会の進行・・・人口容量の満杯に対応して抑制装置が作動し、少産・多死化の進行により人口が減少していく。 ②不安拡大社会の進行・・・科学的環境容量の限界で、自然災害、食糧不安、技術崩壊などの不安要素が上昇する。 ③情報主導社会の進行・・・物的拡大の限界化で、文明の進展方向が非物質、情報的分野に移行していく。 |
これらの変化が進むにつれて、生活民の意識にも次のような傾向が現れます。
①自己防衛意識の上昇・・・人口容量の伸びが止まった時、人口がなお増え続けていると、生活民1人あたりの容量は当然減っていくから、生活民はまず自己防衛に走り出す。 ②対抗・攻撃性の上昇・・・容量の分配をめぐって、生活民は他人との関係に敏感になり、それは家族や子孫に対しても及んでいく。 ③適応性の回復・・・人口抑制装置が適正に作動して、人口が減少に転じると、容量には次第にゆとりが生まれてくるから、生活民は新たな生活環境に適応していくようになる。 |
以上のように、人口容量が満杯となる時代には、社会環境が大きく変わるとともに、生活民の生活意識もまた敏感に変化していきます。
ところが、人口動向で見ると、日本人口はすでに10年以上前から減少を続けていますが、世界人口の方は30年後の2050年ころから減少に入る、と予想されています。
とすれば、上記の変化は国内情勢と国際情勢では、かなり異なってくるものと思われます。
どのような差異と変化が起きるのか、一つ一つ考えていきましょう。