マーケティングの内部転換について、前回に引き続き、第3.第4の方向を考えていきます。
第3は、顕示性提供から充足性支援への移行。
従来のマーケティングが、流行や権威など外側へ向かって、限りなく拡大する「外延市場」対応であったとすれば、これからはむしろ、心の内側に潜む体感や自足などの「内包生活」を深化させるという対応が求められます。
それは、ブランド消費の対極にある「自己深化」といった生活行動に、積極的に対応することであり、需要者の内部を豊かにする「インナー・サポーティング」の拡大を意味しています。
第4は、消費者志向から生成者(=生活民)支援への転換。
これからの需要者は、単なる消費者や生活者を超えて、生活上の新たな「ねうち」を次々に創造する生成者(=生活民)へと進化していきます。
こうした需要者の変化に向けて、供給者が柔軟に対応していくためには、生成者の工夫やアイデアを敏感に吸収して、生み出された私効を社会的な共効や個効を変えていくことが望まれます。
具体的には、独自の「情報」や「イメージ」を創りだす私人の成果を商品やサービスに取り入れたり、商品やサービスを、できるだけ取捨選択や変換再編が可能なように設計していきます。
他方では、需要者の純私的な私効やアイデンティティーにはできるだけ踏み込まないように配慮します。
こうした方向は、従来の消費者対応や生活者対応をはるかに超えて、「ジェネレーター・サポーティング(生成者対応)」、あるいは「セルフヘルパー・サポーティング(生活民支援)」とでもよぶべきものになるでしょう。
以上にあげた4つの方向を実践していくことによって、これまでの消費市場のみを対象にした「オールド・マーケティング」はひとまず解体され、需要者自身の作り出す生き方や暮らしを、柔軟に支援する「ライフ・サポーティング」へと、徐々に再構築されていくことになるでしょう。
2019年10月26日土曜日
2019年10月18日金曜日
マーケティングを内部転換するには・・・
マーケティングを「脱構築(déconstruction)」していくには、マーケティングそのものの内部を再構築する「内部転換」と、マーケティング活動の外縁を再構築する「外部転換」の、2つの方向がある、と思います。
内部転換というのは、マーケティングの表面的な機能である「市場対応」を乗り超え、より本質的な目標である「需要者=生活民対応」をめざして、従来のさまざまな経営行動を再構築していくことです。
この点については、当ブログですでに幾つかの提案をしていますので、下表のように全体像を整理してみました。
第1は、従来の記号(サイン)誘導から象徴(シンボル)支援への移行。
肥大化するコト=記号の支配を薄め、需要者自身のモト=象徴力を回復させるためには、供給者は次のような活動に軸足を移さなければなりません。
例えば、言語以前の体感的、直感的な次元への回帰を支援する「体感・感覚力支援」、無意識への回帰をめざして、没我へと導く「没我力支援」、霊感や六感を増加させる「直感力支援」、無意識次元で自らの原点を確認させる「自己対面力支援」などです。
さらには、象徴力の強化をめざして、元型との出会い機会を増やす「象徴・元型支援」、宇宙や大海など絶対物を体験する「不変物信仰支援」、私や個を超えた次元を体験する「集合的無意識支援」など、多様多彩な需要者支援策を展開していくことです。
こうした活動は、企業のマーケティング活動を超えて、宗教活動や医療活動と同様、需要者の自律性や象徴性を支援する行動、いわば「シンボル・サポーティング:Symbol Supporting」とでもいうべきものです。
第2は、共効・個効提供から私効支援への移行。
供給者側からの一方的な「共効・個効」提供を極力抑えて、今後は需要者自身が求める「私効」重視へと転換します。あるいは「共効・個効」と「私効」のバランス回復をめざす、という方向です。
具体的にいえば、「価値創造」や「効用創生」などと称して、供給者側が押し付ける流行やライフスタイルを一旦棚上げにし、需要者のより自律した生活形成、つまり「私効独創」に役立つような商品やサービスを提供していきます。
これらは、市場を前提にした「バリュー・マーケティング:Value Marketing」を縮小し、需要者私効を支援する「エフィカシィ・サポーティング:Efficacy Supporting」とでもいうべき活動を拡大していくことを意味しています。
第3、第4については、次回へ続きます。
内部転換というのは、マーケティングの表面的な機能である「市場対応」を乗り超え、より本質的な目標である「需要者=生活民対応」をめざして、従来のさまざまな経営行動を再構築していくことです。
この点については、当ブログですでに幾つかの提案をしていますので、下表のように全体像を整理してみました。
第1は、従来の記号(サイン)誘導から象徴(シンボル)支援への移行。
肥大化するコト=記号の支配を薄め、需要者自身のモト=象徴力を回復させるためには、供給者は次のような活動に軸足を移さなければなりません。
例えば、言語以前の体感的、直感的な次元への回帰を支援する「体感・感覚力支援」、無意識への回帰をめざして、没我へと導く「没我力支援」、霊感や六感を増加させる「直感力支援」、無意識次元で自らの原点を確認させる「自己対面力支援」などです。
さらには、象徴力の強化をめざして、元型との出会い機会を増やす「象徴・元型支援」、宇宙や大海など絶対物を体験する「不変物信仰支援」、私や個を超えた次元を体験する「集合的無意識支援」など、多様多彩な需要者支援策を展開していくことです。
こうした活動は、企業のマーケティング活動を超えて、宗教活動や医療活動と同様、需要者の自律性や象徴性を支援する行動、いわば「シンボル・サポーティング:Symbol Supporting」とでもいうべきものです。
第2は、共効・個効提供から私効支援への移行。
供給者側からの一方的な「共効・個効」提供を極力抑えて、今後は需要者自身が求める「私効」重視へと転換します。あるいは「共効・個効」と「私効」のバランス回復をめざす、という方向です。
具体的にいえば、「価値創造」や「効用創生」などと称して、供給者側が押し付ける流行やライフスタイルを一旦棚上げにし、需要者のより自律した生活形成、つまり「私効独創」に役立つような商品やサービスを提供していきます。
これらは、市場を前提にした「バリュー・マーケティング:Value Marketing」を縮小し、需要者私効を支援する「エフィカシィ・サポーティング:Efficacy Supporting」とでもいうべき活動を拡大していくことを意味しています。
第3、第4については、次回へ続きます。
2019年10月9日水曜日
マーケティングを脱構築する!
ポスト消費社会の方向を、生成、統合、複合の3つの社会が鼎立する三立社会と定めた時、従来「マーケティング」とよばれてきた企業活動は、どのような方向へ向かえばよいのでしょうか。
これまで述べてきたことを今一度整理してみると、マーケティングを解体・再構築すべき方向、つまり「脱構築(déconstruction)」のゆくえが見えてきます。
それは図表に示したように、左右に分かれており、一つは左側の、マーケティングそのものの内部を再構築する「内部転換」、もう一つは右側の、マーケティング活動の外縁を再構築する「外部転換」だと思います。
内部転換とは、いうまでもなく、供給者主導の従来型マーケティングを解体し、需要者支援を強化したライフ・サポーティングへと再構築することです。
需要者、つまり生活民の暮らしに向けて、新たな生活資源を開発・提供し、市場交換を通じて、それぞれの生活形成を支援するという、企業本来の機能をより徹底し、さらに深い需給関係を構築していくことです。
しかし、脱構築はそれに留まるものではありません。そうした内部転換を果たしたうえで、さらに今後のマーケティングには、消費社会から生成社会への移行に参加するという外部転換が求められます。
つまり、複合化する社会の、再配分や互酬システムとも、新たな連携を築くという課題です。
そのためには、企業がまず、再配分の基本的な主体である政府や行政部門との間に、新たな関係を築きあげなければなりません。あるいは再配分という分配システムとの間に、新たな役割を創り出すことが期待されます。
また複合社会のもう一つの柱である互酬制度についても、この制度を順調に再生させるためには、家族制度や地縁社会などの共同体とも、新たな協力関係を築き上げることが求められます。それは企業やマーケティングが、共同体のために何ができるかを自問するということになるでしょう。
内部転換と外部転換の双方について、マーケティングの進むべき方向を、改めて考えてみましょう。
これまで述べてきたことを今一度整理してみると、マーケティングを解体・再構築すべき方向、つまり「脱構築(déconstruction)」のゆくえが見えてきます。
それは図表に示したように、左右に分かれており、一つは左側の、マーケティングそのものの内部を再構築する「内部転換」、もう一つは右側の、マーケティング活動の外縁を再構築する「外部転換」だと思います。
内部転換とは、いうまでもなく、供給者主導の従来型マーケティングを解体し、需要者支援を強化したライフ・サポーティングへと再構築することです。
需要者、つまり生活民の暮らしに向けて、新たな生活資源を開発・提供し、市場交換を通じて、それぞれの生活形成を支援するという、企業本来の機能をより徹底し、さらに深い需給関係を構築していくことです。
しかし、脱構築はそれに留まるものではありません。そうした内部転換を果たしたうえで、さらに今後のマーケティングには、消費社会から生成社会への移行に参加するという外部転換が求められます。
つまり、複合化する社会の、再配分や互酬システムとも、新たな連携を築くという課題です。
そのためには、企業がまず、再配分の基本的な主体である政府や行政部門との間に、新たな関係を築きあげなければなりません。あるいは再配分という分配システムとの間に、新たな役割を創り出すことが期待されます。
また複合社会のもう一つの柱である互酬制度についても、この制度を順調に再生させるためには、家族制度や地縁社会などの共同体とも、新たな協力関係を築き上げることが求められます。それは企業やマーケティングが、共同体のために何ができるかを自問するということになるでしょう。
内部転換と外部転換の双方について、マーケティングの進むべき方向を、改めて考えてみましょう。
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